ep3:ラプトルは何処から来たのか?
発端は1851年まで遡る。この切り裂きジャック事件が起こった1888年のおよそ37年前。場所はロンドン万博。そこでの目玉展示の一つが荘厳なクリスタルパレス内の「イグアノドン」の復元模型だ。太古の地球にこのような文字通り恐ろしい竜たちが居たことは多くの人々の関心を引き付けたが中でもとりわけ心を奪われた少年が居た。
その少年は有力な貴族の子息でありまた偶然にも彼の名も「ジャック」であった。彼はこの出会い以降『生きた恐竜を飼う事』を生涯の夢とし私財を際限なく費やしそれらを探した。そして1886年40代半ばになった彼の元に遂に念願の生きた恐竜の手掛かりの噂が舞い込んだのだ。
彼は大勢の冒険家を雇い生きた恐竜を世界中探させていた。そしてその一人が中国の奥地で「生きた恐竜の最期の番」がいるとの話を怪しい商人から聞いたというのだ。その冒険家は直ぐにその商人の元へ向かい雇い主に言われた通り金に糸目を付けず「恐竜の番」を買い取ったのだった。
商人によればロンドン万博のあのイグアノドンの復元模型はデタラメだという。そして今回の番の恐竜は人間ほどの背丈で後肢で立つが人間のような直立ではなく頭と長い尻尾で前傾姿勢ながらバランスを取った鳥のような姿だという。
貴族のジャックは現地からその番が船で自らの屋敷に運ばれてくのを心待ちにし、庭には恐竜が過ごしやすいような一角をこれもまた大金を賭し整備した。しかし1888年その恐竜の番を乗せた船がロンドンの港に着いたと連絡があった暫く後、2匹の恐竜が船乗りを襲いロンドンの街へ逃げ出したとの報告を彼は聞かされたのであった。
もちろんあらゆる人材と資金を投入して彼は恐竜を探した。しかし見つからない。夢が破れ絶望しかけたころ彼のもとに「切り裂きジャックの人間離れした狂気的犯行」のニュースが飛び込んだ。彼は確信した「切り裂きジャックの正体があの恐竜」であることを。
彼は再度恐竜の捜索を始めさせたが警察などに情報を提供することはしなかった。生きた恐竜を知っているのは自分一人でなくてはならないのである。恐竜さえ無事でいてくれれば貧民街の人間が何人死のうが構わない。しかし成果は上がらずとうとう業を煮やした彼は側近たちの制止も聞かず自らロンドンへと赴いた。
貧民街らしいみすぼらしい身なりに変装しても立ち振る舞いからとても労働者には見えなかったが彼は構わなかった。そして彼は女性の悲鳴を聞きつけ切り裂きジャックだと確信し直ちに駆け付けた。しかしそこに居たのはケチな強盗でありあからさまに金持ちな彼は強盗に襲われあっさりと死んだ。
彼は最期まで生きた恐竜を目にすることはなかった。強盗は金目のものだけ取ってその貴族の死体はテムズ川へと投げ捨てたとされている。
次回【エピローグ:ラプトルたちの最期。雨は全てをテムズ川へと流す。】につづく
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