恐るべし昭和、意外と正確な噂が流れていたのかもしれないと思った話
昔、昔、昭和の後半の時代、お爺さんとお婆さんがいました。
「爺さんや。見回りにいくのかい?」
「そうじゃ!最近、狸や狢が畑を荒らしておるのじゃ!」
お爺さんは懐中電灯を持って、畑に行きました。
昼間は海が見える景色の良い場所でした。
お爺さんが見回りをしていると、海の方角から光が見えました。
お爺さんは懐中電灯で照らします。すると海の光はまるで答えるかのように、チカチカと点灯します。
「この時間、漁に出ている者はいない。さては狸だな!」
お爺さんは正体を確かめようと懐中電灯で照らしますが。
「そこのお爺さん。何をしている!」
「署まで来て下さい」
「な、何じゃ!」
背後から警察官が現れました。
署まで連行され。
「不審船の仲間じゃないか?」
「何をしていたか?!」
「合図を送っていたのではないか?」
と朝まで尋問され。やっと、家に帰ることが出来ました。
「婆さんや。大変じゃった」
「お爺さん!大変じゃ。昨晩、畑を狸たちに荒らされたのじゃ」
「な、何じゃと!」
「お爺さん」
「さては、狸め!不審船に化けたのじゃないか?」
と叫びました。
・・・・・・・・・・・・・
俺はこの話を聞いて疑問に思った。
「ちょっと、待って下さい。おかしいよ。北朝鮮の不審船が話題になったのは平成になってからでしょう?」
すると義母は答えた。
「フフフ、甘いわ。日本海側だとね・・・」
☆1980年代
『道子!この時間に遊びに行くと北朝鮮に連れ去られるわよ!自転車で遊びに行くのやめなさい』
チリン!チリン!
「え~、お母さん。怖いよ」
・・・・・・・・・・
「って、私の友人が話してくれたわ。1970年代からそう言われていたみたいね」
「まさか、でも・・・」
日本海側でアベック連れ去り未遂事件などが起きて、庶民はとっくに分かっていたそうだ。
さらに義母は話を続ける。
「狸が化けたのは不審船だけではないわ・・・例えばお爺さんの最後の台詞は変化するわ」
「ギャフン!狸は密航船に化けたのか?」
「な、何だと、狸はヤクザのトカレフ密輸船に化けたのか?」
「え、狸は韓国の密漁船に化けたのか?」
等々、地域によって若干の差があるわね。
「密航船って・・」
「バブル時代、日本は空前の好景気だったの。中国から密航船が来たわ。日本の一日の日当が祖国の月給に相当するのですもの。イラン人とかも来たかしらね・・・」
「今じゃ考えられない話だね」
でも、この話は、バブルがはじけたり。不審船が撃沈されてからは聞かなくなったそうだ。
もしかして、昭和の時代、庶民は昔話や噂話に託して危険を伝達したのか?
現代のSNSみたいなものだったのかもしれないと思った。
最後までお読み頂き有難うございました。




