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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
トカゲの一族
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11

「そういえば、今日は新作のスイーツのお披露目もあるとか。」



「おお。私も聞きましたぞ。なんでも斬新な菓子だとか。」



 ギリンジャーさんとボウスさんが楽しそうに話している。

 新作スイーツを今日お披露目するって何で知ってるんだろう。



 昨日急に決まったはずなんだけど…。

 アルフレッドさんかな?ウキウキしてたし。



「楽しみですなあ。」



「いやまったく。」



 そんな話をしていたら、新しい皿が運ばれてきた。

 フタがしてあって中身が見えないけど、ウジャータさんが中央に出てきているから間違いないだろう。



「皆さま。今日は新作のスイーツを味わっていただきたいと思いますの。今からお配りしますので、是非召し上がって下さいな。夏にぴったりなお菓子ですのよ。」



 ウジャータさんの演説とともに招待客にお皿にのった葛餅が配られる。

 数を用意するのが大変だったけど、ピンクと紫の2種類を用意した。



「あら、可愛らしいこと。」



「ほんと。綺麗ねえ。」



「ふむ。変わった形ですな。」



「周りのこれは…ゼリーでしょうか?」



 お皿を受け取った皆さんの反応はそう悪くないものだった。

 不思議そうだけど、見た目はオッケーだったみたいだ。



「さあさあ。皆さん、まずはひと口。お食べになればわかりますわ。」



 ウジャータさんの催促に、皆さん恐る恐る小さなナイフで切れ目をいれて食べ始めた。

 食べた途端に驚いて目を見開いたり、不思議そうに首を傾げたり様々な反応があったけど、私の周りでは顔をしかめたりしたひとはいなかった。



「なんというか。口どけがいい。」



「瑞々しいわ。」



(わたくし)はもうちょっと甘くてもいいわ。蜜は無いのかしら。」



「魔素もこの大きさの割に…ふむ。結構ありますな。」



「良いですねえ。見た目も水で包んでるようで。蜜をかけてもよさそうですな。」



 良かった。結構ウケてる。

 でも、ところどころで「蜜をかける」って聞こえるんだけど。トカゲの一族って意外と甘党?



「ウジャータ様。このお菓子は何というのですか?」



「ああ。これは『水菓子』だそうですわ。ねえ?ハルカさん。」



「おおっ。伴侶様が。」



「まあ。考えられましたの?」



 うわっ。ここで一気に注目がきた。

 でも、皆ほとんど食べ終わってる。目がキラキラしてるし、口にあったみたいだ。良かった。



 ちなみに、葛餅の名前は見た目と元のお菓子から取って「水菓子」にした。

 実家では葛を使ったお菓子をまとめて「葛餅」って呼んでたけど、本当は細かく分かれている。



 今回作ったのは「葛まんじゅう」もしくは「水まんじゅう」と呼ばれるものだ。

 だから、そこから「水みたいなお菓子」で「水菓子」。



 単純?私にネーミングセンスを求めないで欲しい。

 実家はマカロニだろうがペンネだろうがソースかけたらまとめて「パスタ」と呼ぶ家だ。ムリムリ。



「…故郷で作られていたお菓子を再現してみました。」



 視線に緊張しながらも、何とかつっかえずに答える。

 すると、また周りにヒトが集まってきた。新しいお菓子は十分に興味を引いたようだ。



「故郷というと、北の方ですわよね?」



「ええ。寒い時期が長くて、水が氷ることもあります。」



「ほお。そんなに。では環境がずいぶん違うのですな。」



「はい。ですから、材料を探すのにウジャータさん達にご協力願いました。」



 寒さに関してはイマイチ理解されてないみたいだけど、環境が違うのはわかってもらえたみたいだ。

 材料探しに関しては、ルドさんの名前を出すと守備隊に迷惑がかかる恐れがあるので、ウジャータさんの名前を全面に出させてもらうことになっている。



 実際、それで納得してくれたらしく、後は餡子の味や見た目が良いと言った好意的な感想をもらった。

 ちょっとびっくりしたのは「蜜をかけないのか?」という質問が多かったこと。



 ゼリーをわらびもちみたいに食べるからだろうけど…餡子があるのにさらに甘いものをかけるのですか。そうですか。

 トカゲの一族の味覚がわからなってきた。クルビスさん。目を逸らさないで下さい。



ちなみに、作者の実家も「葛饅頭」を「葛餅」と呼んでます。

通常、「葛餅」と呼ばれるものは「葛きり」と呼んでました。

最近になって気づきました。誤解を生んでたら申し訳ないです。



ただ、せっかくなので、この勘違いというか思い込みを作品に取り入れることにしました。

今後は誤解を生まないように気を付けたいと思います。

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