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今回も説明っぽい…。すみません。
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「クルビスさま、ハルカさま。本日はおめでとうございます。」
「まことに良き日にございますな。いや。これで我が一族も安泰だ。」
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
もう何回繰り返したかわからない挨拶をして、にこにこと対応する。
目の前にいるのはアルフレッドさんの補佐をしているひと達で、艶のある濃い灰色の体色に黒いラインが額と尻尾に入ったギリンジャーさんに、くすんだ赤茶色の体色に両手に紺の横縞の入ったボウスさん。
このひと達は心から私たちの結婚を祝ってくれているひと達だ。
挨拶をしていくと、こんな風に心から祝福してくれるひと達と、形だけのお祝いを言うひと達がいた。
まあ、大半が歓迎ムードで、形だけのひと達は少数みたい。魔素の強いひと達が多かった。
力がある分、権力とか嫉妬とかいろいろあるんだろうなあ。
いろいろと言えば、女性達の敵意は私に向くと思ってたんだけど、クルビスさんに敵意を持ってるひともいて驚いた。
名前はコールさん。すぐに覚えられた。艶のある濃い紫の体色で、尻尾の先が銀粉を散らしたみたいになっていてすごく綺麗なひとだと思った。
私には歓迎してると心から言ってくれたから、クルビスさんだけ嫌いみたいだ。
何があったんだろう。どこかでクルビスさんに聞いておかないとなあ。
まあ、私は嫌われてないみたいだから、今後会う時は私が彼女の相手をするようにしたらいいかな。
こんな感じで、今後どういう風に対応していくかも考えながら話していってる。
こういうパーティーでの情報はとても参考になる。相手も遠慮してる最初の内に頑張らなきゃね。
特に最近は、他のひとが言ってることの真偽が大体わかるようになったから助かっている。
メルバさんに魔素の猛特訓をしてもらったおかげで、魔素の揺らぎを感じ取れるようになったんだよね。
この世界では、ウソをつくとどうしても魔素に「揺らぎ」が出るそうで、その揺らぎを感知することで相手の言うことにどれだけの信憑性があるのか簡易に測れるらしい。
まあ、揺らぎは魔素の暴走につながるせいで、力の強い個体は徹底的に訓練をするから、あくまで目安にしかならないけど。
この魔素の感知能力、高めるには適性があるらしくて誰でも出来るわけじゃないらしい。
だから、私に才能があるとわかったときはメルバさんにもフェラリーデさんにも喜ばれた。
大まかにでも相手の対応の真偽が測れれば、私の立場ならきっと助けになると、それ以降、訓練が感知能力の向上に特化された。
これも深呼吸のおかげらしい。すごいな深呼吸。
そして、嬉しい時やプラスの思考を持ってる時なんかは、魔素が周囲に発散されてそれに感化された周囲の魔素も良い状態になる。
これは、魔素の感知に長けていなくてもわかるし、良いこととされているので隠すひともいない。
この2つの魔素の状態を見ながら挨拶してるので、大まかにだけど好意的かそうでないかの区別は付けれていると思う。
挨拶の数が多すぎて、誰がどうだったか覚えてられるか不安だけど。




