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「まあ、ハルカさんのおやつ?どんなものなの?」
イシュリナさんまで興味を示しちゃった。
いや、単に楽しみが増えたってだけだと思うんだけど、どう説明しよう。
「おやつ!」
「おやつ、出る?」
「おやつ食べたあい。」
あ。子供たちも反応し始めた。
そりゃ、これくらいの子たちなら、ご飯よりお菓子だよねえ。
「おやつは後っすよ~。ほら、今はみんな昼ごはんの時間っす~。ちゃんとご飯食べない子はおやつ無しになるっすよ~?」
ベルさんが子供たちを諌めると、途端に皆せっせとご飯を食べ出す。
それが子供らしくて、何とも微笑ましい光景だ。
「ハルカ様のおやつの話になるといっつもこれっすよ~。最近は水菓子とか出してるっす。あのおやつ、魔素も多いし子供たちも喜んで食べるんで、今は毎日出してるっす。」
どうやら、私のおやつで子供たちが回復したのは、魔素の多いお菓子を作ったからだったらしい。
そういえば、こっちでは砂糖は魔素が多くて減りにくいから、滋養の薬にもされるんだっけ。
それを毎日食べてたら、そりゃあ元気にもなるよね。
みんな育ちざかりだから、余計に効果はあっただろう。
「それはすごいですね。そうですか、おやつですか…。ふふっ。ここの子供たちは幸運ですね。街じゅうが食べたいと願っているお菓子を先に食べられるなんて。」
ベルさんの説明に感心していたビルムさんが、いきなり鼻血を噴くほど色気全開な微笑みを見せて、少し羨ましそうに言う。
そういえば、こっちのエルフって甘党だっけ。
「個立ち向けのおやつなら、下の食堂で、かき氷をいつでも食べられるっすよ?餡子付きで抹茶の甘いソースがかかってます。」
「抹茶をっ。そうですか。長がいつぞや抹茶を大量に探していたとウワサを耳にしていましたが、ソースにしたのですね。」
抹茶はメルバさんが用意してくれたって聞いたけど、ウワサになってたのか。
まあ、エルフしか飲まないお茶を大量に仕入れればウワサにはなるよねえ。
「まあ。それは私も知らないわ。ビルム殿、後でご一緒しませんこと?」
「では、御相伴いたしましょう。おやつがこれ程効果があるなら、隊にも報告をしなくてはいけませんし。」
「ハルカさんは…明日があるから、忙しいかしら?」
「残念ですけど、難しいですね。昼の後はドレスの最終の合わせに、式の手順の確認とかもあって。」
イシュリナさんやビルムさんとおやつ食べたかったけど、今日は何せ忙しい。
午前中に終わるはずだった予定が、毒を流したカメレオンの一族が乗り込んで来たせいでめちゃくちゃになったからだ。
クルビスさんも忙しいだろうなあ。
今日は夜一緒は無理かなあ。




