雨季ー29
「襲撃かあ。確かに、聞いてる通りの奴らならやりそうだな。」
「ええ。ありがとうございます。ハルカさん。」
私の予想を聞いて、キィさんもフェラリーデさんも頷いている。
調査隊のメンバーが揃ったことを報告しに来たキーファさんも深刻な表情だ。
ホントにいいのかなあ。
思いつく中で最悪の事態を想定して行ったけど、素人の思い付きですよ?
ぽふっ
周りの反応に恐縮してると、頭の上に手が乗せられた。
クルビスさんだ。気にするなってことみたいだけど、気になりますよ。
「ハルカの勘は当る。大丈夫だ。」
そうかなあ。
私がその根拠を聞き返そうとしたところで、何人かの隊士さん達が慌ただしく降りてくる。
その中にはシードさんとリリィさんもいた。
どうやら地下の調査隊のメンバーが集まったらしい。
「クルビス隊長。戦士部隊、調査隊メンバー揃いました。」
「リード隊長。治療部隊、調査隊メンバー揃いました。」
「よし。では今から地下へ向かう。部隊の指揮はリードが取ってくれ。シード、キーファはその補佐だ。移動直後の攻撃も十分ありうる。気をつけてくれ。」
え。クルビスさん行かないの?
でも、周りは当たり前のように礼を取って、階段を上がっていく。
たぶん、転移陣で地下に向かうんだろう。
クルビスさんとキィさんは並んでそれを見送っていた。
「クルビスさんはいいんですか?」
見送った後に、また私を膝に乗せるクルビスさんに思わず聞いていた。
クルビスさんは納得したように説明してくれた。
「こういう場合は魔素の扱いの上手い者と、体術に長けた者を組ませるんだ。体術に関してはシードが抜群だからな。かならずシードは入れる。そして、隊長と副隊長はどちらか片方は本部に残らなくてはならないから、俺が残ることになるんだ。」
ああ。成る程。シードさんが行くから、クルビスさんが残るんだ。
フェラリーデさんが行くからリリィさんは残るし、キーファさんが行くからキィさんは残ると。
命令系統は残さないといけないもんねえ。
ついでに教えてもらったけど、今回の地下調査隊は戦闘を前提に組まれているので、体術と術式両方のバランスがいい隊士さんが揃えているそうだ。
フェラリーデさんも戦闘でも治療でも実践経験が多いらしく、こういう場合は隊長みずから外に出ることもしばしばあるらしい。
北地区は森と隣接してるために、魔獣の討伐もしばしば任務にあるらしくて、実践に強い隊士さんが揃っているのだそうだ。
ポムの小道が安全だっていうのは聞いてたけど、そんなに魔獣が出るなんて今初めて知ったんですけど。
まあ、でも、それなら安心かな。どうか皆さんが犯人グループを上手く取り押さえられますように。




