8章 友再び 2節
そこから皆は、キャスリン達のアパートまで行き、明後日のサッカー観戦のことを話し合った。
チケットは4枚しかなく、結局日本の試合だと言う事で、トムとキャスリンは他の4人に行くようにしてもらった。
キャスリンは結婚となると、ここミュンヘンを離れる事になるので、できればトムとここに一緒に居られる少ない時間を、2人で町を歩いてみたかった。
そういう事で、あつし、孝一、美奈代そして桂子が予約していたホテルに移動した。
ホテルに着いて、荷物を一通り置くと、皆が一つの部屋に集まった。
「ごめ・・」と、桂子が美奈代に近づきながら、謝罪を口にしようとした時、「待った」と、孝一が急いでその言葉を止めた。
「なあ、俺たち謝りあうのはいい、確かに俺たちはお互い傷つけあった。でもそれは誰かを傷つけようとか、自分さえよければそれで良い等とは考えても居なかったはずだ」と、孝一は続けた。
3人は黙って頷きながらそれを聞いて居た。
「なあ、昔のようにケンカした後のようにこれからも4人仲良くしようって、それでいいじゃないか。ただ俺は桂子の事が好きだって事は、もう隠さない」と、鼻の頭を照れくさそうに掻きながら、孝一がそう言った。
「そうだよな、それがいい、孝一も宣言したから、俺も言うが、俺は美奈代が好きだ」と、あつしもそれに続いた。
美奈代と桂子は手を取り合い、笑いながら「そうね。私達も同じだから、そうしましょう」と、笑いあっていた二人だが、何時しか二人の目から涙が零れ落ちていた。
お互い言葉は無くとも、許しあった瞬間だった。




