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短めですが、切りが良いので。
「ようこそっ。我らの里へ。」
「ご婚約おめでとうございますっ。」
「さあ、こちらへっ。」
皆さん口ぐちに歓迎の言葉を述べてくれる。
すごい歓迎ぶりだなあ。
「ちょっとちょっと~。まだ皆そろってないでしょ~?先に部屋に荷物置いて来てもらうよ~。」
「ああ。そうですねえ。でも、長がいらっしゃれば、すぐにでも皆集まりますよ。長も早く着替えて来て下さい。」
「そうそう。長の姿が見えないってアニスが走り回ってましたし。…では、お部屋にご案内しますね。こちらへどうぞ。」
メルバさんの静止に皆さん頷いたものの、きっちり言い返していく。
敬われてるんだけど、世話も焼かれてるというか…メルバさんてエルフの長だよね?
他のひと達につかまったメルバさんは置いて行き、案内に立ってくれたエルフの女性について行くと、ホールの奥に階段があった。
木造で磨きこまれた手すりには細かい花が掘り込まれている。触っていいのかな?
よくみると、階段の端の方にも蔦のような植物が掘り込まれていた。
さすが長の家、さりげないけど豪華だ。
「さあ、ここがお嬢様のお部屋です。リリィのお部屋ですよ。クルビス隊長は向かいのジャスミンの部屋です。」
あ。もうついた。
早いなあ。助かるけど。
私の部屋は2階に用意されていた。
良かった。3階より上だったら、部屋にたどり着く前に力尽きてるところだった。
部屋のドアも木製で飴色に輝いている。ドアの真ん中には大きな百合の花が彫られていた。
百合だからリリィの部屋かあ。わかりやすくて助かる。クルビスさんはジャスミンの部屋だ。
「こちらがカギになります。もうすぐ皆揃いますから、お仕度が済まれましたら、下においでください。」
そう言って、案内の女性はそそくさと下に降りて行った。
ホールではまだ準備していたのか慌ただしい雰囲気だったし、きっと忙しいんだろう。
もうすぐ揃うって聞いたし、さっさと荷物を置いて、私も下に向かおう。