千里眼の継承者!
八咫烏町にある見晴台の隅にポツンと置かれた一つの祠があった。石で積み上げられてできた構造物は長い年月を感じさせないほどに新しく見える。
祠の中心が光り輝くと誰かを待つようにまた輝きは沈黙する。妖気が選ばれし者達を待っているからだ。
★△▼□■▽▲★
千里 楽市は自室のベッドで目を覚ました。まさに普通の日常だ。
普通と違うことと言えば、学園である大事件が起こって夏休みが前倒しになり、少し早まったことだろうか。
だから一日中ベッドで惰眠をむさぼるのもいいだろう。だが僕には早く起きて準備する理由がある。
今日は姉さんが帰って来る日だからだ。
インターホンが鳴る。姉さんだ。
僕は玄関の扉を開ける。ガチッと扉ではない何かの異音が聞こえた。僕の特殊技術のようだった。だがいつもと違い、視界が波紋のように揺れて不快で不気味な悪寒を感じた。
そうだ、僕の特殊技術の話もしないと…あれ…?
―千里 龍子―友好度-360
「えっ…何これ?」
「…何?」
肩で綺麗に切り揃えられた黒髪に、ぱっつん前髪は昔とは変わらない様子だ。学園の制服を着ているのは学園と役所で転入の手続きをしていたからだろう。
腰には鞘に収まった刀がある。僕達姉弟の故郷である八咫烏町で採掘された、魔封石を加工した業物だ。
龍子姉さんは別に悪いことをしたわけではない。ただ僕の心に勝手にひびがはいっただけだ。
友好度に-という概念があることを僕は初めて知った。まさか肉親である姉さんで見ることになろうとは…
「あの姉さん、聞きたいことが…」
龍子姉さんは僕を無視して家に上がる。【千里眼】も使えない弟よりも居間にいる両親に会いに行った。
千里家の中で僕だけが唯一【千里眼】を使えないことが、いまだに姉さんの間に見えない壁を作る原因となっていることが分かった。
過去の系譜を見ても千里家の者が特殊技術【千里眼】を継承できなかった者はいないからだ。つまり前例がないから親族や親戚から余計に目立ったのである。
僕の家族が荒蜘蛛市に引っ越した理由は学園が近かったこともあるが、千里家の人達に奇異の目で見られるのを避ける為でもあった。
僕は何故か疎外感を感じながら居間で両親と談笑する龍子姉さんを見ていた。
■□◆◇■□―千里家の夕食の席―
夕食の時間の話題は海外留学していた龍子姉さんの話だった。姉さんが一通り話を終えると父さんが言った。
「明日は予定通り帰省するからちゃんと荷造りはしておけよ。お前達の兄さんにも久しぶりに会えるからな」
「わかった、準備しておく。楽市は鈍臭い、忘れ物しないように気をつける」
「姉さん、僕はそこまで子供じゃないよ」
うちの家族は千里家の分家で、夏休みは毎年、千里家の本家に顔を出す決まりになっている。本家には兄もいる。明日は八咫烏町に帰省するのだ。
▼▽▲△▼▽―翌日 八咫烏町―
八咫烏町に最後に帰省したのは去年の夏休みだ。本家の集まりと行っても顔見せ程度なのでそこまで気を張る必要もない。
僕のことも親戚関係の人なら誰でも知っていることなのでそこまで気にする必要もない。
一番の問題なのは兄のことだろうか。姉さんもそうだが、特殊技術【千里眼】を継承できなかった僕をあまりよく思っていない。
昔はそこまで兄弟姉妹仲は悪くなかったが、今では見えない壁のようなものができあがってしまっている。
兄は去年から本家の方で修業していて、本家を継ぐつもりらしい。僕には理解できないし、姉さんは自由が無くなるという理由でそもそも継ぐ気など毛頭ない。
今僕らはバスの車窓から枚挙に暇がなく流れる田園風景を眺めていた。荒蜘蛛市から四時間かかる田舎町だ。
正直に話すと僕はこの田舎の雰囲気は嫌いではない。むしろ僕には好ましいものだった。空気はおいしいし、都会にはないなんとも形容しがたいあの雰囲気が好きなのだ。
荒蜘蛛市に越してくる前はここにいたので当たり前だが、懐かしい感じもいい味を出している。
そういえばよく兄さんと姉さんで夏祭りに参加したな。あの祭りはまだ続いているのだろうか?
本家に着くと毎年顔を合わせている親戚達が出迎えてくれた。親切なことにもう宴会の準備ができていた。
場所は本家のある母屋で行われる。僕達は旅の荷物を離れに運び、僕達は母屋で催される宴会場に向かった。
そこには都会ではまず見ることのなかった和やかさがあり、沢山の豪華な料理が食卓の上を所狭しと並んでいた。
「お前達もう来てたのか、龍子に楽市」
「楽座兄さん、久しぶり」
千里家の本家を継ぐ為に修業している、僕達の兄の千里 楽座が、宴会場にいた僕達を見つけると歩み寄ってくる。ツーブロックカットの髪型は最後にあった一年前から変わらない。
ガチッと頭の中で音が鳴った。視界が揺れて不安を煽るような不快な波紋が発生する。
―千里 楽座―友好度-120
「おっ、どうした楽市?俺様の顔になんか付いてるかよ」
「いや…なんでもない」
(僕の特殊技術が壊れたのかな?)
「楽市はちっとも変わらないな。だからお前はいつもパッとしないんだよ。昔陰で落伍者と言われてたこと忘れたのか?今じゃ家族も親戚達も受け入れてるが、当時は風当たりがひどかった。逆境を糧にしろと言っただろ」
楽座兄さんは学園を首席で卒業した実績があるので僕は何も言えなかった。
「楽座兄さん、それを言ったらさすがに弟が可哀想…」
龍子姉さんが楽座兄さんを窘める。
「事実を言ってるだけだろ。俺様も昔は落ちこぼれだったが今ではあの千里の一族、千里家本家継承者の有力候補だからな」
「私は無理。堅苦しいの苦手」
「僕も苦手かな」
「だから俺様がやるんだろ。それが最善だ。やる意欲のある奴がやって、やる意欲のない奴はやらなきゃいい。簡単な話だ」
楽座兄さんは話を打ち切り、どこかに行こうとしたが僕に向き直った。
「そうだ思い出した。楽市、お前に会わせたい奴がいるんだ。まぁお前が見飽きてる奴だと思うがな」
楽座兄さんに案内されて奥の応接室に通される。そこにはソファがあり、見覚えのある人物が座っていた。視界に波紋が広がり、不協和音が響く。
―牙城 友樹友好度-30
(僕の特殊技術はとうとう壊れたようだ。そんなことよりも…)
「なんで牙城さんがここにいるんですか?」
「楽市…」
いつも生き生きと風紀委員をしていた牙城さんとは思えないほど顔はやつれて伏し目がちだった。牙城さんに何があったというのか。
「俺様に牙城が謝罪していたと楽市に伝えてくれとここに来たんだが、無理矢理引き留めて、直接自分で言えと言ったんだ。俺様にメッセンジャーになれとか偉くなったもんだな、牙城」
楽座兄さんは去年まで学園にいたため、牙城さんとは面識がある。つまり先輩と後輩の関係にあたる。
「楽座先輩、俺もう皆に顔を合わせることができないんです。だから俺は帰ります」
牙城が立ち上がり帰ろうとすると、楽座が腕を掴み引き留める。
「まあ待て、せっかく遠路はるばるここまで来たんだから、何を謝りに来たのかだけでも聞かせろよ。わざわざ謝罪しにくるくらいだから相当なことなんだろ」
牙城は言うかどうか迷ったようだったが諦めてソファに座り直した。
牙城さんの口から語られた衝撃的な内容だった。牙城さんが先日学園を襲撃した妖魔連合を名乗る集団の一員だったというものだ。
それから牙城さんの生い立ちについても語られた。最初は自分を拾ってくれた妖魔連合に恩義を感じて協力していたが、妖魔連合の参謀の凶狐が現れてから、自分のやっていることに疑問を感じ始めたことを語った。
「俺は…とんでもないクズ野郎だ。俺が不甲斐ないせいで雪丸も出てこなくなっちまった」
雪丸は牙城さんの特殊技術獣の魂で召喚できる白い狼のことだ。
僕達はかける言葉が見つからなかった。なんともいえない雰囲気に最初に口を開いたのは、やはりと言うべきか楽座兄さんだった。
「落ち着けって、とりあえず今日はここに泊まって、難しいことは明日考えればいいだろう…そうだ、明日あの祠に行こう」
「兄さん、あの祠って?」
「ほら覚えてないか?俺様達兄弟姉妹の思い出の場所だよ。あの見晴台だ」
それを聞いて僕もやっと思い出した。楽座兄さんが言っている場所は小高い山の上にある見晴台のことだ。
見晴台と言っても近くに建造物があるわけでもなく、ただ遠くの方まで景色が見えるだけだが、八咫烏町の絶景スポットなのである。
昔はここで楽座兄さんと龍子姉さんと一緒によく遊んだ。最近では地元の人でも散歩くらいでしか行かないらしい。
そこには一つの祠がポツンと置いてあり、なんの為にあるか不明な謎の祠がある。
「あそこにいけば自分の悩みなんてちっぽけなものだと思えるさ」
僕達は牙城さんを宴会場に誘う。牙城さんは断ろうとしたが楽座兄さんの押しに負け強制参加することになった。
宴会は盛り上がり夜まで続いた。僕達は離れに帰ると久しぶりに兄弟姉妹揃って川の字で寝た。
夜遅く眠れなかった僕は少し近くを散歩しようと思った。まだ小さかった子供の頃に遊んだ公園や河川敷を見てみたかったからだ。
僕が着替えて障子を開けようとすると声がかかった。
「おい楽市、どこに行く?」
布団から起き上がった楽座兄さんだった。
「散歩だよ」
「私も、行く」
龍子姉さんが目をこすって布団から起き上がった。(本当は一人で行きたかったんだけど…まぁいいか。)
「しょうがないな。兄貴として俺様も付いていってやるか」
(追加で兄さんまで来ちゃうのか。牙城さんは…やめておくか。疲れてるみたいだし。)
田舎の夜は真っ暗闇の為、外灯の明かりがあるところを通る。僕と楽座兄さんと龍子姉さんが畑のあぜ道を揃って歩いていく。夏の夜の風が頬を撫でて涼しかった。
「どこに向かうんだ?」
「公園とか河川敷かな」
「私、先に公園がいい」
楽座兄さんが龍子姉さんに同意する。
「よし、公園の次に河川敷に行こう」
夜の公園に着くと寂寞とした雰囲気があった。遊具は赤錆びだらけで雑草が公園を浸食していた。
姉さんが赤錆びだらけのブランコに乗った。
「おいおいそのブランコ乗って大丈夫か?龍子の重みでぶっ壊れないだろうな」
「兄さん、心配してくれるのはうれしい。でも失礼」
「なんでだよ」
ひとしきり赤錆だらけの遊具で遊んだ後、河川敷に向かった。途中で昔よく待ち合わせ場所にしていた鉄塔があったり、消防団の装備が保管されている小屋が新しくできていたりしていた。
時の流れによる変化を感じながら河川敷に到着した。川の流れる音が心地よい。小さな橋の欄干から兄さんと姉さんが川面を見る。
「ここもあんまり変わんないな」
「確かに、変わってない」
(そうだ!このタイミングであのことを聞こう)
「龍子姉さん、あのさ、僕を学園に推薦してくれたことあったじゃん。ありがとう」
「あれは当時の緑髪が提案してきたこと。今の生徒会長も巻き込んだとは思わなかった…生徒会長には悪いことしてしまった」
「そうなの?水月と聖さんは姉さんからと言ってたけど?」
「そんな話があったのか?まったく龍子は弟に甘いな」
「この話はもう終わり、知らなくてもいいことがある」
「でも学園に居づらくなったのは僕のせいで…」
「この話はもう終わりと言った」
姉さんはいったん言葉を区切ると何かを決意した顔をして言った。
「楽市と話をしてるといつも何故かイライラしてくる。私はそれで海外留学を決めた。楽市のことが本当に嫌いになってしまいそうだから」
(才能が無かった僕が悪いけど今のは酷くないですか。)
「俺様も楽市とそういうことあるぞ。龍子もだったのか?不思議だな」
(兄さんもナチュラルに酷いな。言葉の暴力に耐性が無かったらメンタルブレイク起こしてるよ)
「分かった?だから私に話しかけないで」
「分かったよ。なるべく学園でも話しかけないようにするよ」
嫌味を含ませた返答をすると僕は夜の川面を見つめて盛大にため息をついた。
★■□▼△◆◇★―八咫烏町―
翌日、夏の木漏れ日が木々の間から眩い陽光を放っていた。楽市と龍子と楽座と牙城は小高い山の山道を歩いていく。
目的地は千里兄弟姉妹が昔遊んだ思い出の場所で祠がある見晴台だ。
道が整備されていないからか、少し獣の道になっていたが特に険しい道では無いため問題なく見晴台に行けた。
見晴台に着くと森が開けた場所があり眼前には八咫烏町の全体が見渡せた。よく見晴台の広場を眺めて見ると広場の隅の方に小さな祠あるのが見えた。
「やっぱりここからの景色は最高だな」
「ええ、本当に」
楽座兄さんと龍子姉さんがそれぞれ感想を述べる。牙城さんは絶景に目を奪われていた。僕は牙城さんを見て少し誇らしい気持ちになる。一緒に連れて来てよかったというものだ。
背後の林で沢山の烏が飛び立つ。何事かと僕は振り向く。林をかき分けながら何かが近づいて来ていた。
二つの影が見えてくるとそれは見晴台の広場に姿を現した。
「本当に鴉の言うとおりだったな。遠くの田舎まで行けば逃げられと思ったか?牙城ゴラァ!なぁ青月ゴラァ」
「…修羅鬼…同意だ」
草むらをかき分けながら、山賊のような獣の毛皮の服を着た、額から一本の角の生えた鬼の妖魔。それから鎧兜を纏い刀を携帯している妖魔が草むらから現れる。
「牙城よぉーまさか妖魔連合から簡単に足抜けできると思ったかよゴラァ」
「お、俺は…」
僕は牙城さんの前に立つ。修羅鬼と青月は僕の記憶が正しければ学園を襲撃してきた奴等の仲間だ。絶対に許せない。
「おうおう俺達と戦ろうてのかゴラァ。いい度胸してんじゃねぇかゴラァ」
「…しかし…勇敢なだけでは…どうにもならないことを…教えてやる」
先に火蓋を切ったのは修羅鬼だった。人外を超えた脚力で一気に間合いをつめる。
僕も特殊技術を発動させる。しかし特殊技術が発動しない。
(なんでこんな時に…まさか-の影響なのか!)
修羅鬼の拳が楽市の腹にめり込む。息が詰まるような衝撃が楽市を襲った。そこから修羅鬼の怒濤の連打を浴びる。拳や蹴りが楽市に降りかかる。
「おいおい後ろの奴等は戦わないのかよゴラァ!こいつがボコボコになってんのに冷たい奴等だなゴラァ」
僕は皆のいる方を見る。楽座兄さんは腕を組み、龍子姉さんは刀に手をかけているがそれ以上は動く気配はない。牙城さんは二人の後ろに隠れていた。
「…修羅鬼…人間とはそういう生き物だ。…他人の苦しみなど理解できん」
「そうか…本当に冷たい奴等だなゴラァ。お前には同情するぜゴラァ」
そう言いながら拳と蹴りの連打は止まらない。だが楽市は膝をついて完全には倒れない。皆の前では倒れるわけにはいけないと変な意地を張ったからだ。それを見ていた青月が言った。
「…見苦しい。それがしが…引導を渡してやろう」
「おい青月邪魔すんなゴラァ!」
青月が腰の青色の刀を抜き放つと一気に距離をつめ、刀を楽市に振り下ろされる。
「ッ!!」
(まずい!避けられない!)
鉄がぶつかる金属音が響いた。龍子姉さんが見かねて刀を抜き、青月の刀を防いだ。
「まったく、うちの弟はしょうがない」
「…お前は?」
「私は千里家、【千里眼】の継承者…千里龍子」
龍子の瞳が紅く輝く。うちの家に代々伝わる特殊技術【千里眼】の発動の証である。
「私は…5秒先の景色が未来が見える」
「…何!」
青月の刀を払うと龍子は怒濤の猛攻を見せる。青月は龍子の斬撃に防戦一方だ。そして決着は意外と早い幕切れとなる。
「…もらった!」
「ッッ!!…」
龍子の刀が青月の甲冑に当たると刀以外の全ての物ががバラバラになり吹き飛んだ。
「っ!!青月が…一撃だと…ゴラァ…」
修羅鬼は目の前で起こった事態に目を見開く。
「何を驚いている?私が持つこの刀は妖魔の妖気を阻害する魔封石で作られている。妖魔がこれに斬られたら致命傷は避けられない」
龍子の持つ刀に陽光が反射して輝く。
「では今度は俺様の出番だな」
今まで腕を組んで黙っていた楽座が修羅鬼の前に出てくる。
「てめぇも戦ろうてのかゴラァ!」
「もちろんだ」
楽座の瞳が紅く輝く。楽座の特殊技術【千里眼】が発動した。
「おら、どっからでもかかってこいよ鬼野郎」
「舐めてんじゃねぇぞゴラァ!!」
修羅鬼の拳が楽座の顔面に当たる寸前に楽座が手でそれを払う。修羅鬼は動揺せずに拳や蹴りの連打を浴びせるがどれも決定打にはならない。どれもいなされる。
「どうなってんだゴラァ!」
「不思議か?俺様の【千里眼】は相手の気を見ることができる。妖魔の場合は妖気だな。その気の動き見れば相手の動きを大方予測できるっていう寸法だ」
「卑怯だぞゴラァ!!」
「卑怯?弱者を虐げて勝ったとか言って、悦に浸ってる奴等に言われたくはないな。…そろそろ終わりにしてやる」
一瞬で修羅鬼の前まで距離をつめると拳を一気に修羅鬼の鳩尾にめり込ませる。そのままの勢いで修羅鬼は腹から背中まで楽座の拳が貫通する。
「ガハァッッ!!?」
「…じゃあな」
修羅鬼の妖気が霧散していき身体が灰になっていく。灰の塊は風にさらわれ散っていった。
こうして獄門 修羅鬼は呆気なく死んでいった。
僕は戦いが終わるのを呆然と眺めていた。牙城さんも多分同じだろう。
「不快な妖魔共だったな。せっかくの思い出の場所なのに…なぁ龍子」
「えぇ、本当にその通り」
牙城さんが膝をついた僕に寄ってきた。
「楽座先輩はやっぱり強いが、お前のお姉さんも強いな」
(僕もそれは思った。きっと僕がいない間に修行で研鑽を積んでいたのだろう。以前よりも格段に強くなっている)
楽座兄さんと龍子姉さんが僕達の方に来る。その瞬間だった。見晴台の広場の隅にあった祠が光り輝く。
「「ッ!!?」」
閃光が見晴台にいた僕達を包んだ。身体には浮遊感があり、閃光が眩しく腕で目を覆った。
*****
閃光と浮遊感が収まると僕達は見たことのない森の中にいた。
「なんだ今のは、皆無事か?」
楽座兄さんが皆の無事かの確認を始めた。
「私は、大丈夫」
「俺も大丈夫です」
「僕も大丈夫」
全員無事のようだ。しかし僕達はさっきまで見晴台にいたはずなのにここはどこの森なんだ。見た感じ森の雰囲気が違うのがわかる。
「…やっと来たか。妹の言ってた通りじゃ。ワシらは待っておったぞ。四人の勇者達」
「誰だ。また妖魔か?」
楽座兄さんが木の上を見ると、坊主頭で着物を着た男が腕を組み、僕達を木の上から眺めていた。木から飛び降りると僕達の前で自己紹介をした。
「ワシは千里 虎兵衛。千里一族の名を継ぐ者じゃ」
坊主頭の青年、虎兵衛は鼻をこすって胸を張った。
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登場人物友好度メーター
―マイナス開放―
-が一定の数値を超過すると友情特殊技術を使用不可能になる。
―千里 楽市―
本作の主人公。友情特殊技術を保有している。千里家の次男。
―千里 龍子―友好度-360
千里 楽市の姉。海外留学から帰国した。特殊技術【千里眼】で5秒先の未来が見える。
―千里 楽座―友好度-120
千里 楽市と千里 龍子の兄。本家の千里家を継ごうとしている。特殊技術【千里眼】で気が目視できる。
―牙城 友樹―友好度-30
千里 楽市の同級生。妖魔連合を足抜けした。特殊技術【獣の魂】で雪丸という白い狼を召喚できる。精神状態が不安定のため召喚できなくなった。
―千里 虎兵衛―
???




