デートー13
世界樹の種はピスタチオの味だった。
香ばしくて美味しい種だ。
ますますビールが欲しくなってきた。
果実酒でもいいんだけど、無いかなあ。
「お酒って屋台で売ってるでしょうか?何だか飲みたくなってきました。」
「たしかに飲みたいな。でも、今日は酒はダメだ。魔素酔いを起こしやすくなる。」
あ。そうなんだ。
魔素酔いは困るなあ。
今日が結婚式だったし、…夜のこともあるし。
最近、やっと魔素全開のクルビスさんと引っ付いてても魔素酔いは起こさなくなった。
チューくらいなら平気になったし、今日はちゃんと出来るんじゃないかな。
じゃあ、今日はジュースにしよう。新鮮で美味しいし。
「そうですか。じゃあ、ジュースおかわりしたいです。」
「ああ。それならここで頼める。」
そう言って、クルビスさんはメロウさんにオレンジジュースの追加を頼んでくれた。
このジュース美味しいんだよね。コーヒー色だけど。
フレッシュジュースなんて、日本で仕事してる時は贅沢な飲み物だったなあ。
100%ジュースがせいぜいだった。
「美味しいですね。」
「ああ。ここは市場が近いから、魔素の豊富なものが手に入る。大き目の転移局があるんだ。」
転移局かあ。流通の要が近くにあったら便利だよね。
そういえば、トカゲの一族でのお披露目で働かないかって誘われたっけ。
「転移局って、具体的にどんなお仕事するんですか?」
「転移局か?物を転移陣で移動させるために魔素を流し込んだり、距離を術式で調整したりする。後は、荷物の受け渡しの事務だな。」
う~ん。興味はないかな。
魔素の調整なんて出来ないし、事務なんて経験ないし。
「う~ん。転移局は私に出来ることは無さそうですね。」
「そうでもないぞ?」
へ?
でも、今聞いたどれも当てはまらないけど。
「ハルカの魔素は安定してるからな。一定の魔素を安定して供給できて、魔素の量を持った術士なんてそうそういない。だから、ハルカを紹介してくれと各転移局からの依頼が結構来てる。」
えええ?
何そのスカウト。
ていうか、何で黙ってたんです?
私がやりたいことをすればいい、ですか?
気遣われちゃった。
この分だと、私に直接会いにきたひととかも追い返してくれてるんだろうな。
それにしても、私の魔素が安定してるってどこ情報?
訓練中はメルバさんとルシン君以外いないのに。
「ハルカの魔素は大きいんだ。長の結界でもすべては覆い隠せないだろう。」
呆れたようにクルビスさんが言う。
…そんなに大きいの?結界から漏れるくらい?
頷かれちゃった。
うわあ。じゃあ、早く仕事を決めないと面倒なことになるかも。




