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 そして屍が累々と…。とはならなかった。

 驚いたことに、ずっと一気飲みしてたはずなのに、参加した皆さんはちゃんと歩いて観覧席に戻っていったからだ。



 まあ、さすがに足元がふらついてるひともいたし、皆さんしんどそうだったけど。

 結果は、決勝がシードさんとザドさんの白熱戦で、僅差でシードさんが勝った。



 このふたりはアーネストさんのお酒の相手をしょっちゅうしているらしい。

 どっちが勝ってもおかしくないと、賭けの方も白熱していた。



 ちなみに、クルビスさんは準決勝にシードさんと当って負けた。

 それまでに3人くらいには勝ってたんだけど、ヘビの一族は飲んでも飲んでも底なしみたいで、勝つまで飲むのが大変だったみたいだ。



 私たちはといえば、お互いの伴侶を応援しながらもどんどん消費されるお酒の樽の数に怖くなり、「これだけ飲むと後が大変かもしれませんね…。」なんて言っていた。



 実際ふたりとも決勝と準決勝まで残ったのでかなり飲むことになったんだけど、何故か飲み過ぎてしんどそうなのにどこか上機嫌だった。



 不思議に思って聞いてみると、リリィさんと私がこっそり「頑張ったし、これ終わったら我がままを一つ聞いてあげましょうか。」なんて言いながら笑ってたのをばっちり聞いていたらしい。



 お互いに聞こえるかどうかくらいの声量で話してたし、周りもかなりうるさかったはずなのによく聞こえたなあ。

 しかも、それを聞いてシードさんのピッチが上がってクルビスさんは負けたんだそうだ。



 シードさん曰く、優勝くらいしないとリリィさんは我がままを聞いてくれないそうだ。

 厳しいなあ。リリィさん。



 私はすでに甘やかす気だったのもあって、クルビスさんに我がままを聞く約束をする。

 そしたら、それまで疲れた様子だったのが急に元気になっちゃって。



 何でだろうと首を傾げていたら、シードさんも元気になっていた。

 リリィさんにちゃんと約束してもらったらしい。



 もしかして、クルビスさんが元気になったのって、我がまま聞くって言ったから?

 え。それであんな元気になるもんなの?



 …何言われるんだろう。

 なんだか不安になってきた。



 こわごわと顔を上げると、嬉しそうに目を細めたクルビスさんと目が合う。

 うん。すっごい嬉しそう。今さらダメなんて絶対言えない。



 しょうがないか。…頑張ってたしなあ。

 クルビスさんならそんな変なわがまま言わないだろうし。何とかなるって。たぶん。

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