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亀が好きすぎる魔法使い  作者: ひかるこうら
第2章 Going up Evolution Stage
48/114

12話 竜種到来

 ■■■


 『Merit and Monster Online』が再販してはや一か月が経った。

 秋は深まり、暦は11月を示していた。


 寒さがだんだんと厳しくなり始め、服装が厚くなっていく中で、MMO開発元のエレクトリック・ウィザードはイベントの告知を行った。


 その名もイベント『竜種到来』。


 ファンタジー系には欠かせないドラゴンが実装される、そんなイベントが行われることになったのだ。



 告知から一週間後。3時間の短期メンテナンスを挟んで、Ver.1.11になったMMOでイベントが始まった。



 ■■■


 Merit and Monster Online公式ホームページ


 最新の公式イベント


 『竜種到来』

 太古より言い継がれてきた竜種。その姿は見上げるほど大きく、その翼は空を覆い隠し、その牙と爪は見るものを震え上がらせる。

 今回ある特定の場所にある塔の上にかつての言い伝え通りの竜が現れた。竜は力を持つものを待ち構えている。

 そびえ立つ塔の上で待ち構える竜にその力を見せてみよ。


 条件:どなたでも参加できます。竜の強さはパーティメンバーの合計レベルに比例します。パーティメンバーは1人からでも戦うことはできますが、フルメンバー(6人)で戦うことをお勧めします。一緒に戦うメンバーは必ずパーティ設定をしておいてください。

 それぞれの塔の最上階ではゲートがあり、そこを潜り抜けることで戦闘が始まります。パーティごとに戦闘が始まるので、いくつものパーティが同時に戦闘を行えます。


 出現場所:グリーンロード砦近くの『寂れ果てた塔』最上階

      ユリレシア巨大古墳群内部『忘れられた塔』最上階

      レインルーク郊外の『雨降らしの塔』最上階


 出現モンスター;ロードドラゴン(『寂れ果てた塔』)

         テュムラスドラゴン(『忘れられた塔』)

         レイニードラゴン(『雨降らしの塔』)


 ふるって参加してください。








 ■■■


「よしっ」

 ワースは期待に心を震わせた。いくら亀が好きで他のものに対してはあまり興味を抱かないのだとしても、この何か月かMMOをプレイしてきたからなのかそれとも別の理由からなのかわからないが、ワースはこのイベントに大いにわくわくしているのだった。


 ワースはこのイベントに以前ブラウンマウンテンを突破した時のメンバーで行くことを考えた。

 ワース、ノア、テトラ、ニャルラの4人。そこにワースのペットのミドリとノアのペットのしずくを加えてフルメンバーが揃うことになる。


 レインルーク。始まりの街から南へレッドフォレストを抜けた先にある街。いつも雨が降っていることで有名な街である。

 短期メンテナンスが終わった後、レインルークにワース達は集まった。



「ん」

「おっ、テトラか」

「ん、久しぶり」

「あぁ、2週間以上ぶりか」


 初めに来たのはテトラだった。もっとも一番最初はワースだったのだが、それは単にその日の朝にレインルークにたどり着き、その後行われたメンテナンスが終了すると同時にログインしたからである。一緒にいたノアはまだログインしていなかった。


「メールは読んでくれたよな」

「うん、レイニードラゴンを倒しに、でしょ」

「そうだ」

「久しぶりにワースと戦えるの、楽しみにしてた」

「そうか、俺もだ。頼りにしてるぞ」

「うん、ワースにも期待してる」


 テトラはワースと会話しながら微笑を浮かべた。

 テトラの職業は盗賊から暗殺者にランクアップしていた。武器は以前のよりも一層鋭さを増した忍刀に変わり、全体的に暗めな防具になっていた。


「それでミドリちゃんは?」

「こっちだ」


 ワースはテトラに乞われて、ミドリをそばに呼び出した。


「きゅー」

「やっぱりかわいい」

「きゅきゅー」


 テトラはミドリに抱き付き、その宝石のような甲羅をなでなでした。ワースは以前テトラと会った時に、エメラルドタートルになったミドリを初めて見てテトラはめった見せない驚きの表情を見せた。

 その時のことを思い出したワースは少し笑いながら、ミドリをもふもふするテトラを眺めた。



「おーい、ワース」

「おっ、ノアか。やっと来たか」

「いや、ちょっとリアルであってね。ログインするまで手間取ったんだ。っと、テトラさんも来ていたのか」

「ん、久しぶり」


 ワースとは時間が合わず朝は別行動だったノアは、少し遅れてログインするなり始まりの街からレインルークまで走ってきたという訳だった。


「これで3人揃ったね。後は、ニャルラさんだけど」

「俺はもういるぞ」

「えっ?」


 ノアが振り向くとそこには不敵な笑顔を浮かべたニャルラがいた。


「いつからいたんだ?」

「いや、今さっき来たところだ。これで全員揃ったな」

「あぁ、そうだな。ニャルラ、概要はわかってるか」

「もちろんさ、それ用にメリットを整理したしな。任せておけ」

「あぁ」


 ニャルラは戦士から剣士になっており、武器は一振りの赤銅色の剣と両方の手にはめられた頑丈そうな手甲だった。防具は黒を基調とした布と革を使った軽装だった。背中に掛けられた黒いマントがニャルラにどこか厨二的イメージを与えていた。



「さぁ、行こう」


 一行はレインルークの外れにある『雨降らしの塔』へ向かった。






 ■■■


 雨降らしの塔。

 灰色の岩で積み上げられた塔の上空には常に黒々とした雨雲が立ち込めている。

 レインルークの住民の間では、この塔に雨をもたらす竜がいるという言い伝えが語り継がれている。干ばつから街を救った竜はその対価として強き者を追い求めているとされ、竜がこの塔へ来た時は腕に覚えがあるものをこの塔へ連れてくるのがこの街の役目となっている。


 ワース達は、塔の番人に案内されて塔の中へ入った。


「結構明るいんだな」

「外が暗かったからな、特にそう思うよ」

「……これなら、問題なし」

「さーて、ここはどんなモンスターが出てくるのかな」



 塔の内部は、至る所にカンテラが設置してあり思いのほか明るく、大きな螺旋階段がぐるりと塔の内周を描くように待ち受けていた。その螺旋階段の横幅はちょうどプレーヤーが2,3人余裕をもって横に並ぶことができるくらいだった。その螺旋階段は上へ上へ続いており、それを登っていくことによって最上階へ向かえるようになっていた。



「これを進めばいいのかな」

「たぶんそういうことなんだろうな」

「敵の反応を見つけた」

「えっ、どこどこ?」

「あっちの方」

「あー見えた」

「戦闘準備は済ませたな」

「あぁ、もちろん」

「大丈夫だ、問題ない」

「いつでも行ける」


 ワース達はそれぞれ武器を構えながら、戦闘準備が完了していることを確かめ合う。


「なら、行こう」



 雨降らしの塔にて。ウォーミングアップのようなモブ戦が始まろうとしていた。








 ■■■

 

 Name:ワース

 Lv.34

 Job:『付与術士(エンチャンター)』Lv.11

 Merit:『土属性魔法』Lv.52

    『大地属性魔法』Lv.3

    『魔力運用』Lv.46

    『魔力活用』Lv.9

    『調教(テイム)』Lv.31

    『調和(ハーモニー)』Lv.5

    『棒術』Lv.47

    『付与術(エンチャント)』Lv.34

    『詠唱』Lv.22

 Title:『ペガサスの友好者』『新たなる可能性を示し者』

 




 Name:ノア

 Lv.32

 Job:『召喚士(サモナー)』Lv.4

 Merit:『大剣』Lv.56

    『魔力運用』Lv.39

    『魔力活用』Lv.3

    『中級水属性召喚術』Lv.10

    『調教(テイム)』Lv.11

    『武器防御』Lv.29

    『索敵』Lv.27

    『スタミナ』Lv.31

    『水属性魔法』Lv.25

 Title:『新たなる可能性を示し者』





 Name:テトラ

 Lv.37

 Job:『暗殺者(アサシン)』Lv.14

 Merit:『短剣』Lv.59

    『忍刀』Lv.10

    『投剣』Lv.42

    『軽技』Lv.63

    『立体機動』Lv.12

    『隠蔽』Lv.53

    『索敵』Lv.49

    『聞き耳』Lv.21

    『目』Lv.26

    『観察』Lv.4

 Title:『PKK達成者』『脱兎の如く』『影』






 Name:ニャルラ

 Lv.35

 Job:『剣士(フェンサー)』Lv.10

 Merit:『片手剣』Lv.53

    『剣術』Lv.4

    『体術』Lv.51

    『拳』Lv.24

    『足』Lv.17

    『武器防御』Lv.34

    『音』Lv.27

    『奮起』Lv.26

    『鑑定』Lv.48

    『気まぐれ』Lv.2


 (控え)『索敵』Lv.45

    『隠蔽』Lv.43

    『聞き耳』Lv.35


 Title:『豚まん屋の常連』『開拓者』





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