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そんな風に行く先々で黒と白への関心を受けていると、道の左側から妙に野太い声で黄色い悲鳴が聞こえた。
その一団は、美しいグラデーションの生地にきらびやかな石や海の輝石を飾っていて、きらきらというよりうぎらぎらしていた。
鱗も他のひとより光ってるような気がする。
体色は手前から順番に、抹茶色、灰色がかった茶色、そしてワインのような紫系の赤をしていた。
「きゃあ。いらしたわっ。」
「こっち見たっ。おめでとうございま~す!」
え~と。あの方々は男性っぽいけど、女性…かな?
仕切りの布で下は良く見えないけど、着てるものもワンピースっぽいし。
背が周りより高いけど。
腕が見事な筋肉で覆われてるけど。
…うん。女性だよ。きっと。
それ以上は突っ込まないでおこう。
視線がクルビスさんとシードさんに釘付けだから、きっとファンだろう。
あー兄ちゃんの友達にもあんな感じの人いたっけなあ。
あ。私にも手を振ってくれた。
ありがとうございま~す。
「いいじゃない。いいじゃない。中々可愛いわ。あの子。」
「うんうん。クルビス様に近寄ってたあばずれとは違うわね。魔素も良い感じだし、良かったわあ。」
品定めされてたんだ。
お姉さま方~。聞こえてま~す。
いや、聞かせるつもりで話してるのかも。
私はいいよってことかな?それなら、ありがたく評価を受け取っておこう。
「白と黒の組み合わせって最高!」
「あのドレス、魚人のヒレみたいだったわねえ。だから、海の輝石なのかしらあ?」
「そうじゃない?海の輝石なら白もいいわねえ。次は白を買おうかしら。」
まだ、聞こえる。
お姉さま方の声ってよく通るなあ。含まれる魔素が多いのかな?
でも、白の真珠に興味を持ってくれたのは嬉しい。
実際に買うかどうかは別にして、良い方に白を見てもらえたってことだもんね。
今までは、注目は浴びても白を身につけようかなんて話までは聞こえてこなかった。
いい傾向だ。頑張って歩いてるかいがある。
気分も上がって足取りも軽く歩いていると、今度は右に赤い集団が、左に黒い服の集団が見えてきた。
赤いのはスタグノ族、黒いのはカメレオンの一族だ。
何だか、道の両側でお互い張り合ってるみたいに見える。
うわあ。これ、どっちに向けて先に手を振ればいいんだろう。
どっちが先でも角が立ちそうだなあ。
うん?クルビスさんが何か言いたがってるような?
「俺が左、ハルカが右だ。」
あ。そっか。それならいけるかも。
クルビスさんに了承の意味で微笑んで、右手側の赤の一族に手を振った。




