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雨の物語  作者: 伊湖夢巣
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8章 友再び 1節

 「うわぁ、よかった」と、キャスリンが感嘆の声を上げると、トムが、

「よかったな、こうなったのもキャスリンのおかげだな。何かご褒美を上げなくちゃあ」と、トムは言った。


 「わたしはなにも・・・」と言いかけていた時、トムが突然キャスリンの正面で片膝を付き、おもむろに内ポケットから小箱を出した。


 そのフタをパカリと開けると、その中にはダイヤの付いた指輪が入っていた。


 周りを行き交う人々も、男性が片膝を付いた時点で何が起きるのか予想していた様で、ちらりほらりと人が、その行方を見守るために立ち止まり始めた。


 「キャスリン、僕は君とずっと一緒に居たい。僕の妻になってくれ」と、突然ポロポーズした。


 「え、ちょっと待ってよ。だって生活もままなら無いのに、無理言わないでよ」と、キャスリンが言うと、

「それは大丈夫だよ。俺たちメジャーデビューが決まったんだ」と、横から孝一が言った。


 「おい、孝一それは俺のせりふに取っといてくれよ」と、トムが決め台詞にしたかったらしく、泣きそうな顔で孝一を睨んだ。


 「とりあえず、契約金とか入るので、生活は大丈夫だ」と、今度はトムがキャスリンに向かって言った。


 「そう、それじゃあ仕方ないわねぇ」と、如何にも仕方無さそうに言ったが、内心いつポロポーズしてくれるのだろうと、ずっと待っていたキャスリンは、その思いを一生懸命隠しながら受けた。


 美奈代と桂子はそろって「おめでとう、キャスリン」と、キャスリンに抱きつき祝福した。


 周りで様子を見ていた人達からは、拍手が沸き起こり、「おめでとう」と、トムに握手をしてくる者も居た。


 「ありがとうと」と、言いながらトムは立ち上がり最後にあつしと孝一の祝福を受けた。


 トムは、キャスリンの右手の薬指に先程の指輪をはめ、そして二人は抱き合いキスをした。


 そうすると再び、周りから拍手が沸き起こり、今度は二人に「二人の人生に幸あれ」と、どこからともなく誰かが祝福した。


 ひと段落し、周りの人々も三々五々散らばって行き、再び6人の集団になった。

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