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お風呂からあがってフィルドさんを呼ぶと、早すぎると驚かれ、そして何故か心配された。
クルビスさんがもう休むと告げると『ああ、そういうことだね。』と、これまた何故か納得された。
疑問に思ったもののどうにも聞く気になれず、案内されるままについていく。
途中、観光案内よろしく説明してもらったけど、ドラゴンの里はかなり広いらしく、最初に降り立った広場が里の中心で、お風呂や貯蔵庫などの共用の施設は固めてあるそうだ。
私が見た崖の部分の穴は巣じゃないらしい。
宴会で出された様々なお酒を作る醸造所や保管場所なのだそうだ。
害虫・害獣対策と持ち運びに飛んで運ぶため、高い場所に作った方が都合が良かったらしい。
保管場所に関しては地上、もしくは地下のイメージが強かったので、ドラゴンならではの保管方法には驚いた。
寝床にしている場所は中心部から離れた場所に各自巣を作っているらしい。
これは魔素の反発などを防ぐためだとか、伴侶に執着するドラゴンの気質のせいみたいだ。
今向かっているのは中心地に一番近い巣で、ルシェリードさんのお家だ。
ほとんど他の種族・一族は来ない場所なので、お客用の巣というものは無いらしい。それもそうだ。
『珍しいお風呂だったろう?あれはメルバ様がお友達から教えてもらったそうでね。他にもいろいろあって、お義父さんが気に入って巣に作っているから面白いと思うよ。』
…気になる情報を聞いてしまった。
お友達って、あー兄ちゃんだよね?
他にもいろいろって、何だろう?
エルフの里では料理はともかく、予想が外れてそこまで和風なものは無かったからなあ。
楽しみなような怖いような。ドキドキしてきた。
クルビスさんは私を見て、確認するような視線を寄越す。
頷いて返すと、納得したように頷いていた。
『ここだよ。入口から近い部屋の方が移動が楽だろう?ここを使うといいよ。中のサイズはトカゲ型に合わせてあるから。』
そう言って示されたのは木製のドア。
大きなドアだけど、立て3m横1.5mって所かな?
トカゲ型なら、クルビスさんのサイズだ。
それなら不自由なさそうだ。
「ありがとうございます。今日はもうこのまま休ませてもらいますね。ハルカが疲れているようなので。」
『ああ。そうするといい。どうせ皆朝まで騒ぐだろうから、気にせずゆっくりしなさい。ああなったら水でも酔うから。』
フィルドさんが聞いてて心配になることを言う。
水でも酔うって大丈夫なんだろうか。
私のそんな心配も他所にフィルドさんは『じゃあ。』と言って飛び立ち、その姿を見送ってからクルビスさんと一緒にドアをくぐった。
ドラゴンの里について書いてたら、結構長くなったので二人でのおしゃべりは次話からです。
それと、前話のお風呂の描写を書き足しました。




