デートー11
「ハルカ。」
う。腰にくる声で囁かないで下さいよ。
補聴器外してて良かった。
周りも賑やかだから、ダメージは少ない。
クルビスさんを軽く睨むと、今度はにこやかにフライを差し出してきた。
なんでそんな嬉しそうなの?
私に食べさせるのって、そんなに楽しいのかなあ。
うーん。まあいいか。結婚式だったし。新婚だし。
今日は大人しく食べさせてもらっとこう。
あ。お魚のフライだ。いただきまーす。
身が緑色してるけど、味は淡白。
フライドポテト欲しいなあ。
そしたらフィッシュアンドチップスになるのに。
あ。差し出されたこの真っ赤な色は…。
ジャガイモだ。櫛形だから、まさにフィッシュアンドチップス。
「お芋ですね。ホクホクしてる。」
塩と何かハーブがまぶされてるけど、食べやすい。
カレー味も良かったけど、これもいいなあ。
何だかビールが欲しくなってきた。
「揚げたピクだ。これも深緑の森の一族のメニューだな。もっと細く切って揚げたものや、薄いチップにしたものもある。」
あー兄ちゃん、フライドポテトにポテトチップまで教えたの?
フライドポテトはともかく、ポテトチップは作るのが大変じゃないのかな。
あ。でも、この街ならスライサーとかありそうだなあ。
雨季が終わったら新居を探す予定だし、新しい調理器具も欲しい。
クルビスさんと買い物に行くのも楽しそうだ。
ふふ。何だかウキウキしてきた。
「気に入った?もっと食べる?」
いえいえ。まだ食べれるけど、他のも一口ずつは食べないと。
それにクルビスさん、さっきから全然食べてないでしょう?
首を振って、クルビスさんからフライドポテトをうばうと、逆に口元に持っていく。
どうだ。恥ずかしいでしょう?
パク
あれ?普通に食べた。
クルビスさんに恥ずかしいって気持ち無いの?
「ハルカから食べさせてくれるなんて、番になった気がする。」
番になった気がするって…。
あ。もしかして、あーんって新婚ならではの行為なの?
そっかあ。なら今のうちにやっとかなきゃね。
次はお肉かな。竜田揚げどうぞ。
「ん。ハルカに食べさせたいんだが。」
私はいいんです。
太ったらどうしてくれるんです?
「共鳴すればいいだろう?魔素が減る。」
へ?共鳴ってダイエットになるの?
そんな情報初めて聞いたんですけど。
笹丸様より、「共鳴ダイエット」ネタ頂きましたので使ってみました。
ありがとうございます。




