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「クルビスと初めて会った時もさっきのような状況でな。驚かれたが、文句どころか感心されて、戦士部隊に勧誘までされた。」
苦笑しながらルドさんがクルビスさんとの出会いを教えてくれる。
ふたりの出会いはそんな感じだったのか。
感心したっていうのが似てるのかな?
単純に忍者みたいでかっこいいと思ったからなんだけど。
勧誘したっていうのはクルビスさんらしくて笑っちゃうけど。
お仕事の話になると「才能のある戦士は取り合いだ。即、勧誘しないとな。」ってよく言ってるもんね。
「勧誘したというのがクルビスさんらしいですね。」
「ああ。今ならともかく、こっちに配属されたばかりの頃からそうだったからな。筋金いりだよ。」
ルドさんが苦笑したまま同意してくれる。
配属された時って、さすがに隊長さんじゃないよね?平の時なら結構前だと思う。
そんな昔からワーカーホリックだったのか。
メラさんが心配するはずだよ。これは意識して休息を取らせるようにしないと。
「そうなんですか…。クルビスさん真面目ですもんねえ。」
「ああ。もうわかってるかもしれないが、あいつはやり過ぎる傾向がある。適当に休ませてやってくれ。」
「はい。じゃあ、手始めに、今日のお菓子が上手くいったら差し入れしてきます。」
「そうしてやってくれ。」
ルドさんとクルビスさんって、守備隊の隊長と料理長って関係だけじゃないみたい。
食堂でよく話してるし、クルビスさんと話しててもルドさんの話が良く出る。仲が良いんだな。
頷くとようやく巨大なボールに意識が向く。
中身は少し白っぽいけど透明なものが大量に入っていた。
ルドさんがゼリーだって言ってたから、これがゼリーの元を一晩水で戻した状態だろう。
お店で見たよりドロッとしてそうだ。冷やしたら固まるのかな?
「これが水に戻した状態のゼリーだ。これを型につめて冷やすと固まって白っぽくなる。」
ルドさんの説明に自分の予想が当たってたのを確認する。
冷やして固まるなら最初に餡子を包むのは難しいかな?
ルドさんにはどういうものが作りたいかを事前に話してあるので、私が派手豆と呼んでいるトラット豆も用意してもらっている。
色はピンクと紫の餡子に適した2つだ。
予想では、半透明のゼリーでどピンクの餡子をつつめば、全体がピンクがかった可愛い葛餅が出来るんじゃないかと思ってる。
桜餅ならぬ桜葛餅!見た目が可愛いのもいいよね。
見た目大事。ほんとに。
何故か派手豆を煮こむと毒々しさが増すんだよね。
善哉は話だけしてルドさんに作ってもらったんだけど、美味しいけど見た目がものすごい物になったからなあ。
紫もピンクも毒々しい鮮やかさで、口にするのをためらう代物になったから、羊羹は一旦保留になってる。
「包むのは難しそうですね。」
「そうだな。だから、型を用意してみた。」
ルドさんがそう言って見せてくれたのは半球型の型。
これなら、ゼリーを丸めやすい形に冷やせそうだ。
よし!何はともあれやってみましょうか。
ゼリーは大量にあるんだし、何とかなるなる。




