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 葛餅を作り続けて数時間。試行錯誤の結果、5ミリくらいの厚みで作るのが丁度良いということになった。

 厚みがあり過ぎると、ゼリーが口の中で残るんだよね。



 逆に薄すぎるとゼリーが冷えた後固い感じになるし、食べても餡子ばっかり勝ってしまって、葛餅を食べてる感じがしない。

 包んで丸めるだけなのに、結構難しい。お菓子作りって奥が深いなあ。



「うん。中も甘ずぎないし、冷たくていい感じですっ。」



「ああ。これなら夏でも食べやすいだろう。冷やすと口当たりが良くなるな。」



 ゼリーで作った葛餅は、外は瑞々しいゼリーで冷たく中はしっとりした餡子が口に溶ける、熱い季節にピッタリなお菓子になった。

 本物の葛餅より異世界のゼリーの方が瑞々しいから、冷やして食べるということにとても向いている。



 厚みを5ミリに決めると、少しは味が欲しいということでほんのり甘みを付けることになった。

 そしたら、冷やした時にゼリーがより冷たく感じ、餡子の甘みと一体になってとても美味しいという驚きの発見があったりして、とても楽しい時間だった。



 完成形のゼリー葛餅は半透明というより白っぽいプルプルした外側に濃いピンクと紫の餡が中に入った愛らしいものになった。

 ゼリーの厚みを増やしたら白っぽさが増して、中心の餡の色が全体に映って色のついたマシュマロのような淡いなんとも言えない色味をしている。



 中心のピンクが結構はっきりしてるから、桜より…桃の花の方が印象が近いかな?

 紫は藤の花みたいだ。昔、京都の平等院鳳凰堂の藤棚で見た満開の藤の花が思い出される。



「女性隊士に人気が出そうだな。」



「そうですね。デザートでもいいですし、お茶受けや手土産にしても喜ばれそうです。」



「手土産か…。ハルカ。今度、トカゲの家長の家族と会うんだってな?」



「ええ。そうですけど…。」



 急に何だろう。

 まあ、ルドさんはトカゲの一族だし、知っててもおかしくないんだけど。



 婚約が決まってすぐにトカゲの一族の長と私の後見であるドラゴンの一族の長には挨拶に行っている。

 ただ、急な話だったので、長にしか会うことは出来なかった。



 本当は長のご家族とも会って、式の段取りを協力するための顔見せをする必要があるんだけど、私がこっちに来た影響で気温が下がってから一族への対応に追われて忙しいらしく、顔見せは後日あらためてということになった。



 先日、ようやく段取りがついて、明後日のトカゲの一族全体への顔見せの前に長のご家族と会うことになっている。

 ギリギリの日程だし、気に入ってもらえるか不安でとても胃の痛い話だ。



「なら。これを持っていかないか?」



 ルドさんはそう言って、葛餅の乗ったお皿を指さした。

 持っていくって、手土産にするってことですか?なんで?

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