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「それと、こちらがもう一つの手土産ですって。穀物酒に合うと聞きましたので、それも用意させましたわ。」



 水菓子の感想を一通り聞き終わると、今度は大きな樽を持ったひと達が入ってくる。

 運んでるのは穀物のお酒で、持ってきたのはシードさんの従兄弟さん達だそうだ。



「おおっ。来たか。やっと飲めるな。果実の酒は美味いが酔えん。どれ、先に土産を1つ…美味いっ。これは酒が進むなっ。」



 すでに果実酒を何杯も飲んでいたアーネストさんが、上機嫌で木製のジョッキを持って樽に近づいて行く。

 …まだまだこれからなんですね。ヘビさんだから「うわばみ」なのかな?



「そうだ。せっかく顔を合わせたのだ。お前たちも挨拶しておけ。シード。」



「あいよ。ちっと見ねえ間にデカくなったなあ。ああ。ハルカ。こいつらは俺の従兄弟で、弟みたいなもんだ。キリヤ。レンヤ。挨拶しろ。」



「えっと。ヘビの一族のキリヤです。」



「同じくヘビの一族のレンヤです。」



 シードさんがふたりの隣に立って紹介してくれる。

 私とクルビスさんを見て緊張してたみたいだけど、促されておずおずと挨拶してくれた。



 何だか日本ぽい名前だ。覚えやすくて助かる。

 キリヤ君はオレンジの体色に黄緑の手足のヘビさんで、レンヤ君は青緑の体色に黄色の手足のヘビさんだった。



「久しぶりだ。大きくなったな。と言っても覚えてないか?クルビスだ。こちらが伴侶のハルカ。」



「里見遥加です。どうぞハルカと呼んで下さい。」



 こちらも名乗り終えると、「「お、おめでとうございますっ。」」とユニゾンでお祝いしてくれた。

 彼らは双子なんだそうだ。道理で背格好が良く似ている。



 シードさんが驚いたみたいに、体格のいい子たちだった。

 シードさんも決して小さい男性ではないのに、ふたりがクルビスさんくらいの背があるので小さく見える。



 ヘビの一族はトカゲの一族に比べて、頭が丸くて手足が細く、尻尾が二回りは大きいのが特徴だ。

 尻尾が大きくても、身が軽く俊敏なひとが多くて体術を得意とする一族だと教わっている。



 その知識を比べると、双子はトカゲの一族かと思うくらい手足が太くて、背も高いからクルビスさんと並んでも遜色がない。

 これで身が軽かったら、すごく強いんじゃないかな?



「憶えてるみたいだぜ?鍛錬の相手してもらったの覚えてるってよく言ってたからな。」



「「うん。憶えてる。」」



「そうなのか。ずいぶん前のことなのにな。」



「こいつら、強い相手と戦うの好きだからなあ。そういうのは憶えてんだよ。個立ち前に急にデカくなったんだと。」



「立派になったな。」



 クルビスさんに言われて、二人は照れくさそうにしていた。

 まだ成人の個立ち前なのかな?初々しい感じがする。



 立ったまま話していたら、酒樽の傍に陣取っていたアーネストさんが声をかけてきた。

 手にはジョッキ、膝には塩枝豆の入った器で完全に飲むスタイルだ。



 塩枝豆は気に入ってもらえたみたいで、すでに半分なくなっている。

 飲む速度が半端なく早いんだけど…大丈夫なんだろうか?



「…おお。挨拶は終わったか。お前たちも食べていけ。鍛錬していたなら腹が減ってるだろう?」



「「いいの?」」



「ああ。たくさんあるしな。残っても、俺とシードがいればなくなるだろ。」



「今のこいつらなら残らねえんじゃねえの?」



「はっはっ。それもいいだろう。今は食っても食っても腹が減る時期だ。」



「「やったっ。」」



 こうして、食べ盛りの男の子ふたりが増えて、ものすごいスピードで無くなっていく食糧の山を眺めながら、ヘビの一族の族長への挨拶の日は終わった。

 最後に「明日はもっと勧められますよ。」とリリィさんに消化剤をそっと渡されたのが怖かったです。まる。

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