雨季ー49
思い出したことだしせっかくだから試食しようという流れになって、ルドさんがココナッツ汁粉を準備してくれてる間、シードさんに大体の説明をしておいた。
興味を持ってくれたようで、試食に参加したいという申し出をありがたくウケる。
シードさんは甘いものも食べるけど、得意っていうわけでもない。
一般的な男性の好みを持ってるから、食べてもらえれば参考になるだろう。
「良い感じに冷えている。」
お椀に注がれたココナッツ汁粉は普通の汁粉より少し青みがかっていた。
元の果物が青かったもんね。
水を含ませた分、ココナッツミルクは水色くらいになったけど、それでも青いものは青い。
だから、ピンクの汁粉がラベンダーっぽくなって、ラベンダーだった汁粉がアジサイみたいな綺麗な薄い青紫色になっていた。
何とか食べれそうな見た目だ。
ルドさんとシードさんもそう思ったのか、見た目に関しては何も言わなかった。
「「「いただきます。」」」
味は…うん、ココナッツ汁粉だ。
まったりして独特の風味があるけど、それがまた南国のこの辺りのイメージと重なる。
クセがあるのは伝えてあったから、ふたりとも匂いを嗅いだりしてたけど、とりあえず食べてくれた。
「これにアイスも加えると美味しいんですよね。」と私が言うと、ルドさんが「メルはまだあったはず…。」と材料の検討をしだした。
「まあ、とりあえずはこのままで試食しましょう?どうでしょう?クセがあるんですが、冷たくして食べるので、これからの季節にいいかなって思うんですが。」
「そうだなあ。俺は好きだけど、この匂いがダメってやつもいるだろうなあ。さっき言ってたアイスを乗せるともっと食べやすくなるのか?」
感想を聞いてみると、シードさんからはまずまずの反応が返ってきた。
でも、匂いがダメかあ。これ、クセあるもんねえ。
アイスを乗せると口あたりが良くなるかなあ。
まろやかさが出るし、バニラアイスならバニラの香りで少しはましになるかもしれない。
「そうですね。アイスといってもバニラアイスなら、このクセも少しマシになると思います。後は薄い焼き菓子を添えたりとか、いろいろトッピングで工夫出来そうですね。」
「焼き菓子か…。それなら後で作れるな。アイスは時間がかかる。」
ルドさん。トッピングは後日でいいんじゃないでしょうか。
でも、組み合わせを考えるってことは、やっぱりクセが強いんだなあ。
もしかしたら、ココナッツ汁粉はここでは流行らないかもしれない。
作るのすごい手間だもんねえ。




