10話 「滾ル、滾ルゾ……!」
先週は申し訳ありませんでした。来週からはちゃんと更新できるようにいしたいと思っています。
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リアルでの来夏との初めての出会いに続き、従妹の朱音とのいきなりの共同生活があった日から何日かが経った。その間、来夏からちょくちょく様子を尋ねるメールが来たり、時たまに朱音とは思わぬラッキースケベ状態に陥りかけたりしたが、概ねいつも通りの生活を過ごした。大きく分けて亀を世話するかMMOをプレイするかの二択が生活の大部分を占める、そんな真価の日常だった。
MMOの中ではどうだったかというと、それまでとさほど変わることなかった。帝都の街並みを楽しみながらダンジョン『蒸れる群れる古井戸』に潜り、時折帝都の外に出て、指定された素材を集めたりダンジョンでは上げにくいメリットの熟練度上げに勤しんだりするくらいだった。
そんなある日のこと。大学が春休みに入り一日中時間のある真価は、朝目覚めてちゃっちゃと朝食を食べ終えると、早々とMMOにログインした。
今日もダンジョン『蒸れる群れる古井戸』に行くのだろうと思ったワースは、一先ず他のメンバーが来るまで始まりの街をぶらぶらとして1時間ばかし時間を潰そうと決めた。取り立てて何かする用事はないし、武器や防具のメンテナンスは昨日の内にマリンが済ませている。せっかくならばクランメンバーと共に行動したいと考えているワースは、ゆっくりと一人の時間を過ごして誰かが来たらすぐに会えるように始まりの街のプレーヤー露店で掘り出し物を探すことにした。そうと決めたワースは、ミドリを連れて帝都北町下層部の入り口にあるワープポータルから始まりの街へ飛んだ。
始まりの街。新たに開放され攻略の最前線となっている帝都に注目が集まっているため、始まりの街は普段より人が少ない。しかし、プレーヤーのほとんどがここを拠点にしていることや、全プレーヤーを収容できるほどの大きさを誇ること、開放された街へワープポータルが繋がっている利便性もあって、普段より少ないとはいえ相変わらず人は多い。朝だというのに、活気にあふれていた。
ワースはミドリを脇に歩かせ、中央広場から南北に伸びる道脇に連なるプレーヤー露店を冷かして回った。
プレーヤー露店は、プレーヤーが自ら手に入れた、または作ったアイテムを他のプレーヤーに自由に売れる、いわばフリーマーケットのようなもの。普通の店売りされている『硬化薬』であれば飲んだプレーヤーのVITを高める効果だが、それとは違い触れたものをなんでもかちんこちんに固めてしまう触れ回りの『硬化薬(改)』や、攻撃力が皆無に等しいが呪いをはじめとした追加効果が凄い鈍器として使える藁人形だったり、全身が金ぴかで着ると全身の装備が問答見ようで金ぴかになるごわごわとしたローブだったりが売ってあった。
ワースはそれらを物珍しげに眺めていく。
30分ほど見て回った頃だろうか。紛れ込んでいる中から面白いものを見つけ出す楽しみに取りつかれつつあるワースだったが、背後に誰かが付かず離れずくっついているのを感じた。
「……ッ」
ぽんと荒々しく肩を叩かれて何事かと振り向くワース。
そこには、一際目を惹くショッキングピンクのスカーフを首に巻いた男が立っていた。
「見ツケタ。オ前、俺ト勝負シロ」
「えっと……」
どこかで見たことあるような気がしてならなかったが、生憎ワースの記憶にこの男の姿はなかった。
「どちら様ですか?」
「……ッ! ……ッ!! 俺ノ名ハ、クシナダ」
「……あぁ、思い出した気がするよ。で、何の用だ」
「ダカラ、俺ト勝負シロ。フィールドデ殺シ合イデモイイガ、今日ノ俺ハ気分ガイイ。デュエルデ許シテヤル」
「あの……それを受ける理由がないんだけど」
ワースはあまり覚えていないが、クシナダは一度ブラウンマウンテンでPK集団と共にワースをPKし、さらにその後ポイズンゲートでワースにPKを仕掛け戦闘中にYuというプレーヤーの参戦に退却した過去がある。クシナダにとってPKとは命を懸けた戦いである。それがマナー違反だとかそういったことは考えたことがない。ただただ強い相手と戦い命を感じるためだけにPKを繰り返して来た。Yuの参戦で退却したものの、クシナダはあのまま戦い続けていたらいずれ負けていたのは自分だと思っている。だからこそ、自分を追い詰めたワースにもう一度戦いを挑みたいと思っていた。
「イイカラ受ケロ。サモナイト、今度ズットオ前に付キ纏ウゾ」
「地味にヤダな、それ! はぁ、わかったよ。一回だけだからな」
『クシナダさんからデュエルが申し込まれました。フルスタイルデュエルモードです。受けますか? YES/NO』
ワースが最初にデュエルしたのはノアとだったが、それ以降何度かクランメンバーとやったことがある。3回目の大規模アップデートの際に、デュエルで競技場モードが追加された。これはペットの使用ができないものになっている。他にもいろいろ制約があるが、ここでは割愛する。クシナダは自分が不利になることをわかっていながら競技場モードではない、デュエルモードを選んだ。
ワースはクシナダと共にデュエルができる開けた場所に移動し、デュエル申請にYESを押した。
カウントダウンが始まる中、ワースは目を瞑り精神統一を図る。杖をきつく握りしめ、頭の中から余計なことを追い出した。
5
静寂が辺りを支配する。
クシナダは背中にくくり付いてあるダブルブレードの柄に手を当てて決戦の始まりを待ちわびていた。
ワースは目を徐に開き、目の前の状況を確かめる。視界には対戦相手であるクシナダの姿と、頼れる味方のミドリの姿しか映らなかった。
4
「滾ル、滾ルゾ……!」
3
「きゅ」
2
数字が視界に映りこむが、もはやワースにはその文字は意味を為していなかった。
1
空間が凍り付くような、そんな感じをワースとクシナダは作り上げていた。
0
『デュエルスタート』
ワースとクシナダの目の前に、燃え上がる炎で彩られたフォントで言葉が描かれた。
真っ先に動いたのはクシナダだった。背中に括り付けてあるダブルブレードの柄をきつく握りしめ、前傾姿勢で地を走る。それは走るというより爆発で低空飛行しているかのよう。まっすぐワースへ走るクシナダはショッキングピンクのスカーフで覆われた顔に獰猛な笑みを浮かべ、すらりと連結されたままのダブルブレードを抜いた。
「ミドリ!」
ワースはミドリを名前を呼びながら、付与術をミドリへ飛ばす。
「『防御力増加』!」
選択した付与術は『防御力増加』。VITを増やしてクシナダにより対抗できるように選択した結果だった。
ミドリはワースから付与術を受けながら、クシナダへ突進する。何よりクシナダを紙防御のワースのところまで届かせてはゲームセットしてしまう。だからこそ、ワースから離れたところでクシナダを止める必要があった。
「ラアアアアアアアアア!」
「きゅうううううううう!」
デュエルが始まってから3秒も経たない内にクシナダとミドリはぶつかり合い、互いの剣と甲羅を叩き付け火花を散らす。いくら防御の硬いミドリとはいえ、クシナダの一撃は苛烈でわずか1秒も打ち合うことなく後ろへ吹っ飛ばされる。クシナダはミドリに邪魔されて勢いが落ちたままワースへ迫る。連結されままの赤銅色と蒼色のダブルブレードがワースへ突き出された。
「『敏捷加速』、っ『偽技能=肉体操術』!」
自身に付与術を掛けていたワースは、クシナダがミドリを突破したのを見て慌ててスキルを発動させる。本来なら職業:人形遣いしか使えない『肉体操術』を、メリット『テイムマスター』のスキル『愛獣操術』によるペットの肉体を操作するのをメリット『魂術』のスキル『対象変更』で自らに効果を掛けることで再現したスキルだった。本来のスキルと効果は似通っているため、このような『偽技能』と名が付いている。これはVRで自らの肉体のように動かしているアバターを、まるで画面越しに操作しているように強引に動かすスキルだ。
ワースは心臓を狙って突き出された剣を体をねじるように左後ろに逸らし、杖を剣に滑らすように押し当て人間ではありえないような挙動で攻撃を逸らした。恐怖が先立ってなかなかこんなアクロバットな動きはできないものだが、『偽技能=肉体操術』の使っているワースはまるで画面越しに自らを動かしているためミリ単位の動きもある程度容易に行えた。まるで操り人形のように、ワースはかくかくとクシナダの攻撃を避け、反撃に出た。
「『解除』、『一角獣』!」
MP消費の激しい『偽技能=肉体操術』を解除し、剣を突き出したままのクシナダ目掛けて杖を突き出す。赤いオーラを纏った杖はそのスキルの名前さながらユニコーンの突撃のような一撃をクシナダに突き上げた。
ごすっと鈍い音を立ててワースの杖がクシナダの鎧を撃ち抜く。クシナダの体はわずかに持ち上がり、クシナダの口からくぐもった声が漏れた。ワースはそのまま杖を引き戻しながら体を反転させてクシナダの背後に回る。一撃を受けたクシナダはぐっと足を地面に叩き付け勢いを殺し、背後に回ったワースへ反撃に打って出る。
ワースは魔法詠唱を始めながら杖を短く持って銛のようにクシナダに突き出す。
クシナダはダブルブレードの連結を解かずにワースからの突きを剣で受け止め、お返しとばかりに軸足とは別の足を鞭のようにしならせてワースに蹴りかかる。
ワースはクシナダの蹴りを避けるために後ろに飛んだ。そのせいで魔法詠唱は途切れたが、クシナダの蹴りを躱すことはできた。
「『ロックストライク』」
詠唱時間が極めて短くなった土属性魔法を、ワースはお返しとばかりに撃ち込む。岩の弾丸がクシナダに命中するところでクシナダは剣を振るい、それを切り落とした。
「フッ」
言葉にはしないものの、こんなもので俺のことが傷つけられると思っているのかと態度で示すクシナダだったが、唐突に目の前に現れた存在に軽い驚きを覚えた。ワースではない、先ほどクシナダを止めようとして抜かれてしまったミドリだった。甲羅に生えるエメラルドの結晶を燦然と輝かせ、燃え上がるような怒りを顔に露わにしクシナダへもう突進する姿はもはや一介のモンスターではなくボス級のモンスターの風格を放っていた。
「きゅ!」
「行け、ミドリ! 『愛獣一撃』!」
ワースは突進するミドリの背中に掴まり、ミドリを強化する。ミドリはワースの思いに応えるように一層激しく勢いを増してクシナダに突っ込んだ。クシナダはダブルブレードを盾にミドリを受け止めようとするが、先ほどの攻防を攻守入れ替えて巻き戻すかのように1秒と持たずにクシナダはミドリの突進に耐え切れずに吹き飛んだ。
宙を舞うクシナダを追撃しようとミドリは突進を続行するが、対抗するように空中でダブルブレードの連結を解き放ち大小2本の剣を両手に構えたクシナダがスキルを発動させた。
「『ワールウィンドクライシス』!」
二重の衝撃波がダブルブレードから放たれ、その先にいたミドリの体を穿った。
「きゅっ!」
その衝撃波にミドリの体勢は崩され追撃を断念し、クシナダから距離を取った。背中に乗っていたワースは振り落とされそうになりながら地面に降り立ち、魔法詠唱に入る。
「ヤラセルカ!」
ワースが魔法詠唱に入った様子を見たクシナダはそれを止めようとダブルブレードを構えて斬りかかるが、行く手をミドリに阻まれる。
「『ロックマテリアル』」
ミドリが稼いだわずかな時間で魔法詠唱を終わらせたワースはクシナダ目掛けて巨大な岩を撃ち出す。先ほどの『ロックストライク』であれば剣で防がれるが、これならば受けることは叶わず回避する他ない。クシナダは悔しげな表情を浮かべて斜め後ろへ後退し、まっすぐ飛んでいく『ロックマテリアル』を回避した。
「『体力活性化』、『魔力活性化』!」
クシナダの攻撃が再開される前に、自身に『魂術』の付与術を施すワース。『体力活性化』は徐々にHPを回復させていく付与術、『魔力活性化』は徐々にMPを回復させていく付与術だった。
「喰ラエ、『クロスランブル』!」
「きゅう!」
クシナダは両手のダブルブレードを交差させるように振るい相手にX字の強烈な一撃を与える『クロスランブル』を使い、ミドリは全身を硬化させ突進する『シェルアーマー』を使い、互いにぶつかり合った。
クシナダの交差した剣がミドリの堅牢な甲羅とぶつかり合っている間に、ワースは魔法を詠唱する。
大地属性魔法『プラントネット』。
蔦植物を急成長させ地面に纏わりつく網を張り出させる魔法。対象範囲内にいるもの全ての足元に纏わりつき行動阻害を引き起こさせる。敵味方関係なく発動してしまうこの魔法は使いどころに困る代物であるが、この状況に置いては有用だった。
ミドリとクシナダは足元に急に生え出して来た蔦に抵抗する間もなく網に捕らわれ、そこから移動することが叶わなくなった。無理やり引きちぎれば脱出することもできるが、そんな隙をミドリは与えない。脚に力を入れようとすればすかさず体を押し込んでくるミドリにクシナダは苦虫を潰したような表情でミドリに注意を払わなければならなかった。
ワースは再度魔法詠唱に入り、足元に巨大な魔法陣が描かれた。
魂術『ソウルサクリファイス』。
最大HPの半分と最大MPの半分を代償に、60秒間の間STRとINTとAGIを2倍にし、攻撃スキルまたは攻撃魔法の詠唱時間と再使用時間を省略する。効果時間中は攻撃系のスキルや魔法しか使用できず、魔法は基本属性に限り、さらにアイテムの使用はできない。また効果時間中は他者からの回復魔法を受け付けない。
つまり、この魔法発動中は防御を捨てて攻撃に特化できるという訳だ。事前に掛けておいた付与術は効果を発揮するため、今のワースはその身で前衛職のクシナダと十分渡り合える。
ワースは力強く足を踏み出し、クシナダへ接近する。
足元を囚われながらもなんとか遠くへミドリを弾き飛ばしたクシナダは獰猛な笑みを浮かべてダブルブレードを振りかぶった。
ダブルブレードの一振りと杖の一振りが交差する。
ぎちぎちと互いの得物をかませ合いながらながらワースとクシナダは向かい合った。
「ふっ、『サンドアームド』」
鍔迫り合いを繰り広げていたはずのワースの杖が突如として砂を巻き上げより太く、より大きくなりクシナダを押し付けていく。クシナダはもう一振りの剣を弓引くように構えスキルを発動させる。
「『ライトニングスピア』ァ!」
片手剣スキルの中でも突きカテゴリに入る『ライトニングスピア』は神速の突きを敵にお見舞いする。瞬くような突きを繰り出したクシナダは有効打を与えられたと思って顔を喜悦に歪ませるが、次の瞬間驚愕に無表情になる。
「『ダストフレア』」
砂を纏った杖が突如として砂を撒き散らし、その衝撃でクシナダの突き出した突きを逸らしたのだ。ワースは杖をすぐさま引き、腰だめに構える。杖を握る右手とは反対の左手には拳大の石礫が握られていて、クシナダがそれに気付いた時はすでにそれが放り投げられた後だった。
放り投げられた石礫は強化に強化を重ねられたワースの腕力によって剛速球でクシナダへ叩き付けられた。しかしいくら剛速球とはいえ、元々はただの石ころ。クシナダの胸元の金属鎧にぶつかり、かつんと甲高い音を立ててはじき返された。
その瞬間。
クシナダが投げられた石礫に気を取られた瞬間。
ワースは杖を突き出した、弾き返された石礫目掛けて。
「!?」
杖は吸い込まれるように石礫を突き、
「『開放』」
クシナダを巻き込み盛大な爆発が起きる。
クシナダは虚を突かれ、まともに爆発に巻き込まれる。仕掛けたワースは、というと爆発範囲を見極めていたため近くにいたとはいえ爆発をあまり喰らわなかった。
ワースが投げた石礫は『ストーンボム』という魔法によって生み出されたもので爆発までがワンセットの魔法だ。時間制限で爆発するが、中心部分を割くように衝撃を与えると瞬時に爆発し衝撃が与えられたのと同じ方向へ爆風を巻き起こす。
「『ピンボールショット』」
正確に狙いすまされた突きが爆発のせいで地に伏すクシナダの脳天を揺るがす。クシナダは頭が揺さぶられながらも後ろに飛び下がり、ダブルブレードを構え『ワールウィンドクライシス』の斬撃を飛ばす。
ワースはそれに構わず杖を振るう。スキルのオーラを纏った杖が『ワールウィンドクライシス』の斬撃を打ち消し、ワースは前へ進む。
クシナダの残りHPは1割を切ったところ。対するワースの残りHPは3割だった。ワースのHPは徐々に回復を続け、『ソウルサクリファイス』を使ってもまだ3割を残していた。
クシナダは追い詰められながらも笑っていた。そして、クシナダは切り札を切る。
「ククク、『狂戦士化』」
「!?」
ワースはすぐさま『ロックストライク』を連打するが、全てクシナダの剣の元切り刻まれた。
戦士3次職、狂戦士の固有スキル『狂戦士化』。
HPが3割を切ったところで発動可能で、発動したらHPが尽きるまで発動したままのスキル。発動中はSTRとAGIが2倍になり、その他の能力が半分になる。魔法は使用不可になり、攻撃スキルしか使えなくなる。さらに発動すると周りの状況が認識し辛くなり、まさしく狂戦士と化すスキルだ。
クシナダは猿のように俊敏な動きでワースに斬りかかる。それをワースは地属性魔法でなんとか攻撃を逸らし、ダメージを蓄積させようとする。しかし、クシナダはそれを器用に避けていく。
時間は悪戯に過ぎていき、ワースの『ソウルサクリファイス』の残り時間が10秒を切った時、ワースは決断した。ミドリは戦闘復帰できない今、ここで倒し切る他ないと。残りMPをすべて使い切って魔法で押し切ると。
クシナダが一際隙の多く威力の高い双剣スキル『クリムゾングラフェル』を地面に叩き付けた時、ワースはクシナダ目掛けて『ロックストライク』を撃ち続けた。詠唱時間も再使用時間も省略されている今、魔法は撃ち放題だがMPの消費がある以上いかに使いどころを誤らないかが問題だった。もう後がないと思ったワースはただこの魔法でクシナダが倒れることを祈って魔法を撃ち続けた。
そして、終わりは意外と早く訪れた。
ワースの『ロックストライク』の射出音が静まり、ワースはMP枯渇に膝を地に付けた。
もうワースは戦えない。HPはあれど、MPがない以上スキルや魔法は使えない。『魔力活性化』による回復はあれど、微々たるもので戦闘続行は絶望だった。
ワースの前に立つクシナダはにやりと笑みを浮かべてこう言った。
「オ前ノ、勝チダ」
クシナダはばたりと仰向けに倒れポリゴンが砕ける音がし、ワースの目の前にはWINNERの表示が表われた。
『獲得アイテム:幸運のスカーフ』
ワースはしばらくその場から動けなかった。
再び立った頃には、もうクシナダの姿はなかった。
伏線回収。覚えている人はいるでしょうか。
次回は久々に掲示板ネタをやろうかと思っています。
お楽しみに。




