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素敵なお祝いをもらった後、せっかくだから花ビラのまかれた道を歩きたいとクルビスさんにお願いした。
腰が抜けたままじゃないかと心配したけど、感動したおかげか無事に立つことが出来る。よかった。
その代わり、クルビスさんの腕に引っ付くことを約束させられたけど。
ルシン君に再び裾持ちをお願いして、ゆっくりと歩いて行く。
「まあ、本当に黒と白のドレスなのね。」
「黒が引き立って返って良いわね。」
黒と白のドレスの評価はどこでもされるんだな。
やっぱり黒が基準みたい。
でも、今まででも白を否定する意見は少なかったし、目論みとしてはなかなかうまくいってるんじゃないだろうか。
ドレスのおかげかな。マルシェさんに感謝だ。
「おめでとうございます!」
「お似合いですわ!」
とと。すごく元気な魔素だ。
同じような容姿のひと達だから、同じ一族で固まってるみたい。
あれは、イグアナの一族?
あのお嬢さんはいないみたいだけど、何だろう、舐めるように熱心に見つめられてる。
「ありがとうございます。」
さりげなくシードさんが前に出てくれたけど、敵意は感じないから大丈夫だろう。
クルビスさんが横にいるのも影響が大きいと思う。
だから、笑顔でお礼を言える。
すると、ホッとしたような感謝するような魔素が伝わってくる。
「彼らはあの子の身内だろう。顔が似ている。自分も仲間だと思われないか心配なんだ。」
何故だろうと内心首を傾げる私にクルビスさんがそっと教えてくれる。
顔が似てるって、私にはイグアナさんの顔なんてどれも同じに見えるんですけど。
まあでも、クルビスさんが言うならそうなんだろう。
あのお嬢さんの親戚さんかあ。
親戚が傷害事件起こしたら心配になるのも無理はないか。
大丈夫ですよ~。怒ってないですよ~。
にこにこと笑顔でアピールすると、礼をとるひとまで出て来た。
え。別に何も言ってないのに。
「普通はあれだけのことをしたら、親類縁者にまで罪が及ぶものだ。特に一族で教育も行っているところはな。」
今度の疑問もクルビスさんがそっと教えてくれる。
親類縁者までって、それは罪が重すぎないかな。
それとも私が日本でぬくぬくと育ったからそう思うんだろうか。
こっちではどうにも理解できないことがたまにある。
異世界の刑罰に若干呆れながら周りを見ると、そこかしこにイグアナの一族がいた。
ここってイグアナの一族が住んでる所なの?
イグアナの長は中央よりの場所に家を構えてたから、気付かなかった。
各一族のお勉強もまだ途中だし。
他のイグアナの一族は興味津々といった感じでこちらを見ている。
体色はグレーに黄緑にレモンイエローなど多彩なものばかりだ。
シーリード族なら本来こうなんだよね。
あのお嬢さんは不自然に黒かったけど、今いるイグアナの一族のひとはみんな普通の体色だ。
特別塗ったりしてる様子はない。
そうだよね。長さまだって塗ってる様子はなかったし。




