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 カッカッ



 ノックの音が聞こえる。きっと朝食だ。

 日が昇って1時間も経っていないけど、身支度はもう完了している。



 異世界に来てから2週間がたって、すっかり早起きが習慣になってしまった。

 今では日の出前には目が覚める。…その変わり夜はめっきり弱くなったけど。



「どうぞ。」



「おはよう。ハルカ。朝食を持ってきた。」



 そう言って身長2mはあろうかというリザードマンが入ってきた。

 青みがかった黒い鱗に、身長に見合ったたくましい身体、一振りで木だってへし折れる太い尻尾を持った男性だ。



「クルビスさん。わざわざありがとうございます。」



 驚きつつもお礼を言うと、嬉しそうに目を細められる。

 ぐっ。か、かっこいい…。



 自分の婚約者にドキドキするのもおかしな話だけど、実際ときめいてるんだからしょうがない。

 クルビスさんにプロポーズされて、それを受けて、晴れて私はクルビスさんの婚約者になった。



 まあ、プロポーズの流れに関しては今でも納得してないけど、それをクルビスさんに言うタイミングはなかったのであきらめた。

 あの後、メルバさん達が慌てて部屋に駆け付けてきて、守備隊巻き込んでの大騒ぎになったんだよね。



 なんでも、私が切れたせいで、タダでさえ大きな魔素が周囲に一気に放出されたらしく、その衝撃にダメージを受けて隊士さんや通行中の一般の住民が倒れたりしたらしい。



 物が落ちる音が聞こえたのは、ベッドに置いた買い物袋が魔素の衝撃で落ちた音だった。

 魔素が多いとは聞いていたけど、そんなに影響があるなんて知らなかったから、説明されて真っ青になった。



 自分の力がどれだけ規格外なのか自覚してからは、訓練以外でも深呼吸で気分を落ち着かせる訓練も自主的に行っている。

 事情を話したら皆さん許してくれたけど、いい大人が自分の力をコントロール出来なかったというのは反省すべき点だしね。



「アニスもいないしな。どうせ一緒に出るんだ。朝食も一緒の方が都合がいい。」



 クルビスさんが朝食の乗ったトレーをテーブルに置きながら今日の予定を口にする。

 そうだ。今日はエルフの里に行くから、早めにご飯食べないといけないんだっけ。



「そうですね。早めに出ないといけませんし。」



 メルバさんと長老が話しあった結果、私の存在はエルフ達に公表された。

 里の大恩人の妹ということで、ヒト族の嫌いなエルフ達にも受け入れられたらしい。



 むしろ、いきなり異世界に飛ばされた私に同情する声の方が多かったそうだ。

 それで、一族を挙げて私を保護する側に回ってくれることになったんだけど、紹介と挨拶を兼ねて「ぜひ里に招待したい」と長老たちからの申し出があった。



 私としては、今までの情報でエルフの夢が壊れそうで嫌だったけど、自分でフラグを回収した自覚もあり、割り切ることにした。



 クルビスさんはついて行くと言っていた通り、休みをとって私と一緒にエルフの里に行くことになってる。

 まあ、クルビスさんとのお泊りデートでもあるし、悪いことばかりじゃないよね。楽しんで来よう。


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