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「ハルカ様、この辺りが成熟した豆です。」



「わあ。沢山ありますねえ。」



 リリィさんの案内で市場に来ている。

 前に行った場所とは反対側に野菜や果物が売っていた。



 豆は種類が多いからか、専門のお店があってそこで売られていた。

 黒っぽいものから色鮮やかなものや白っぽいものまで、グラデーションで並べて売られている。



 黒っぽいのが成熟した豆のコーナーだ。

 艶のない豆も多くて、見た目だけなら炭と間違いそうなものが結構ある。



「えっと、トラッド豆の青い…これの成熟した豆はどれですか?」



 綺麗なエメラルドグリーンのトカゲのお姉さんに聞いてみる。

 ルドさんに聞いた特徴は「艶のない黒に近い沈んだ青」だったけど、似た炒り寄ったりのものばかりでどうやって見分ければいいのかわからなかったからだ。



 ルドさんにも「成熟豆を見分けるのは経験豊富な調理師でも難しいものだ。わからなければ店の者に聞けばいい。」と言われていたし、素直に従うことにした。



 お姉さんはにこやかに私の目の前にある黒い豆だと教えてくれた。

 お礼を言って件の豆を見る。…沈んだ青?どの辺が青?



「これが成熟した豆ですか。教えてもらわないととても見分けられません。」



「この店の豆はどれも質が良いですから。色の濃さはどの豆も飛び切りですし、専門の者でないと見分けるのは難しいですよ。」



 同じように見える豆にお手上げだと言ったら、リリィさんがフォローしてくれた。

 色が濃いほど良いものみたいだ。魔素の関係だろうな。たぶん。



「ふふっ。わからないですよね。私も見分けがつくのに50年ほどかかりました。」



 私とリリィさんが豆を眺めて言い合っていると、店員のお姉さんが豆の見分けは難しいことだと教えてくれる。

 50年かあ。私にはいつまで経っても無理そうだ。



「じゃあ、これ1つでどれくらいの量になりますか?」



「そうですね。この皿に山盛り1杯くらいなんですけど…。」



 お姉さんはそう言って、私の手に丁度良いサイズの木製の小鉢を見せてくれた。

 これに山盛り1杯かあ。値段は…2だ。安い。



 失敗するかもだし、多めに買っとこう。

 成熟豆を小鉢に2杯買って、ついでに未成熟な青い派手豆と黄色い派手豆も買っておく。



 青いのは枝豆味だから、きな粉が失敗した時は「ずんだ」にも挑戦したいと思ってる。

 でも、茹でた時の味忘れちゃったからなあ。きな粉みたいな青い粉になるかもしれない。



 黄色いのはサツマイモ味だったから、粉にすればきな粉アメの作り方を真似て、簡易の芋アメが作れるんじゃないかと思ってるんだよね。

 本当のイモから作る芋アメは麦芽を使ったりしてとても手間がかかるけど、こっちのは豆なんだからきな粉アメと同じ製法でいけるはず。



 今日はいきなり空いた日だから材料が足りないし、これくらいは買っておかないと。

 いつもは事前にルドさんと打ち合わせしておいて、自分で材料を持ち込むか、守備隊の食糧と一緒に多めに注文してもらって、使った分だけお金を支払っている。



 最初に厨房を借りた時だけは、ルドさんの手持ちの材料を分けてもらったけど、あれは特別だ。

 今日はどちらも出来ていないから、ここで買っておく。



 豆は日持ちするみたいだし、余っても何とかなるだろう。

 お砂糖は手持ちのと、メルバさんが「使って~。」と差し入れてくれたものとで充分にある。



 後はいろいろ試してみるだけだ。

 上手くきな粉が作れますように。

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