18話 砂塵粉砕
更新遅れてすみません。
どうも今回の話は筆が載らなかったので……
言い訳ですね、すみません。
それでは本編をどうぞ!
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カリンは走り込みながらスキルを発動させる。
『ハンマー』スキル『ハンマーダイヴ』
名前の通り、ハンマーを掲げながら突進し、敵にハンマーを振り下ろしながら飛び込むスキルだ。
カリンはハンマーを振り上げ、思いっきり足を踏切り宙へ飛んだ。そして、テュムラスドラゴンへ全体重をハンマーに掛かるように振り下ろした。
「うりゃー」
カリンの『ハンマーダイヴ』はテュムラスドラゴンの攻撃を掻い潜り無事にテュムラスドラゴンの体へ当てることに成功した。ガンっと甲高い音を立ててハンマーは竜鱗とぶつかり合った。そして、その一撃で竜鱗は砕け散った。
「おおっ」
カリンが思わず声を上げた。まさかこんなにも簡単に竜鱗が砕けるとは思ってもみなかったからだ。
カリンの職業は闘士。STRとAGIに優れたアタッカー型の職業だ。カリンの武器はハンマーで、そのハンマーは蒼い甲殻をいくつもの重ね合わせて作られたもので名前は『蒼蟹墜』といった。カリンはメリット構成も攻撃型に偏らせていた。パーティ内でダメージディーラーはカリンだからだ。カリンはテュムラスドラゴンへ突撃する間にメリット『奮起』のスキル『鬨の声』を発動させて瞬間的な攻撃力を増大させていた。そのためテュムラスドラゴンの竜鱗を一撃で破壊できることができたのだ。
カリンがハンマーで攻撃したところへ、ランランが緑色に輝かせた漆黒の短刀を片手に疾走してきた。
『山賊』『短刀』複合スキル『アイヴィーチェイス』
攻撃した対象に蔦が絡みつき継続ダメージを与えるという不思議なスキルだ。職業が山賊でメリット『短刀』をある程度レベルを上げることによって取得できるこのスキルは比較的頑丈な敵には有効なスキルだ。VITを無視してHPに継続ダメージを与えるため普通に攻撃するよりダメージが入りやすい。
ランランは素早い身のこなしでテュムラスドラゴンの攻撃を躱しながら『アイヴィーチェイス』を発動させた短刀で何度も切り付ける。切られた跡をどこからか現れた蔦がテュムラスドラゴンの体へ絡みつき締め上げていく。
テュムラスドラゴンは身をのたうち回らせながら虚空から岩を作り出し、辺り一帯へ降らせてくる。岩の大きさは拳大の物から机大のものまで様々で、当たっても致命傷になることはないが無視できるほどの攻撃ではない。それ故にカリンとランランは岩を極力躱しながらテュムラスドラゴンへ攻撃を加えていくのだった。
「私も攻撃するよ!」
ここでメイも攻撃に加わった。元々STRとVITを中心にステータスを構成しているメイはAGIにはほとんど振っていないためあまり移動速度は速くない。また着ている防具の重量が二人よりも重いためテュムラスドラゴンへ接近するのに時間がかかった。
「『穿突』!」
メイは片手剣スキルを発動させながら剣をテュムラスドラゴンへ突き刺した。
その一撃はテュムラスドラゴンの竜鱗に受け止められたものの、いくつかひびを入れることには成功した。
「『シールドバッシュ』!」
続けざまにメイは盾スキルを発動させて剣を引き抜くと同時に盾をテュムラスドラゴンへ叩き付けた。
盾を打ち付けた衝撃でひびのはいっていた竜鱗はぽろぽろと砕け落ち中身の薄黄色の肌を露出させた。
「『スラッシュ』!」
メイは続けて剣を走らせ露出した部分目掛けて横なぎにした。
露わになった部分へ直接刃を入れたことにより青丹色の血しぶきが迸った。
「緑色の血?」
メイは疑問を感じながら暴れ出すテュムラスドラゴンから距離を取った。
「『フリーズアクト』!」
テュムラスドラゴンから少し離れたところでアジサイは魔法を発動させていた。
アジサイが扱うのは水属性魔法とその派生の氷属性魔法。
氷属性魔法の中でも使い勝手のいい『フリーズアクト』を今回メインで使っていくことにしていた。
アジサイの杖から放たれた魔法はテュムラスドラゴンの鼻先で突然爆発した。その爆発は火を伴ったものではなく爆発したものを氷漬けにするものであったから氷爆といった方が正しいかもしれない。
『があああああああああああ!』
テュムラスドラゴンは声を張り上げて降らす岩の量を増やした。それと同時に魔法を発動させ、魔法攻撃を仕掛けてきたアジサイの近くへ3体の埴輪を召喚した。
「こ、こいつは!」
その埴輪はこの『忘却の塔』を登る際に戦ってきた『クレイシャドゥナイト』だった。
「ええい、めんどくさいわね」
アジサイは魔法を切り替えて射程の短く連射の効く水属性魔法を詠唱する。
アジサイの準備中にも『クレイシャドゥナイト』達はアジサイへ近づいてくるのだった。
そこへアジサイの近くにいたナゴミがアジサイへ魔法を発動させる。
「『シャインシールド』」
『聖職者』であるナゴミは守備に長けている光属性魔法を使った。
光り輝く壁に包まれたアジサイは落ち着いて魔法を発動させる。
その間にも『クレイシャドゥナイト』達はアジサイへ剣を突きつけるが壁に阻まれアジサイへ傷付けることは出来なかった。
「『アクアショット』!」
虚空から現れた水流が『クレイシャドゥナイト』を押し戻し地面に押し倒す。その間にアジサイは新しく魔法を発動させ、『クレイシャドゥナイト』を完全に倒した。
「……戦いはこれから」
「わかってるわよ」
アジサイはナゴミヘにっこり笑いテュムラスドラゴンへ視線を向けた。
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それから1時間ぐらいして。
メイ達は攻撃を続けテュムラスドラゴンのHPを残り1割というところまで削った。
テュムラスドラゴンはただ攻撃を受け続けるのではなく、岩落下攻撃に加え砂嵐の竜巻を放ったり、『クレイシャドゥ』達を召喚したり、はたまた地面に体を叩き付け地震を起こしたりした。
その攻撃をどれもメイ達は攻略していって、ようやくあと少しというところまで追いつめた。
カリンがテュムラスドラゴンへハンマーを叩き付けテュムラスドラゴンのHPが1割を切ったところで、テュムラスドラゴンは体をくねらせ辺り一帯を縛り付ける『地縛咆哮』を放った。
近くにいたカリンやランラン、メイは耳をつんざくような咆哮に耳を塞ぎ体を地面に縛り付けられたかのように硬直させまったく身動きが取れなかった。
「げぇ、これってやばくない」
「こんな切り札持ってたなんて!」
「早く解けろ早く解けろ早く解けろ……」
3人は耳を塞ぎながらもテュムラスドラゴンへ目を向けながら硬直の回復を待った。
『がああああああああああああああああああ!』
テュムラスドラゴンはひとしきり吠えた後、体をのたうたせながら地面を叩いた。その衝撃で遺跡が崩れ始め天井からどんどん瓦礫がフィールド全体へ降り注いだ。
「これってもしかしたら生き埋めエンド?」
「死亡フラグ立てないでよ!」
「とにかくあいつの動きを止めないと!」
3人はようやく硬直から立ち直り攻撃に移ろうとしたが思いのほかそれまで受けたダメージが大きく突撃するのを一瞬ためらった。
そこへ空気を読んだかのようにナゴミの回復魔法が3人へ届きHPを回復させる。
「ナゴミ、サンキュ」
「ありがと。さーてラストバトル頑張りますか!」
「いくぜ、私たちの最後の戦いが始まるんだ!」
何やら決め台詞を吐きながら3人はテュムラスドラゴンへ突撃していく。
カリンは大胆な動きで瓦礫を物ともせずに、ハンマーを両手で振り回しながら突撃する。
ランランは俊敏な動きで瓦礫を交わして、短刀を逆手に狙いを定めていく。
メイは盾を掲げて瓦礫を弾き飛ばしながら、悠々とテュムラスドラゴンへ剣を向ける。
その後ろを、アジサイが氷属性魔法をばんばん撃っていく。
ナゴミはパーティメンバーのサポートに回復魔法や防御魔法を撃ちながら援護していく。
そして、幾合か攻撃を重ねたところでテュムラスドラゴンは悲鳴を上げながら、体を横たえた。
「よし、これで終わりかな!?」
「ここでまさかの復活とかないよな」
「とどめを刺しておこう」
テュムラスドラゴンはぱちりと目を閉じて動かなくなった。
『取得アイテム:竜種討伐の証×1
遺跡竜球×1
遺跡竜の鱗×3
遺跡竜の甲殻×5
遺跡竜の血×1
遺跡竜の舌×1』
「終わったー」
「ふえー疲れた」
「いやーなかなか面白かったね」
「そうね」
「……素材もなかなか良さげ」
「ふぅーこの後どうする?」
「とりあえず勝利祝いに打ち上げしましょ」
「いいね! いいね!」
「どこにするん?」
「いつものところでいいんじゃない?」
「……予約取った」
「速いなぁ」
「それじゃ、戻りましょ」
「了解!」
少女たちは笑いながらこの場を後にした。
今回の話はどうも自分ではあまり納得のいっていないです。もうちょっとメイちゃんを活躍させてもよかったかも。
あと、今回は急いで書いたので誤字脱字が多かったと思いますがすみません。
次回は2月14日0時を予定しています。
ちょうど世間ではバレンタインですが、この話はまだ11月ですのでバレンタイン小話はありません。
それとその日はちょうどサークルの合宿ですのでいないので予約投稿となります。詳しくは来週説明します。
 




