表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/360

19

「意外です。そんなに兄の落ち込みは酷かったんですか?」



「…俺にはそうは見えなかった。寂しそうといってもほんの少しの間だけだったし、その後はまた元気なアタルに戻っていたから。長が異世界へ帰る魔法を持ってきたときも怒っていたしな。」



 怒ってた…。たぶんもう異世界に留まる決心をしてたんだろうな。

 育ての子がいるんだし、あー兄ちゃんならそうするだろう。



 あれ?じゃあ、なんでそれで帰って来たんだろう?

 疑問が顔に出ていたのか、ミネオさんが頷く。



「そうだ。アタルは帰りたがらなかった。長の方が帰すのに熱心だったんだ。

 恐らく、あの時点で長はこちらに来ることを知っていたんだと思う。長には少しだが予知の力があったから。

 新しい土地がヒト族のアタルに耐えられるかもわからなかった。だから、方法がある今のうちに帰そうとしたようだ。」



 メルバさんの話と少し違うけど、ミネオさんから見たふたりはそんな感じだったのか。

 それで、メルバさんの意志をくんでミネオさんもあー兄ちゃんを帰そうとしたんだ。



 なんていうか…愛されてるよねえ。あー兄ちゃん。

 ミネオさんの話に口元がほころぶ。



「兄は愛されていたんですね。」



「みなアタルのことが好きだった。いるだけで明るくなって、怖い物も嫌なこともなくなるようだった。」



 私がしみじみ言うと、ミネオさんが微笑みながら頷いてくれた。

 こんなにニコニコしてるミネオさんって珍しいんだろうな。クルビスさんも驚いて固まってるし。



「お話ししていただいて、ありがとうございます。」



「いいや。俺も懐かしいことを思い出した。」



 お互いにニコニコとしていると、外から何か変な音が聞こえてくる。

 あれってネロの鳴き声?ミネオさんもクルビスさんにも聞こえたようだ。



 お互いに顔を見合わせて近くの窓から覗いて見ると、何故かネロと小さい子達が横一列になって行進していた。

 …なぜかお尻をふりながら。何やってるの。あの子たち。



「…あれは何でしょう?」



「横一列で行進してるな…。」



「…ネロの真似をしてるようだ。」



 私とクルビスさんの疑問にミネオさんが淡々と答える。

 もういつものミネオさんだ。惜しかったなあ。もうちょっとあの笑顔を見ていたかった。



 それにしても、ネロの真似なんかしてどうするんだろう。

 なんだか周りにおとなが集まってきてるし。

次でエルフの里のエピソードは終わる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=523034187&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ