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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
番外編 新婚編
332/360

雨季ー23

「…当のハルカさんは忘れてるみたいだが、刃物持ってたやつにブーケを投げつけただろう?あいつだよ。北西をまとめてるビドウが目撃してますから間違いはないかと。

 最初は近くにいたリッカを狙ったかと思ったのですが、他にも、同じような不信な動きをしてて、隊士に見とがめられて逃げてるのが幾つかいます。その中には目の周りに黒い模様のあるやつがいたという報告を受けてます。今、考えると目撃された場所はどれも川や噴水といった水場の傍が多かったですね。」



 前半は私に対して呆れたように、後半はメルバさんへ説明するキィさん。

 ブーケって、ああ。私の危機察知能力で思わずブーケを投げつけたやつ!



 思い出した。思い出した。

 あの後会ったビドウさんと、似てない可愛いお嬢さんの方が衝撃的で、すっかり忘れてた。



「ホントに忘れてたのか?」



 クルビスさんにも若干呆れの表情で言われる。

 いや、だって。もっと驚くことがあったんですもん。



「あの後、ビドウさんとお嬢さんに会った方が印象が強くて…。」



「ああ。それは、わかるな。」



 同じ衝撃を味わったクルビスさんには理解されたようだ。

 その間にキィさんの話を聞いていたメルバさんが、珍しく難しい顔をして腕を組んでいた。



 真面目な顔でそんな仕草をすると、カッコよさが5割増ししてる気がする。

 普段の言動で忘れがちだけど、メルバさんって正統派の美形だもんねえ。何しても様になるったら。



 ぎゅうう



 何てことを思ってたら、私を抱え込むクルビスさんの腕に力が入りました。

 すみません。ちょっと眼福って思ったのはうそです。クルビスさんだーい好き。



 こっそりすり寄るように座りなおすと、腕の力が普通に戻った。

 ああ。危ない。いつとは違うんだってことを自覚しないと、そのうち嫉妬で殺されるかもしれない。



 普段ならそんな馬鹿なって思う妄想も、今のクルビスさんだとあながち無いともいえない。

 自分の言動には気をつけよう。ただでさえ、共鳴でダダ漏れなんだし。



「ん~。同じことやろうとしてるのかなあ。方法といい、雨季に行動を起こそうとするところといい、似てる気がする…。ヒビってもう完全に修復しちゃった?」



「いえ。水が地下に流れ込まないように応急処置で埋めただけです。それ以上は地下の連絡待ちです。」



「そっかあ、それくらいなら見ればわかるかなあ。僕、ちょっと見て来るよ。あ。クルビス君はハルカちゃんと一緒にいてね。式のこともあるから、もしかしたら標的かもしれないし。」



 え。私?何で?

 確かに式の時にブーケを投げつけたけど、それで狙われちゃったの?



「刃物もって、ハルカちゃんとクルビス君が通るの物陰から見てたんでしょう?十分、怪しいじゃない。もちろん、別の目的かもしれないけどね?キィ君、リビーちゃんはこっち来てる?」



「いえ、中央に預けています。子供がまだ小さいですし、遊び相手もいるので、今回はその方がいいだろうとリッカと話合いまして。」



「じゃあ、ルー君に確認がてら、警備の強化もお願いしておこうか。今はドラゴンも多いし、中央にいるなら、滅多なことはないと思うけどね。もしあの時と同じ考えのやつらなら、ホントに危ない連中だからね。対策は過剰なくらいやってていいよ。」



「お願いします。」



 キィさんが頭を下げると、メルバさんは入口の合羽を借りて外に出ていく。

 フェラリーデさんが慌てて「おひとつではっ。」と止めてたけど、メルバさんはいつものノリで「だーいじょーぶ。大体検討つくし、詰め所までは転移で行くから~。」と言って、本当に転移で行ってしまった。



 雨季って術式使いにくいんじゃなかったっけ?

 転移って、出来るひとには出来るものなのかなあ?



「え。マジで転移?こっから?すげえ。」



「さすが長さま…。」



 …違うみたい。

 キィさんとキーファさんがポカンと口をあけて言ってるところからして、普通は出来ないようだ。



 フェラリーデさんはため息をついていたけど、いつものことなのか首を軽く振って、苦笑して戻ってくる。

 苦笑してても優雅で美しいのはさすがエルフだ。ご馳走様です。…クルビスさん、ただの感想ですからね?

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