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第1話魔力ゼロの隠蔽――魔法至上主義の世界で生きる

・主人公

アルカナ・ヴァニラ唯一魔法が使えない。

  ――この世界は魔法が中心である――

そんななかアルカナ・ヴァニラ…私は魔法が使えない。


魔法にはカーストが存在する。

持てる者と持たざる者。この世界では魔法の才能こそが、絶対的な身分の壁となる。


その壁の正体こそが、血筋によって固定された四つの階級——『エレメント(属性)』だ。



【水のエレメント(聖杯)】:支配層

感情と慈愛を司る。選ばれた高貴な血筋のみが冠することを許された、汚れなき聖職の属性。

【風のエレメント(宝剣)】:執行層

知性と武力を司る。騎士やエリート魔術師が属し、そのプライドは天を突くほどに高い。

【地のエレメント(金貨)】:労働層

物質と安定を司る。魔法を生活の道具として使い、社会を回す歯車となる一般市民。

【火のエレメント(短杖)】:最下層

情熱と動力を司る。だがその実態は、ただの「燃料」や「電池」。使い潰されるために存在する、泥にまみれた労働力。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お父さん!ここガス欠起きてるよ。補充して」



「おぉ!すまんすまんうっかりしてたわ」


父は手際よくランプを外す。父は慣れた手つきでランプの底にある魔導芯に触れた。彼ら『短杖ワンド』に許された唯一の術――「粗放な熱量ロウ・エナジー」の供給だ。


父の手のひらから滲み出た赤黒い魔力が、シュルシュルと音を立てて芯に吸い込まれていく。それは洗練された魔法などではなく、ただ己の生命力を削り取って燃料に変えるだけの、泥臭い作業だった。


「父さん。さっきの魔力供給、熱が一点に集中しすぎてたよ。もう少し拡散させないと芯が焼き切れちゃうよ。右手の『正位置』を意識して放出しなくちゃ。これ以上は右手に負担がつくよ。もう今日は休みに入ろう。」

「お前は本当に魔法に詳しいな。父はそんなお前を誇りに思うぞ」


父は私の頭をくしゃくしゃに撫でてそう言った。 


「じゃあそろそろ終わりにするか!お腹も空いたしな!お前のご飯が待ち遠しいな!」

「ふふ。じゃあ今日は特製焚き火飯ロースト・ポテト作ろうかな。」


私はそう言いゴソゴソと鞄からジャガイモと包まれたパサパサしたお肉を取り出した。


「仕事で出た余熱を逃さないように、アルミ箔で二重に包んで蒸し上げるのがコツなの。 …私にできる事はそれくらいだけだし。」

「何を言っているんだ。お前の料理の火加減は世界一だ!どの魔法高級店に引けを取らない!」

父は私につばを飛ばしながら必死に褒める。


私は思わず笑ってしまった。

(別に魔法が無くても、私は今充分に幸せ者だわ)

私は自分の鞄を鍋敷き代わりに広げ、その上に大切に抱えていた温かな焚き火飯を置いた。

「じゃあ、冷めないうちに早く食べよ!」


その瞬間――。


背後から、全てを凍りつかせるような冷たい風が吹き抜けた。


「あ……っ」


私の目の前で、包みがふわりと宙を舞い、中身が地面に投げ出される。

……そこには、土にまみれて茶色く汚れた、ジャガイモと一切れの肉が転がっていた。


「おい、そこのワンド。仕事をしないで何を呑気にやっているのかい?」


振り返ると、そこには銀色の鎧を纏った【宝剣ソード】の若い騎士が立っていた。


私はその場で震える事しかできなかった。

彼は腰の剣をカチャリと鳴らし、汚いものを見るような目で父を見下ろす。

父は慌てて頭を下げた。


「申し訳ありません、すぐに……!」

「その前にこの落ちている残飯をどうにかしてくれよ」


父は急いで地面に転がった土まみれのジャガイモを素手で拾った。


父は私を見ていなかった。その落ちたご飯も見ていなかった。父は宝剣ソードの怖さで目の奥は恐怖に混じっていた。


「……チッ、これだから出来損ないの燃料棒は。ろくに魔法の制御もできない下等な血筋が。おい、次からはもっと這いつくばって作業しろ」


男が指先を軽く振ると、鋭いカマイタチが父の足元を掠め、父はバランスを崩して地面に全体が落ちた


「お父さん!」


私は父に駆け寄った。そして若い騎士に睨見つけた。


「おい。なんだその目は?『短杖ワンド』の分際で俺に盾をつく気か?」


そう言いながら腰に掛けてある剣をカチャリとならす。


父は急いで私の頭を地面にこすりつけた。

そして父も頭を下げた。


「いいえ!そのような事はけしていたしません!…

どうか私達の無礼をお許しください!!」


父の大層な芸当を見た若者は少し満足した様子だ。


「そうだ『短杖ワンド』にはそのポーズが一番似合っているぞ」


クタクタと笑う声が地に響いて聞こえてくる。

私はその事実に唇を噛む事しかでなかった。


父さんの誇りも、私の真心も、あいつらの指先一つ

でゴミクズに変えられてしまう。


……そして何より、私を絶望させたのは。

目の前で父をいたぶるその魔法の構成を、私が誰よりも完璧に「理解」してしまっていることだ。

理論はわかる。術式の欠陥も見える。だけど、私にはそれを出力するための「魔力」が、この体に欠片も備わっていない。

もし、私が魔法を一切使えない「欠陥品」だとバレてしまったら。

最下層のワンドとしてすら生きることを許されず、この社会の歯車から完全に放り出されてしまうだろう。

バレるわけにはいかない。だけど、何もできない。




魔法が使えない私は、この世界では「ワンド」以下のゴミクズでしかない。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

私はAIに文書校正を補助してもらっています。

しかし収入や営利目的ではな趣味として執筆しています。

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