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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
スタグノ族・黄の一族
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「ネロー。」



「ブキッ。」



 名前を呼ぶと、ネロが元気よく駆け寄ってくる。

 誘拐されかけてから、ちょくちょく様子を見に行くようになったんだけど、当のネロはいたって元気だ。



 自分が襲われたなんて気にも止めてないみたい。

 持ってきたおやつを床に置きながら、変わりない様子のネロに安心する。



「ネロ。今日も訓練頑張ったね~。」



「プギィッ。」



 そんなことを言いながらネロと戯れていると、隊士さんの訓練を監督していたシードさんがこちらにやってくるのが見えた。

 ここは地下の鍛錬場だ。隊士さん達の訓練の時にネロも運動をしている。



「こいつ。日に日に強くなってるんだぜ。その内、うちの隊士ともやりあえるくらいになりそうだ。」



「そんなにですか?」



「ああ。力が強ええし、足も速ええ。それに何より頭もいい。相手の動きを見て行動してる。」



 へえ。この子がねえ。

 感心しながらネロを見ると、ネロは褒められてるのがわかるのか目を細めてとてもご満悦な様子だ。



「すごいね~。ネロ。」



「ブッ。」



 誘拐されかけた時も自分で撃退したっていうし、この子には才能があるのかもしれない。

 荷物の護衛が出来ないといけないんだもんね。強いのに越したことはないだろう。



 …エサ桶は蹴り壊さないで欲しいけど。

 今もおやつを食べながら興奮してるのか、桶の端をげしげし蹴っている。



 いつか、蹴りだけで壁に穴とか開けそうだなあ。この子。

 まあ、暴れん坊にしないために訓練受けてるんだし、シードさんもついてくれてるし、大丈夫だよね。



 西の地区では端の方に工房が多く、そこから荷物を運び出すのにセパがたくさん使われている。

 そのため、シードさんの実家でもセパは結構な数を飼っていて、子供のころから何頭か育てているそうだ。



 それで、シードさんが体術や走り込み、ひととの接し方なんかの訓練を見てくれているという訳。

 クルビスさんはネロの魔素のコントロールを担当している。



 相性の問題もあるけど、私を乗せれるセパにしようとすると、必然的にクルビスさんも一緒のことが多いので、彼の魔素にも慣れさせる必要があるからだそうだ。

 ネロも必要なのを理解してるらしく、この訓練の時はクルビスさんの言うことに従っている。



 クルビスさんの魔素に慣らされているからか、私と触れ合ってる時間が長いからか、ネロの体色はずっと真っ黒だ。

 それがまた珍しい上に縁起がいいとかで、表に出していないのにネロはこの近所で有名だ。



 そのせいで誘拐されかけたんだけど、これはどうも相手の勘違いがあったようだった。

 何故か「ネロがとても滋養に良い」というウワサが流れていて、それを仕えているご主人様に食べさせたかったのだとか。



 セパなら誘拐してもそれ程騒ぎにはならないと思ったそうだ。

 セパは運搬の要になっている動物だから、そんな軽い扱いではないのだけど、相手は最近ルシェモモに来たスタグノ族のひとで、そのことを知らなかったそうだ。



「明日はママ頑張ってくるからね~。」



 ネロに話しかけながら、改めて気を引き締める。

 そう。明日会うスタグノ族の黄の一族の長が、ネロを誘拐したスタグノ族の所属する一族だった。



 しかも、ネロを献上しようとしてたのはその長にらしい。

 とても身体の弱い若い長だと聞いてるけど、そんなこと関係ない。



 きっちり謝罪してもらわなくちゃ。

 一応、すぐに謝罪の手紙は来たそうだけど、口頭でも謝ってほしい。



 これから良好な関係を築くなら、これは外せない部分だ。

 さて、どんな歓迎をされるやら。

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