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遅くなってすみません。
活動報告で緊急告知した2時…ちょい過ぎ投稿です。
『ふたりとも、彼女はルシンの叔母だ。聞いたことないか?』
「ルシン君の。」
ルシェリードさんの補足にルシン君の顔が浮かぶ。
ルシン君は私が異世界に来た初日に出会った最初のドラゴンだ。
銀と紫と水色の体色を持っていて、ほとんどが銀色の少年だ。
年齢はなんと54歳。これでまだまだ子供なんだって。
私が異世界に来た日の朝、いきなり本体に戻ろうとしたので、街から逃げるために森の中をめちゃくちゃに飛んで、最後は崖から落ちてしまった。
クルビスさんと森の調査に行った時に、ルシン君を探しに来たルシェリードさんと出会って、一緒にルシン君を探したんだよね。
上手く見つかって、ルシン君は崖下から助け出された。
気温が低かったから、あのまま1日過ぎてたら危なかったかもって聞いて、見つけられて良かったってホッとしたのを憶えてる。
まだ2か月もたってないのに、ずいぶん昔のことみたいだ。
それだけいろいろあったってことなんだけど。
『あの子が森で動けなくなったところをお助けいただいたと聞いています。おふたりがいなかったらあの子はどうなっていたか…。ありがとうございました。』
「丁寧な謝辞を頂き、恐縮です。ですが、当然のことをしただけですので。」
クルビスさんの返答に私も頷く。
子供が行方不明だと聞いて何もしないなんてことは出来ない。
クルビスさんは守備隊の隊士としてお仕事したし、私はそのオマケだった。
そんな認識だったから、ユリアさんの言葉には返って恐縮してしまう。
『いいえ。おふたりがあの場にいてくださったおかげであの子は助かりました。あの子は銀の魔素の中でも変わった性質を持つ子です。合う魔素でなければ治療も出来ません。おふたりの魔素があったから、あの子は無事でいられたのです。』
銀の魔素?
あ。そういえば、訓練の時にメルバさんがそんなことを言ってたっけ。
金と銀の魔素はかなり特殊で、他の魔素と極端に反応するらしい。
だから、金・銀の魔素持ちの子どもの親は相性のいい魔素を持つ治療術士を探すのがとても大変だって。
私と一緒に訓練するのも、私の魔素がルシン君に良い影響があるからなんだそうだ。
そんなルシン君は今はもう元気になって、学校と守備隊を行き来しながら毎日頑張っている。
「…そうだったんですか。お役に立てて良かったです。ルシン君はとても賢い子ですね。私、今ルシン君と一緒に魔素の訓練を受けているんです。」
『甥から聞いております。ハルカ様は魔素の扱いに長けていらっしゃると。』
ええっ。ルシン君、それは褒めすぎだよ。
ちょっ。フィルドさんもルシェリードさんも感心したように頷かないで下さい。
「そんな。ルシン君の方がすごいですよ。深緑の森の一族の長様が筋がいいと褒めていらっしゃいました。」
『まあ。そうなのですか?あの子は自分のことは何も言わないものですから。』
私の苦し紛れの返答にユリアさんは興味を示したみたいだった。
お兄さんもこんな反応だったなあと思いながら、私はルシン君との訓練の話やお気に入りのお菓子の話を始めた。




