1.Negentropy(ネゲントロピー)を求める世界。
宇宙。
無であった空間に生まれるひとつの世界。
無に放出された揺らぎが世界を満たし、物質は生まれ、溢れていく。
閉ざされた宇宙。
閉ざされているがゆえに活動はいつしか停滞していく。
宇宙の状態量は増大し、最終的に宇宙は熱的死をむかえ、絶対零度の凍りついた世界に達する。
管理された仮想の宇宙。
人為的につくられた幻想の空間もまた、閉ざされた1つの宇宙にすぎず、生まれた瞬間に終焉を運命づけられる。
ただただ想定された仮想を計算し、繰り返し記録し続ける。
その全宇宙のすべてのデータが収められた小さな金属の箱の情報量が増大した時、停滞した機械仕掛けの世界は、新しい揺らぎを求むままにひとつの宇宙から、ひとつの因子を召喚した。
エントロピー。
ギリシャ語で「変換」を意味するトロペーに由来している。
熱力学の概念と、情報理論の概念がある。
熱力学のエントロピーは、物質や熱の拡散の程度を表す 。
情報理論のエントロピーは、情報量。そのできごとがどれだけの情報をもっているかの尺度を表す。
ネゲントロピー。
エントロピーの増大の法則に逆らうように、エントロピーの低い状態が保たれていること。
または、
エントロピーを減少させる物理量。