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急ですみません。
体調不良により、次話は、9日の昼の14時に投稿します。
「そうそう。水菓子以外にも素晴らしいお菓子がありますのよ。」
「ほお。どんなものなのですか?」
私が話の切りだしに迷っていると、リッカさんが話を振ってきた。
水菓子以外か。かき氷…は違う気がするし、リッカさんが知ってるのは…。
「スイートポテト…ですか?」
「ええ。あの黄色いお菓子ですわ。」
「どのようなものなのです?」
私は餡子と同じ種類の豆で出来ているということと、元は故郷の甘いイモから作るお菓子であることを説明した。
素朴な甘さと滑らかな食感が特徴だと付け加えると、アースさんが目をランランと輝かせている。
「どれくらいの方がそれを知っていらっしゃるのでしょうか?」
「えっと、食べてもらったのは…伴侶はもちろんですが、料理長のルドさんと調理師さん達、リッカさんとキィさん、キーファさんにメルバさん、リードさん、シードさん、リリィさん、入院中の子供たち…。」
私が指折り数えていくと、アースさんが身を乗り出してくる。
リッカさんが抑えてるけど、そのうち椅子から落ちそうだ。
「守備隊の方々に入院してる子供たち…ということは、そのレシピ。ほとんど知られていない。ということでしょうか?」
「ええ。余った材料でついでに作ったものでしたし。」
「ついで!?では、ハルカ様は調理師でいらっしゃる?」
どうしたんだろう。なんだかすごい迫力だ。
押し負けしそう。
「いいえ。違いますわ。兄様、とりあえず落ち着いて下さいませ。ハルカ様が驚いていらっしゃいますわ。」
「おお。これは失礼を。水菓子の新しさと美味しさにすっかり虜になりまして。ほとんど知られていない菓子はどのようなものだろうと思ったのです。」
今の勢いはもの珍しさだけじゃなかったけれど。
…もしかして、興味を引けたのかな。
「そんなに喜んでいただけて嬉しいです。でも、私は調理師ではありません。故郷では、それぞれの家庭でお菓子を作ることがよくあったんです。」
作る人と作らない人があるだろうけど、ホットケーキくらい焼いたことのある人は多いだろう。
我が家はわりかし何でも作る方だった。
パウンドケーキにシフォンケーキ、羊羹、どら焼き、桜餅…等など。
だから、あー兄ちゃんもレシピを知ってたし、それをエルフ達に教えることが出来たわけだ。
「そうなのですか。各家庭で…。それではレシピも共有されていたのですか?」
「?ええ。味見してもらったり、どうすれば上手く作れるかとか相談してましたし。美味しく作れる方にはコツを習ったりしてました。」
ネットでですけど。
上手い人のレシピは本当に美味しいんだよね。
主婦のレシピは簡単なのも多いし。
季節の料理を作る時もお世話になったなあ。
「そうですか…。それで…。ハルカ様のレシピの公開は、ハルカ様にとって当たり前のことなのですね。」
当たり前?
まあ、レシピ本なんてものが売ってたし、隠すって意味はわからないなあ。
別にプロ級の物が作りたいわけじゃないし、基本的な情報だけあればいいんだよね。
お砂糖が大さじいくつとか、卵が何個とか、混ぜる順番とか。
「そうですね。基本的な情報だけあれば、後はそれぞれが工夫しますから。」
「基本的な?…そうですね。全てでなくて良いわけだ。」
何だろう。知らない間に空気が緊迫してる。
私何かマズいこと言ったかな。




