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子供たちを廊下まで送ると、大きい子たちが待っていた。
どうやら小さい子たちを迎えに来たみたいだ。
「お迎えかな?」
「ううん。待ってた。花を渡すからって連れて来たんだ。」
ああ。小さい子たちをここまで連れて来てくれたんだ。
しっかり下の子の面倒見てるんだなあ。
「ルシン兄ちゃんは?」
ん?ルシン君?
そういえば、一緒に来たのに姿が見えない。
「ルシンなら、お腹が減ったから今食事をしてます。」
え?ルシン君だけ?
私たちと一緒でいいんじゃ…。
「そっか。ドラゴンだもんな。」
「ずっと歩いてたんでしょう?」
「お腹空くよねえ。」
「下で食べてますよ。後であなた達に会いに行きたいと言ってました。」
ああ。そうだ。ドラゴンの子はたくさん食べるから、軽食くらいじゃもたないよね。
ホントにたくさん食べるもんねえ。
ルシン君には軽食もけっこうな量で用意されていたし。ロールケーキひと巻きが5つとか。
でも、普段食べてる量からすると少ない。
もしかしてルシン君ふらふらだったんじゃないかな?
だとしたら、悪いことしたなあ。
「会いに行こう!」
「ご飯食べてるって言ってるだろ。」
「会いに来てくれるみたいだし、戻ろうか。」
「そうしよー。」
小さい子たちを引きつれて、大きい子たちが病室の方に戻っていく。
フェラリーデさんが送っていくようだ。
私たちも送ろうとしたけど、子供たちに「ドレスが汚れるでしょっ。」と止められてしまった。
しっかりしてるなあ。
「ハルカさん。そのお花、こちらに活けましょう。」
子供たちを見送って戻ると、アニスさんが小さな花びんを用意してくれていた。
ありがたく花びんに花を入れると、花びんがボウっと淡く光った。
「ああ。これは長が作られた特製の花びんなんです。ここに掘られた術式が花を長持ちさせます。」
メルバさん作かあ。
いろいろ作ってるよねえ。
「便利ですね。」
「ええ。でも、術式が複雑過ぎて、量産は出来ないんです。」
あ~。私のベールと一緒だ。
メルバさんのレベルが高すぎて、誰も真似できないってやつ。
「お部屋に運んでおきますね。」
「お願いします。」
アニスさんにお願いしてるとフェラリーデさんが帰ってきた。
そして、後ろに見慣れたひと達も。調理部隊のベルさんとバウルさんだ。
「食事が届きましたよ。」
「おめでとうございます!いろいろ買ってきたんで、どうぞ!」
「おめでとうございます。もうすぐ、料理長も来ると思います。」
「外で行きあったら、ベルとバウルが一緒に食べようと言ってくれたので連れてきました。」
彼らの後ろから、外に買いに行ってくれてた隊士さんが理由を説明してくれる。
皆、両手に山盛りの食べ物を持っている。ベルさん達の戦利品なのに、いいのかな?
「たくさん買ってきたんで、皆さんも是非食べて下さいっす。」
「俺らはひと口ずつ食べれればいいんで、祭りのときは余り気味になるんです。」
ああ。料理の研究のためだから、いろんな種類を食べる方がいいんだ。
それなら、遠慮なくいただこうかな。
「そういうことなら。頂きます。」
「ありがとう。いただくよ。」
「お~。すげえ。良く買えたなあ。ありがとな。助かるぜ。」
「これ、あの有名な屋台のですよね?すごいっ。頂きます。」
テーブルの上は食べ物で山積みだ。
ルドさんも来るって話だったけど、もしかして、ルドさんも山盛り買ってくるのかな?




