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「ふうっ。やっと着いたあ。10階建てって、階段で移動するものじゃないと思うんだけど…。」



足が疲れてしまって、すでに座り込みたい。

背の高い建物だと思っていたけど、10階まであるなんて思わなかった。



隊長さんの執務室兼お部屋は最上階の10階にある。

ここのひと達は鍛えてるから平気なんだろうけど、一般人な私にはきつい。



ここに来るまで、階段に座り込んで何回か休憩したし。

クルビスさんが下で食事をとらないのって疲れるからじゃないのかなあ。何で10階もあるんだろう。



街に出た時思ったけど、ルシェモモの街には背の高い建物が少ない。

3階以上にするには特別な建築をしないといけないから、それくらいなら半球の直径を大きくして1階2階を広くとる方が一般的なんだとか。



なら、守備隊もそれでいいじゃないと思ったんだけど、北の守備隊はドラゴンが本体で直接移動出来るように屋上が発着場になっているので、特別高い建物にしているんだそうだ。



なんでそうなったかと言うと、北の守備隊は初代の隊長がドラゴンの一族で、それ以降もドラゴンの一族が何度か隊長をつとめたことがあるらしく、転移術が確立されるまでは本体で直接移動することが多かったからだそうだ。



まあ、そんな守備隊にとっては意味のあることでも、私には体力への挑戦にしかならない。

息を整えて、葛餅を乗せたお盆をしっかり抱え、黒く塗ってる貝のノッカーを叩く。



カッカッ



しばらく待つと、ドアが内側から開いた。

中から顔を出したのはカーキ色のヘビの男性。副隊長のシードさんだ。



「おお?ハルカじゃねえか。どうした?」



「あ。差し入れです。新しいお菓子を作ったので。」



「おーっ。やった。おいクルビスっ。ハルカが差し入れだってさ。」



そう言って大きくドアを開けて中に入れてくれた。

初めて入った部屋の印象はシンプル。家具がほとんどない。



手前にはシンプルなテーブルがドンと置かれ、その上には書類が散らばっている。

奥には装飾の施された立派な机があって、そこに黒いトカゲの婚約者が座っていた。



「ピギッ。」



机の傍にはネロもいた。どこかに行かないように腕に通すタイプのリードを付けられている。

小さいときから大暴れしてたから、今では寝るとき以外はリードを付けられているらしい。おバカな子。



「ハルカ。わざわざ持ってきてくれたのか。ありがとう。大変だっただろ?」



私からお盆を受け取りながら、クルビスさんがお礼を言ってくれる。

心配してくれてるけど、顔が嬉しそうだ。来て良かった。

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