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「クルビス様、おめでとう!ハルカ様、おめでとう!」
「いや、めでたい!」
「おお。今日は料理も一段と美味いな。」
「そりゃそうだ。これだけの式だもの。」
あちこちで乾杯の音と料理の乗った皿を掲げている姿を見る。
飲むのと食べるのが同じくらい好きなヘビの一族は、食べる量も半端ない。
子供たちだって、各自サラダボールのようなお皿を持ってて、顔が隠れるくらいたくさん載せているのに、あっという間に消えていく。
他の子のご飯もとっちゃう子がいて、喧嘩になったり、泣いちゃったりでここでも騒ぎになっている。
ヘビの一族のお姉さんが対応してたけど、酔っぱらった子供たちの家族も来ちゃったりして大変そうだった。
それでも、私たちを見ると、争いをやめてにこやかに手を振ってくれるので、私は終始笑顔で手を振っていた。
西の地区をぐるりと一周すると、中央と違って、無事に西の守備隊に戻ることが出来た。
最後に回った場所なんかは、すでに宴が最高潮で、樽を抱えて飲んでるひともいた。
山盛りの料理を持ってるひとも多くて、幾つかの屋台は売り切れて、お店のひとも宴に参加していた。
シードさんによると、このカオスになりかけの宴会はこのまま明日まで続くそうだ。恐ろしい。
「大丈夫。西の連中は慣れてるからよ。数日飲むくらい、西じゃあざらだ。」
よくあるんですか。クルビスさんもザドさんも笑って頷いてるし。
ルシン君は当たり前のようにニコニコ笑ってる。
私、西には住めそうにないなあ。
アニスさんも同じことを考えてたらしく、力ない笑みで顔を見合わせた。
そんな話をした後、もらったお花を水を張った入れ物に預かってもらって、後で北の守備隊に届けてもらう手配もした。
どうやら、祝いの時に花をもらうのは良くあることらしく、各守備隊で花入れを用意してくれているそうで、この後もお花をもらったら快く受け取れるのにホッとした。
その時ノックがされて、アルスさんが転移陣の準備が整ったと知らせてくれる。
次は東地区だ。東は挨拶でもあまり行ったことなかったんだよね。
「さて、名残惜しいが、東にも早く送り届けないとな。大変だろうが、頑張ってくれ。」
「ええ。ザド隊長、いろいろとお気遣い頂きありがとうございました。」
ザドさんとクルビスさんが声を掛け合ってる。
その横でシードさんとアルスさんも話していた。
「そろそろ父が戻ってくると思うんで、そっちもお願いします。」
「はい。お任せください。」
そうだ。アーネストさんって今中央なんだよね。
警備の関係もあって、あまり長時間各長が集まることは無いらしいから、たしかにそろそろ戻られるころだろう。
アーネストさんが戻ったら、さらににぎやかになりそうだなあ。
前の宴の時も、結局一番飲んでたしねえ。
東はどんな騒ぎになってるんだろう。
西ほどお酒は出回ってないとは思うけど、歓迎ムードだと嬉しいな。




