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トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
番外編 新婚編
319/360

雨季ー10

「変わったことはなかったか?」



 何故か探るように私を見つめるクルビスさん。

 久々に私の危機察知警報が仕事をする。



 何でも無いように答えないと、やばいかも。

 主に私が。



「ええ。あ。お汁粉のレシピを調理師さん達に教えました。皆さんが作って下さった汁粉がほら、あんなにたくさん。」



 私が指し示すと、調理師さん達がお鍋を抱えて示してくれる。

 その量とルドさんの頷きを見て、やっと納得したようだった。



「さあ、皆さんが作って下さったお汁粉食べましょう?美味しいですよ?ねえ?キィさん。」



 クルビスさんを見ながら、キィさんに話題を振る。

 すみません。助けて下さい。



「おう。うめえぜ?ほら、おめえも食えよ。ハルカに食べさせてもらえばいいだろう?蜜月なんだし。」



 笑いを含んでいるものの、いい感じに話を振ってくれるキィさん。

 おかげでクルビスさんも「そうだな。」と言って手近な席に座ってくれた。



 私を膝抱っこして。

 これは二人っきりの時にって約束はしたものの、この状況だと嫌とも言えない。



 ルシェリードさん家の習慣だもんね。

 伴侶を離したがらないって片鱗はあの時点で見ていたわけだ。



「クルビス隊長、お疲れ様です。ハルカさんとお2つ分の汁粉です。」



「ありがとう。アニスも休憩してくれ。ずっとついていて疲れたろう?」



 アニスさんぐっじょぶ。素晴らしい心遣いです。

 この状況に疲れたでしょう?休んでください。



 クルビスさんの腕の中から小さくOKサインを出すと、アニスさんはホッとしたような顔で「では、少し失礼します。」と言ってカウンターに向かって行った。

 たぶん、お汁粉を注文するんだろう。ずいぶん気に入っていたみたいだから。



 アニスさんが持ってきた汁粉のお椀を持って、スプーンですくって食べさせる。

 めんどくさいけど、今はこうした方が良さそう。



 すると目に見えて機嫌が良くなってきた。

 伴侶の意識が自分に向いてないといけないわけだ。これは気をつけないといけないなあ。



「お~い。落ち着いたなら、あの後の状況聞いていいか?」



「…ああ。念のため避難させることには成功した。負傷者もいないし荷物をまとめさせて、近くの詰め所に移ってもらっている。こっちに移すかどうかはリードとキィに聞いてからにしようと保留してある。」



 お仕事の話かあ。

 キィさんとキーファさんが帰ってきてるなら、ヒビはどうにかなったんだよね?



 で、念のため住人の避難とか指示していたクルビスさんも帰ってきたと。

 じゃあ、状況は一応落ち着いたのかな。



「お。そっか。もう一杯もらえるか?その分の魔素を補給したら、転移使えるぜ。」



「ええ。私ももう一杯お願いします。これは良いですね。冷え過ぎた身体も温まりますし。」



 おお。キィさんとキーファさんに大好評。

 これなら、後から来る隊士さん達にもウケるかな。



「そうか。後は…。」



「私も賛成ですよ。丁度部屋も幾つか開いていますし、そこに来ていただきましょう。」



 あ。フェラリーデさんだ。

 誰か連絡してくれたのかな?



「良い香りがしたので降りて来たんです。丁度良かったですね。」



 あ。違った。

 汁粉につられただけだった。

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