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雨の物語  作者: 伊湖夢巣
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7章 再会 1節

 その頃、あつし、美奈代とキャスリン達を乗せたICEが、小雨の中をミュヘン駅に向かっていた。


 三人は時間的に同じ列車になり、乗り合わせていたのだが、あつしと美奈代は当然お互いが同じ場所に向かっている列車に乗り合わせている事など、思っていなかった。


 ただ、キャスリンは孝一からの電話で同じ列車に乗るだろうと連絡を受けていた。


 少々気をもんでいたが、キャスリンはあつしと直接合った事は無いので、顔を見ても分からなかった。


 『まあ成るようにしか成らないでしょう、列車の中での遭遇があったら、それはそれで仕方ないでしょう』と、半ば諦めていた。


 それより、ミュンヘン駅で逢わそうと、画策している自分たちの勝手より、本人たちが自然の成り行きによって再会するのが、本当は良いのだろうとも、思っていた。


 まあそんなキャスリンの心配も無駄に終わり、三人は遭遇せずにICEがミュンヘン駅に着き、2人と1人はそれぞれホームに降り立った。


 キャスリンは、ミュヘンに到着した事をトムに携帯電話で伝えた。


 また、あつしも孝一に電話入れていた所だった。


 二人の電話から美奈代とキャスリンたちが売店に近い所に降りたことが分かり、美奈代をそこに置き去りにするようにした。


 キャスリンは、売店まで行きそこで立ち止まり、

「ごめんなさい、ちょっとここで待っててくれる。トイレに行きたいの」と、美奈代をそこで待っているようにした。


 あつしは、ベルリンで列車に乗る前から、その売店で幸一と待ち合わせをするようにしていた。


 しかし着いた事を知らせようと電話をすると、何故かホームに降りた場所を聞かれたが、素直にそれに答えた。


 すると孝一の「それじゃあ売店の前でな」と、言う言葉で、またしても一方的に電話が切れた。


 「まったく自分のペースだな」と、またしても携帯電話に毒づいたが、すでに通話は切れていた。


 ワールドカップの決勝トーナメントの試合が、明後日あると言う事で、駅は、日本のサポーターとその対戦国と思われるサポーターの人々が、たくさん列車から降りてきていた。


 あつしはこの駅はもちろん初めてなので、みんなが歩く方向に歩いていった。


 ホームのはずれと言うか、駅の屋根が付いている所まで来ると、確かに孝一の言ったように大きな売店らしき物が見えてきた。


 そちらに向かいながら、孝一達が来ている筈なので売店の周囲を見回してみた。


 人が多く探しにくかったが、ゆっくりと見回していくと、所載無げに居る一人の女性が目に留まった。

いよいよ次節は、あつしと美奈代の再会です。

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