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「トフのハンバーグ…。」



 メルバさんに教えてもらった名前をつぶやきながら、ハンバーグを一口。

 うん。豆腐ハンバーグだ。これ。



 結構固い豆腐なんだな。弾力があって、食べごたえがある。

 中に入ってるのは、こりこりした野菜とシャキシャキした海藻っぽいののみじん切りだ。



 たぶん、黒いのが野菜でピンクが海藻じゃないかな?

 今までの経験がそう言ってる。食感が良いアクセントだ。



 上にかかってた水色のソースは魚の出汁の味がした。カツオっぽいなあ。

 これは本当に和風なハンバーグだ。



「美味しい。」



「よかった~。それね~。あーちゃんが残してくれたレシピをこっちの材料で再現したんだ~。」



 やっぱり元ネタはあー兄ちゃんか。レシピまで残してたなんて。

 たぶん、豆乳の作り方から書いてあったんだろうなあ。一から作るの好きだから。



 それを異世界の材料で再現してみるなんて、メルバさんもあー兄ちゃんと類友だよね。

 試行錯誤したんだろうなあ。ん?ということは?



「どうりで知ってる味に似てると思いました。豆腐があるということは、納豆や醤油もあるんでしょうか?」



 納豆はともかく、醤油は欲しい。味噌もあればグッド。

 期待に目を輝かせてメルバさんを見ると、微笑んで頷いていた。やった。



「ショーユとミソはあるよ~。里でしか作ってないけどね~。ナトは各家庭で作ったり作らなかったりだね~。」



 へえ意外だ。全部作ってるなんて。発酵食品はクセがあると思うんだけど。

 里でしか作ってないってことは、街では買えないのかなあ。



「里で…。じゃあ、ルシェモモでは醤油や味噌は手に入らないんですか?」



 ここで分けてもらってもそんなに持たないだろうし。

 欲しい時に街で買えたら助かるんだけど。



 お味噌汁が恋しいんだよねえ。

 ううっ。煮魚の甘辛い感じも食べたいなあ。



「ん~?確か売ってるとこあったよね~?」



「ええ。ハルカさん。最近ですが、里の商品を専売するお店が出来たんです。ミネオさんのお店があったでしょう?そこのすぐ近くにあるんですよ。今度ご案内しますね。」



「お願いしますっ。これでお味噌汁が飲めるっ。」



 思ったより近くで買えることに驚きつつも、購入手段があることを喜ぶ。

 私の喜びように、教えてくれたアニスさんも周りの皆さんも嬉しそうだ。



「ほっほっ。喜んでもらえてよかった、よかった。」



「店を出すときは躊躇したがの。」



「一族がこれだけ外に出てはのう。故郷の味も懐かしかろうて。」



 故郷の味かあ。そうだよねえ。食べたくなるよねえ。

 私だってお味噌汁が恋しくなったんだもん。



「ハルカ。ハルカが言っていたミソシルとは?ミソの料理なのか?」



 クルビスさんも微笑んでいたけど、私が言った料理名に興味を持ったようだ。

 え~と。味噌汁…味噌スープでいいよね?



「味噌スープと言えばわかりますか?お魚の出汁でスープを作って、そこに味噌を溶かすんです。」



 味噌汁の説明をすると、クルビスさんはじめメルバさんや長老さんたちが納得したように頷いている。

 この反応だと、こっちにも味噌汁はありそうだ。



「そのスープなら北の守備隊でもたまに出る。うちは深緑の森の一族が多いからな。」



「好みが分かれますから、意識して注文しないと出て来ないんです。」



 クルビスさんとアニスさんが交互に説明してくれる。

 守備隊でもお味噌汁出るんだ。注文しないとダメみたいだけど、飲んでみたいなあ。異世界の味噌汁。



「そうなんですか?次は是非注文したいです。」



 アニスさんがにこやかに頷いてくれる。

 この分なら次に出た時は用意してもらえそうだ。

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