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イッカンセイ〜黒血〜  作者: Qualia&八久斗
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まさしパスト其の伍

珍しくここに反省点はない。

悪い思い出でもなく、

かと言って良い思い出でもない。

だが、

楽しい思い出ではあるかな。

誠くん達を見送ってから三時間半経ち、ゴミ拾いとかして暇をつぶすも、案外すぐ拾いきってしまって結局立ち往生している私だが。

「……」

駅前のコンビニの前にて、迷子の女子高生発見。

いや、だって、立ち振る舞い、表情、言わずもがな服装を見れば一目瞭然なのである。

キョロキョロと辺りを何度も向いては向きの、向きまくりだし、

崩壊寸前の涙目だし、

言わずもがなセーラー服だし。「うわゎわぁうぅ〜…あぁやぁのぉちゃあぁぁん……どぉこぉー……」

「…………はぁ、」

有り体に言ってしまえばもう見ていられない状態だったので、救いの手を差し伸べる事にした。

「えっと、あの…お嬢さん」

「ふひぇっ!?――は、はははいっなんれすかっ!!?」

動揺して呂律が回りきってない、噛み噛みである。

「あの、迷って――道に、迷っているんですよね?」

「ぁ…え、と―――は、はひ」

「あー、いや、友達とはぐれちゃった、のかな?」

「あの、あぁ、えっと、その、その…」

「……………」

返答の正確ささえ危うくなってきた迷子?女子高生に対し、私は一旦間をおいて「とりあえず」と言う、そして、

「――落ち着きなさい」

と、ボリューム小さめに一喝。

で、

紆余曲折あって女子高生――綿原加奈さんを落ち着かせた私は、綿原さんから事の顛末を訊いた。

「――――つまり、文化祭の準備のための買い出しで外出してて、最初は2人だったけど、二手に別れて作業の効率化を図ったと、で、その結果待ち合わせ場所までのルートが判らなくなり現在に至る、と」

「はい……」

綿原さんは下を向いて、即ち、俯いている。

鬱向いている。

…無論後者は当て字だよ?

とか、レトリックはさて置いて道案内――を、しようとしたところで、

「あ、加奈!――もぅ、捜したよ?」

メシア参上、もとい片割れ参上である。

綿原さんは、顔を涙でぐしゃぐしゃにしながらカバアッ!と飼い主、もとい片割れに飛びつく。

君は忠犬ハチ公か。

いや、ハチ公は違うか。

片割れ、もとい相原綾乃さんは綿原さんのダイビングロケットハグを喰らうも、ギリギリ堪える。

「ごぶは!?お、おぅふ、加奈、随分と大胆じゃない――もとい、二手に別れようと進言したあたしが悪かったね、ゴメン」

そして当然ながら、相原さんは綿原さんと一緒にいた面識なしのおじさんこと私を見る。

「―――えと、あなたは?」

「あ、いや、迷子みたいだったので…」

「え、あなたが?」

「その子が、です」

ナイスボケ、ナイスツッコミ。

彼女ながら。

われながら。


そういえば、要所要所で私の代名詞として「おじさん」という単語が連用されてるが、まだ私大学あがりのピチピチだよね、「おにいさん」だよね、そうだよね、八久斗さん!?

八久斗

「さあ……」

常盤

「えっ」

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