表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トカゲと散歩、私も一緒  作者: *ファタル*
番外編 新婚編
315/360

雨季ー6

「…ここまでのようだな。ハルカ、これを持って表に出てくれ。たぶん待ってるだろう。」



 はい?何が待ってる?

 私が首を傾げていると、冷蔵庫から出した水菓子の乗ったお皿を突き出された。



 これ持って外に出ろってことかな?

 アニスさんも心配そうに食堂の方を見ているから、たぶんそうだろう。



「今冷やしてるスープはそれを食べてからにしよう。でないと俺の身が危ない。」



 何か危険なものがあるのかな。

 すごく怖いんですけど。



 それ以上言わないルドさんと急かすようにドアを開けるアニスさんに背中を押されるようにして外に出る。

 その途端、空気が重くなったのを感じる。これは…。



「ハルカさん。お願いします。そろそろ隊士たちにも負荷が…。」



 アニスさんが泣きそうな顔で食堂の方を手で示す。

 うん。そうでしょうね。さすがにわかりました。



 一体どうしてこうなったんだか。

 覚悟を決めて、にっこり笑顔で食堂に向かう。



 後ろにはアニスさんもついて来てくれるけど、少し距離があるのは気のせいじゃないだろう。

 食堂に向かうと階段近くのテーブルに重々しい空気、いや、魔素をまとったクルビスさんがいた。



 周りの隊士たちは遠巻きにしている。

 声かけるの勇気いるなあ。あ。でも水菓子があるか。



「クルビスさん、休憩ですか?ちょうど、水菓子が出来たんです。一緒に食べましょう?」



 すると、重苦しい空気が軽くなる。そこでやっと雨の音が聞こえてきた。

 …やっぱり原因クルビスさんかあ。何かあったのかなあ。



 内心首を傾げながらも、笑顔で水菓子をテーブルに置く。

 するとあっと言う間に膝に乗せられ、顔を覗き込まれた。



「ずいぶん時間がかかった。」



「スープを2種類作ってたんです。クカの果汁を絞らないといけなくて、それが大変でした。」



 ちょっと怖かったけど、何でもないように訳を話す。

 どうしてこうなったんだろう。今までこんなこと無かったのに。



「クカの実を?…それは大変だったろう。そうか、それで。」



「ええ。結局まだ出来上がってないんです。その前にクルビスさんとおやつにしようと思って。」



 ちょっと落ち着いてきたクルビスさんに、いつの間にか用意されてた小皿に取った水菓子を差し出す。

 大サービスでフォークに刺してあ~んってしてあげたら、やっと笑ってくれた。



 ちらりと見ると、周りの隊士さんたちはホッとした顔で遠巻きに私たちを見ていた。

 それもクルビスさんに顔の向きを直されて、すぐに見えなくなる。クルビスさんしか見ちゃいけないみたい。



 ここまでの反応で嫌でもわかる。

 これって私と離れてたからだよね?



 婚約の時はここまでじゃなかったのになあ。

 式の時は離れたがらなかったけど、その時より酷くなってる。何でだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=523034187&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ