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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
番外編 新婚編
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雨季ー15

 しばらく質問攻めだったけど、ベルさんがお汁粉を持ってやってくると子供たちはすぐさま席につく。

 しつけられてるなあ。ただ、お利口なのもお汁粉を目の前に置かれるまでだったけど。



「「「いただきますっ。」」」



 ようやく運ばれてきたおやつに子供たちは飛びついた。

 事前に一気に食べないように注意はしたが、大丈夫だろうか。



「落ち着いて食べるっすよ~。じゃあ、俺は戻るんで後よろしくお願いするっす。」



 忙しそうなベルさんを見送りつつ、メルバさんの予想がばっちり当ったことに感心する。

 まあ、おやつ目の前にして、我慢できる子供っていないだろうけど、むせたりしないよう気をつけないとなあ。



「美味しいっ。」



「あったかーい。」



「ちゃんとふうふうして食べるんだぞ?」



「うん。ふう~。」



 一気に食べてしまわないよう子供たちの様子を気にかけて見回っていくけど、待ちに待ったおやつに飛びつきはしたものの皆上手に食べていた。

 大きい子は小さい子にやけどしないよう注意までしてるくらいだ。



 しっかりしてるなあ。手のかからない子たちだよね。

 これなら大丈夫かな。



「美味しい~。これ好き~。」



「おかわり~。」



「まだ途中だろ?これだけ食べたら、お腹一杯になるよ。魔素がたくさんあるんだから。」



「ぶ~。入るもんっ。」



 うん?もめ始めてる?

 様子を伺っていると、子供たちの中では大きい子と小さい子の中間くらいの子と小さい子が何やら言い合っていた。



「食べたらわかるよ。食べ終わる前におかわり欲しいって言うのはいけないんだぞ。」



「美味しいから入るっ。」



「だから無理だってっ。」



 あら~。小さい子特有の出来るもん的なやつだ。

 これって無理に抑え込むと返って悪化するんだよね。



 おかわりさせてあげたいけど、魔素は取り過ぎると魔素酔い起こすからなあ。

 周りの子も気づき始めたようで、心配そうに見守っている。



「おかわりする元気があるのはいいことだ。だが、今日の分の豆は隊士たちに使ってしまったから、この1杯しかないんだ。すまないな。」



 私が声をかけようとしたところで、いつの間に移動したのかクルビスさんがふたりの子供の頭に手を置く。

 その魔素は穏やかで、興奮していた子供たちも大人しくなった。



「隊士さんに?…じゃあ、我慢する。」



「そうか。ありがとう。」



 おかわりすると言っていた子は諦めてくれたようで、場の空気がホッと緩む。

 良かった。下手に言うと泣きだしていただろうから、クルビスさんがフォローしてくれて助かった。



 この世界では泣くのにも魔素を消費する。

 こんな小さい子が、まして体調が万全でない子が泣きだしたら、かなり消耗することは目に見えていたから、収まってくれて本当に良かった。

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