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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
トカゲの一族
33/360

今回は説明が多いです。

 そもそも、ルシェモモでのスイーツの歴史は浅い。

 メルバさん達エルフ、もとい、深緑の森の一族が伝えるまで甘いものを食べるという習慣自体が無かったそうだ。



 まあ、トカゲさんやヘビさんが甘いもの好きって言われてもピンとこないけど。

 ルシェモモ創設期の2000年前から1500年前までは、甘いものは飲み物に蜜を入れるくらいだった。



 それが産業が安定して他の都市や種族と交流するようになると、食文化の交流も起こるようになった。

 特に、キィさんのようなカエルの種族・スタグノ族の食文化の影響は大きく、彼らの影響で異文化交流の時に互いの料理を出すようになったらしい。



 キィさん曰く「うちはみんな食い意地が張ってるからなあ。よその料理が食いたかっただけだろう。」とのこと。

 食べ物への執着が強い彼らの影響で、メルバさんがあー兄ちゃんのレシピを掘り起こしたのがルシェモモのスイーツの始まり。



 これが1000年くらい前のこと。ずいぶん大昔に聞こえるけど、ここでは赤ん坊が中年になるくらいの時間だ。

 これだけなら問題もないんだけど、技術都市としての法律が食の発展にストップをかけた。



 発端は、美味しい料理の店があると、同じような商品を出す店が次々と出て争いになったことが原因らしい。

 物を作るよりは食事を作る方が見ていて真似やすいからだと思うけど、お店にしてみれば死活問題でかなり泥沼の争いになったそうだ。



 最終的には、親戚一同を巻き込んでの嫌がらせや傷害事件などに至ってしまい、各一族の長はこのままではいけないと話し合ったそうだ。

 争ったひと達は自分こそがオリジナルだと聞かなかったが、調べてみると、実際に開発したのは他の都市のひとだったこともあって、そのひとにオリジナルの称号を与えることで決着がついた。



 しかし、また同じようなもめ事があってはならないと、料理も技術と定めて保護をすることになった。

 調理するものも資格化し、階級ごとにレシピを知る権利を上げていくことにして、ようやく事態は落ち着いたそうだ。



 その一方で、技術の保存によってレシピの秘匿が普通となり、各一族の秘伝の料理やお菓子というものが出来上がってしまった。

 見ただけでわかるかき氷などはその対象にならなかったが、レシピの秘匿のせいでバリエーションというものが無くなってしまった。



 これに異を唱えたのがウジャータさん。

 彼女は愛しい伴侶のためにあらゆるスイーツのレシピを求めた。



 レシピの閲覧資格を持つためだけに調理師の特級まで上り詰めた彼女の愛はすごいと思う。

 彼女は日々新しいスイーツを開発し、伴侶のアルフレッドさんにささげていたそうだ。



 その過程で、いくつかのスイーツには共通する工程があることを発見し、その共通工程までは公開すべきだと主張した。

 これに関しては調理師たちからも賛同を得られ、現在、ウジャータさんは調理師のための教室を開いている。



「ここまで来るのに300年ほどかかりましたわあ。皆さん頭が固くって。」



 ホホホッとウジャータさんは私にルシェモモで料理教室を作るまでの事情を話してくれた。

 その間もてきぱきと餡子を丸めていく。大きさも均一でスピードが速い。プロだなあ。



「そうなんですか…。じゃあ、レシピの公開は反感を買うかもしれませんね。」



 同じく餡子を丸めながら私が答えると、ビアンカさんが冷蔵庫から冷えたゼリーを持ってきてくれた。

 型から外していきながら、「大丈夫よ。」と答えてくれる。



「ここ数年は暑さに拍車がかかってるから、魔素の消費が激しくて補給が重要視されてるわ。でも、同じ補給なら楽しむことの出来るものがいいって、今、スイーツの開発に注目が集まっているの。」



 メルバさんが言ってた、「冷たいものの需要が増えてる」ってそういうことか。

 暑すぎるとバテるもんねえ。成る程。

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