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「おめでとうございます!」



「素晴らしいお衣装だわ!」



「白の輝石が素敵です!」



 手を振った途端、一斉に祝いの言葉が飛んできた。

 皆一斉に言うから、最初の方しか聞き取れなかった。



「ありがとうございます。」



 よく聞こえなかったとしても、今日かけられる言葉はほとんどお祝いの言葉だ。

 白を褒めてもらったし、笑顔でお礼を言っておく。



 すると、背中の方からひと際大きい声が聞こえてきた。

 カメレオンの一族だ。



「クルビス様、ハルカ様、おめでとうございます!」



「素晴らしい黒だわ!」



「黒のドレスが素敵です!」



 黒のことばっかり、私の目の前にいる赤の一族のひと達は、顔をしかめている。

 今のはちょっと礼儀に欠ける感じだもんね。



 振り替えるべきかなあ。

 すでにクルビスさんが手を振ってお礼を言ってくれてるんだよねえ。どうしようか。



「ハルカ様、これくらいで先に行きましょう。このままいては悪化します。」



 すると、アニスさんが先に行くことを勧めてくれた。

 そうだね。手を振るのとお礼は言ったし、もういいだろう。



「ハルカ。」



 アニスさんの提案をクルビスさんに相談しようとすると、ふわりと浮いたと思ったら姫抱っこされていた。

 あれ?また?共鳴もしてるし。



「まあ!仲睦まじいこと!」



「素敵な魔素ねえ。」



「なんと、すばらしい魔素だ…。」



 どういうことかクルビスさんに聞こうとしたら、左右からため息と共に、魔素を賞賛する言葉が聞こえてきた。

 赤の一族もカメレオンの一族も私たちの魔素に興味が移ったみたいだ。



 良かった。これなら、お祝いのムードを壊さず、ここを立ち去れる。

 クルビスさんを見上げると、にやりと笑っていた。確信犯ですね?



「疲れて来てるだろう?しばらく、こうしていよう。」



 まあ、確かに疲れてますけど。

 朝から歩き通しだったからね。



 でも、休憩も取ってもらっていたし、ドレスを見せるためになるべく歩くつもりだった。

 だから、何でもないフリをしてたんだけど…。



 クルビスさんにはすっかりバレてたみたいだ。

 じゃあ、ちょっとお言葉に甘えて、抱っこして運んでもらおうかな。



 仲良しアピールにもなるし。

 あ。カメレオンの女性の中には肩を落としてるひとがいる。



 もしかして、私、勝った?それで、彼女は負けたと思ったとか?

 勘違いだったら恥ずかしいけど、クルビスさんのファンって多いもんね。ありえるかも。



 それだったら、首に引っ付いてすりすり。

 きゃー、と悲鳴が上がったけど無視。



 いいですよね?クルビスさん。

 あ。クルビスさんとろけそうな顔。



 珍しいなあ。

 ふたりきりの時はともかく、外では隊長さんの顔を崩さないのに。



 でも、まあ、二人の仲をアピールするにはこれくらいがいいかな。

 日常では困るけど。後で釘刺しておこう。

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