雨季ー34
クルビスさんも同じことを思ったらしく、ベッカちゃんとフルールちゃんに地下に西地区の子たちがいることを伝える。
すると、まずお祖父さんとお祖母さんに地下に行くことを伝えてから行くと返事をして、2階に戻っていった。
しっかりしたお嬢さんたちだ。
でも、ふたりだけだと危ないからと隊士さんをひとりつけたけど、その隊士さんの両手を取って引っ張っていく姿は年相応にみえた。
「可愛いですね。」
「ああ。最初は女の子がいいな。」
いきなり何です?ここで言わなくてもいいでしょうに。
まあ、でも気持ちはわかるかなあ。
あんな可愛い子たちを見たらねえ。
異種族間での妊娠に不安はあるけど、子供は早いうちに欲しいと思う。
どんな種族で生まれてくるんだろう。
ヒト族はここでは生きづらいから、出来ればエルフかシーリード族で生まれて欲しいなあ。
体色は拘らないけど、クルビスさんと私の子なら濃いめの色の方がいいかも。
体色の濃淡への差別があると知った今では、余計にそう思う。
クルビスさんもルシェリードさんも有名なだけに、生まれてくる子の体色が薄いとその子が周りから色々言われるだろう。
まだ生まれてもいないけど、だからこそ、いろいろ考えてしまう。
そんなとりとめもないことを考えてると、クルビスさんの抱きしめる腕に力が入る。
しまった。今過保護なんだった。
「不安があれば言ってくれ。ここには腕のいい治療術士もたくさんいるし、母も祖母も相談に乗ってくれる。」
共鳴ですっかり考えてたことがバレてた。
私が妊娠と出産に不安を持ってることが伝わっちゃったみたいだ。
でも、理解されないより、旦那様に知っててもらう方がいいかな。
異世界だし、自分の常識がどこまで通用するかなんてわからない。
家族だから伝わるだろうなんて幻想は信じてないけど、そもそも種族が違うんだし、もっと積極的に話をしないとね。
こんなに心配されるのも、私が異世界出身だからってこともあるだろうし。
私が素直に返事をすると、ようやくほっとした顔になる。
穏やかな空気が流れた所でふと階段を見ると、ベッカちゃんとフルールちゃんがじいいっとこっちを見ていた。
「「らぶらぶー。」」
う。そんなきらきらした目で見ないで。
何だかいたたまれなくなってきた。
クルビスさん。
当然って顔しないで下さい。




