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遅れてすみません。

そして、もう1話かかることになりました…。

 買い物を終えて守備隊に帰るとルドさんが待ち構えてた。

 朝食の多忙な時間は過ぎ去ったらしく、今なら時間が取れるらしい。



 それと、もうひとりチョコレート色のキツネの獣人さんが立っていた。

 たしか、名前はバッカスさん。珍しいフェラルド族の調理師さんだ。



 フェラルド族は子供とお年寄りがエルフ達と暮らしているから、私が里に迎えられた理由も知らされている。

 フェラルド族も子供のころにエルフ達からあー兄ちゃんの武勇伝を聞かされて育つらしく、彼も私にとても好意的だ。



 バッカスさんは私が和食を喜んで食べることを聞いたらしく、カウンターで顔を合わせるとおすすめの和食を教えてくれる素敵な調理師さんだ。



 そのふたりとリリィさんを伴って奥の厨房に入る。

 シードさんは荷物持ちしてくれたけど、今はクルビスさんの所だ。



 シードさんは何も言わずにずっと荷物持ちしてくれた。

 後で差し入れに行こうかな。



 それを言うと、リリィさんに「飛んでもありません。」と断られてしまった。

 リリィさん曰く、「これくらい当然です。」とのこと。シードさん、尻にしかれてますね。



「とにかく炒ってみましょうか。」



「これは…この間炒っていたやつだろう?」



「はい。レシピを思い出したので作ってみようと思って。黄色いのは粉にしてアメにしたいんです。青いのは茹でたやつに甘みをつけてみたくて。『ずんだ』と言われる餡が出来るかもしれません。」



「これも餡になるのか…。黄色がアメに…。」



「そんな発想ありませんでした。すごいレシピですね。」



「どんな味になるんでしょうか。想像もつきません。」



 私が買ってきたものを並べるとルドさんが不思議そうに聞いてきた。

「ずんだ」や「芋アメ」の話をしてなかったから簡単に説明すると、ルドさん、バッカスさん、リリィさんは不思議そうに派手豆を眺めている。



 まあ、豆をスイーツにしようなんて発想自体無かったみたいだし、想像が追い付かなんだろうな。

 でも、3人の興味を引いたみたいで、炒るのを手分けしてやることになった。



 成熟豆を炒るのは誰もやったことがないので、時間をかけて交代でやることに。

 未成熟の豆はリリィさんとバッカスさんが手際よく炒ってくれている。



 ルドさんには青い未成熟豆を少しだけ茹でてもらっている。

 茹でるのはすぐに出来た。



 一端、炒るのを止めて、後は薄皮剥いてつぶして砂糖いれて…出来た。



 味はしっかり「ずんだ」だった。

 ちょっと硬めの豆だったから粒が荒く残ったけど、味は「ずんだ」だ。



「うん。ずんだです。最初に餡を作った時に何で思い出さなかったのか…。」



「あの時目指してたのは、この味じゃなかったからじゃないか?最初に作った餡とは風味も食感も違う。繋げて思い出すのは難しいだろう。」



「…そうですね。あの時はかき氷に合う餡を探していたんでした。この餡はかき氷に使いませんから。」



 目指してたのは宇治金時だったもんなあ。そりゃ思い付かないか。

 ルドさんの返事に納得してると、今度はバッカスさんとリリィさんが炒り終る。



 青い炒った豆は半分は塩をまぶして、半分は粉にする。

 黄色も粉にしたので、半分を水あめと混ぜて芋アメに。



 残しておいた粉は、後で砂糖と混ぜたりそのまま使ったりして水菓子と合うか検証する予定だ。

「餡に出来るなら粉も甘く出来るのではないか?」とバッカスさんに提案されてやってみることにした。



「塩が良い感じですね。ベルが言ってたのはこれですか。餡もこれをパンに挟みたいで食べたいです。」



「これが「ずんだ」なのですね。美味しいです。こっちの塩味は……ハルカ様。これ今日の水菓子と一緒に持っていきませんか?ヘビの族長はお酒がお好きなので、喜ばれると思います。」




 ずんだも塩味の炒り豆も好評だ。

 バッカスさんなんかは早速「ずんだスイーツ」を考えている。



 塩味の炒り豆は、リリィさんの勧めに従ってヘビの一族の手土産に追加することにした。

 族長さんはお酒好きみたいだ。ヘビだけにうわばみ?



 芋アメの方は、素朴な味でリリィさんが気に入ったみたいだった。

 粉に出来るから本物より簡単に作れるし、砂糖を使うので魔素の持ちもいいからまとめて作っておけると大喜びだ。



「優しい甘さだな。」



「炒って粉にしてしまえば、作るのはすぐですね。」



 ルドさんとバッカスさんにも評判は上々。

 作りやすいのが良かったみたいだ。


塩味の無い枝豆なんて、ただの豆ですからね。

遥加さんがわからなかったのも無理ないと思います。

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