学園の仲間達!
楽市の朝は早い。早朝6時半には起床。これは不登校という後遺症から復帰するためのものだ。惰眠を貪りたい欲求に抗いながら時計を見る。あと一分でアラームが鳴る。そしてアラーム音が鳴ったと同時に消す。僕はベッドから体を起こした。
キッチンでは母さんが料理を作っていた。朝食だけではなく、父さんの弁当まで作っているのだから本当に頭が下がる。
父さんは居間のダイニングテーブルで経済新聞を読んでいた。テーブルにはマグカップが二つあって、コーヒーが注がれていた。父さんが新聞から顔を上げる。
「お前が起きたみたいだからコーヒーを入れておいたぞ」
「父さんありがとう」
「お前が不登校だと聞いた時はどうなるかと思ったが、立ち直ってくれてよかった。お前の姉には、学園を休んでる間は休養期間だったことにしておいてやる」
「そう言ってくれると助かるよ。父さん」
僕はそう言うと何気なくテレビをつけた。どこかのスタジオが映し出されアナウンサーやタレント、専門家が何やら議論をしている最中だった。司会進行の女性が次のニュースに移行する。
『はい、では次のニュースです。近年人を襲う妖魔が増加している問題を受けて、政府がいよいよ対策本部立ち上げるとのことです』
妖魔が最近活発に行動していることは学園でも聞いた。
妖魔は自然発生した妖気を纏った生物で、普段は人前に姿を現すことはない。妖魔は見た目と戦闘能力が一般人とはかけ離れた存在だ。妖魔は人間に友好的な奴もいれば凶悪な奴もいる。だから僕はあまり関わらないようにしている。
『今日はその専門家の方にお越し下さいました。妖魔対策専門の水月 鏡弥氏です』
司会進行の女性がそう言うと、見たことのある緑色の髪をしたクラスメートが、堂々とした立ち居振る舞いで入場してきた。
僕は飲んでいたコーヒーを父さんに噴き出した。
「何やってるんだ!お前は!はぁ…コーヒーでビチョビチョじゃないか。やっぱり姉に不登校のことは伝えるからな」
(そういえば昨日、明日テレビに出るので学園を休むと言ってた)
僕はタオルをとりに自分の部屋に戻る。ふと思い出して勉強机を見た。そこには昨日暗堂君に借りた単行本があった。ご丁寧に栞までつけてくれた。
僕は本を捲っていく。栞が挟んである箇所までくると栞の異変に気付く。
父さんが居間で何か言っているが耳に入ってこなかった。
▲△▼▽▲△―学園 校内 休み時間―
牙城 友樹は風紀委員である。その証拠に生徒会とは色の違う腕章をつけていた。
生徒会と風紀委員会の共同で作った意見箱をひっくり返す。以前この意見箱で、生徒のカツアゲが発覚したのは記憶に新しい。地味だが重要な仕事だ。
「どうせ何も入ってないだろうがな」
ひっくり返した意見箱から一枚の紙がヒラヒラと落ちてきた。
「入ってるのかよ」
紙には文章が書いてあった。牙城は栞を拾うとそれを読んでいった。
■□◆◇■□ ―学園 廊下 同時刻―
「あ、あの楽市さん!」
廊下で慌てた暗堂君が僕に話掛ける。
「実はさっき音楽室で楽市さんの文房具が忘れ物ボックスにあったんですけど、言いそびれてしまって。僕も音楽室に忘れ物しちゃったんで一緒に取りに行きませんか?」
「いいよ、行こうか。僕が音楽室の鍵を取ってくるから、先に行っててよ」
△▲▽▼△▲ ―学園 音楽室―
「あれ?暗堂君、忘れ物ボックスに文房具が無いけど…どこにあるの?」
暗堂の背中から悪魔―ドジィーが出てくる。暗堂はその場で膝から崩れ落ち倒れる。
以前遭遇した時とは容姿が違う。
筋骨隆々の身体は天井に着きそうな程巨大で、頭からは一対の羊の角が伸びていた。紫色の体表はより人外を思わせた。
楽市は悪魔が出現した事に気付いていない。無防備に背中を晒している。
悪魔は鋭く尖った爪を楽市にめがけて振り下ろす。
楽市は―振り向きざまに特殊技術〈虎徹〉を発動させ現出した刀で爪を受け止める。刀と爪がぶつかり合い火花が散る。
つば競り合いに楽市は勝利した。
「お前ッ!不意打ちに気付いていたな!」
「危なッ!知ってたけど、めちゃくちゃ怖いな」
僕は―虎徹 弐―刀を構えた。そして動揺していた悪魔を袈裟斬りで斬る。
「グハァッ!?」
僕が斬った箇所が煙を上げている。傷が再生している。しかし悪魔の苦悶に満ちた表情は、苦痛の色を隠せない。
「やっぱり僕の能力は悪魔に結構効くんだな。電話で水月に聞いて正解だった」
「畜生ッ!こんなはずではッ…!」
「どうした、まだやるか?」
僕は刀を構え直す。
(強がってるけど内心結構ビクビクしてます)
「チッ!…覚えてろよッ!!」
悪魔は捨て台詞を吐くと、音楽室の扉を破壊するとそこから廊下に逃走した。
「あッ!待て!」
楽市は暗堂を綺麗に横たえると、廊下に逃走した悪魔を追いかけた。
◆◇■□◆◇ ―学園 廊下―
人外を超える速力を持つ悪魔は廊下を駆ける。すると前方に赤毛の生徒が歩いているのが見えた。赤毛の生徒はこちらを振り向く。
「ほう、貴様が噂の悪魔か。少し相手をしてやろう」
邪魔だ。悪魔は自分の進路上にいる赤毛の生徒をそう思った。悪魔は速力に任せて爪でその生徒を切り裂こうとする。
しかし赤毛の生徒が掻き消え、遅れて爪が空を切る。
「消えたッ!?」
「消えた?違う。【加速】しただけだ」
いつの間にか真横にいた赤毛の生徒は、悪魔の脇腹に凄まじい速度の蹴りを炸裂させる。悪魔は校舎の壁を突き破り校庭に吹き飛ばされた。
「日ノ宮さん!」
「ほう、あの悪魔を追い立てたのはお前だったか。たいした奴だ。だが校舎に逃がしたのはいただけんな」
「…すみません」
―日ノ宮 優の友好度60ポイントアップしました―友好度の上昇によりスキル【加速】が開放されました
「話は風紀委員の牙城から聞いている。現在牙城はSクラスの皆を集めているところだ。お前は校庭に落ちた悪魔を追え」
「日ノ宮さんは?」
「私は生徒会長の武器―聖剣―を保管庫から回収してくる。鏡弥が不在である以上、悪魔を倒すには聖剣が必要だ」
「分かりました。生徒会長が来るまで足止めしろということですね」
日ノ宮が頷く。
「そういことだ。話が早くて助かる。では私は行く。死ぬなよ」
そう言い残すと―スキル【加速】―を使い廊下を駆ける。
僕は急いで校庭に向かった。
▲△▼▽▲△ ―学園 校庭 グラウンド―
校庭のグラウンドの中央では悪魔が倒れ、脇腹を押さえ身悶えしていた。
「ッ痛ぇッークソがぁッ!!」
悪魔は痛みを紛らわすために地面を思い切り叩く。その部分の地面は砕け陥没する。
「見つけた」
楽市はグラウンドに着くと刀を構えた。
「…人間風情がぁッ!!調子に乗るなよ!」
悪魔は叫ぶと起き上がる。
「本当に悪魔が学園に出るとは驚いた」
「白鳩さん!」
白い髪の女子生徒―Sクラスの良心 白鳩 弓さんだ。
白鳩は腕を組みながらグラウンドの中央に歩いて行く。
「何してるんですか!白鳩さん、危険だ!近付いちゃいけない!」
(白鳩さんは回復系のスキルを保有している。最前線で戦っていい人じゃない。)
「あァ!?なんか言ったァ!」
(何故か凄い形相で睨まれた。何故だ。)
白鳩は悪魔に向かって走って行く。そのまま跳躍すると拳を振り上げ、悪魔の顔面を思いっきり殴る。
「オラァ!!」
悪魔が怯むと続けざまに殴る。白鳩の拳による連打が炸裂する。
「オラオラァ、どうした弱いじゃないか!悪魔だろ、オラァ!」
(…良心は訂正しよう。彼女は戦闘狂である。)
「なんだ!この頭のおかしい人間はッッ!」
白鳩の絹のようにきめ細やかな手が、素手で殴っているため血だらけだ。返り血ではない。彼女の拳から流れている血だ。
「白鳩さんッ!手から血がッ!」
「…大丈夫ッ!スキルで【回復】させるからッ!」
そう言うと白鳩の手が光に包まれ傷が癒えていく。
(間違いない。疑う余地もなく彼女は戦闘狂である。)
しかし白鳩の続けていた拳の連打が不意に空振る。白鳩に致命的な隙ができた。
悪魔は右腕を振りかぶると、鋭利な爪が白鳩に迫る。彼女に爪の攻撃が当たる寸前に悪魔の右腕が見えない何かに切り刻まれた。
「ッッ!?」
悪魔は何が起こったのか理解できていない様子だ。
「…油断しすぎだ…白鳩」
スキル【光学迷彩】で透明化していた風雲 影人がクナイを持って姿を現した。
「おお、やってるな。二年Sクラスにカチコミとは命知らずな悪魔だ!」
生徒会長を除くSクラスの面々を引き連れて、棍棒を片手に持った牙城が吠えた。
(うちのSクラスは心強いけど物騒すぎませんか?水月 鏡弥という陰に隠れて忘れてたけど、クラスメートの皆は生粋の戦闘狂だった。)
「チッ!こうなったら相棒だッ!相棒はどこだッ!!」
「相棒だぁ?暗堂のことか?利用するだけの関係を相棒とは呼ばねぇよ。相棒と言うのは俺達のことを言うんだ」
牙城の肩から小さい白い犬が出現する。相棒の雪丸だ。
「さぁ、生徒会長が来るまで足止めだ!闇原!悪魔を拘束しろ!」
「オーケ~始めるよ~。皆~下がって~」
垂れ目で紫色の髪をした闇原 燐が両手から黒い粘土を生成する。粘土が空中に浮遊すると大きな黒い鎖になる。
黒い鎖が蛇行しながら悪魔めがけて空中を飛んでいく。鎖は悪魔の身体に絡みつき拘束する。
「なんだこれはッ!動けないッ!」
「ハハハッ無理無理~。極限まで~頑丈に作ったから~ちょっとやそっとじゃ~壊れないよ」
闇原のスキル【粘土】はあらゆる物を創造することができる。ただし絶対に何でも斬れる剣やどんな攻撃も防げる盾など、人智を超えた物は創造できない。
「奴を囲め!グラウンドから絶対に出すな!」
鞘に収まった聖剣を両腕で抱えた、日ノ宮が指示を出す。
「皆なんか凄いな」
「我のことも忘れないでもらおう!!」
僕がクラスメートの皆を感心していると、聞き慣れた声が聞こえた。その場にいた全員がそちらを振り向く。
そこにはSクラスのクラスメートにして剣道部副主将―狩屋 刀魔―がいた。
「刀魔~遅すぎ。もう終わっちゃうよ~」
「修業の成果を試したかったのだがな」
「ッッ!!ボクチンも斬れないなまくら刀が何を言ってるわけッ!」
拘束された悪魔は、鎖の隙間から狩屋の方に残った左腕を向けると伸長する。悪魔の手刀が狩屋を貫こうとした。
狩屋は現出させた虎徹を鞘に収めた。
手刀が狩屋を貫こうとする刹那に悪魔の左腕が細切れになり爆ぜた。
「ッッ!!バカなッ!!刀が見えなかっただとッ!!」
「今日の我は一昨日の我ではない。残念だったな」
「ッッ!!畜生がッ!!」
「もう終わりだ。諦めて滅ぼされろ」
日ノ宮が冷徹に言い放つ。
「…まだだ。ボクチンにはまだ切り札がある。使うと元に戻るのが大変だが…仕方ない。お前達だけは絶対に殺してやる」
「強がりか?」
悪魔の右腕が瞬時に再生すると日ノ宮に向けて掌を伸長する。日ノ宮は【加速】で悪魔の右腕を蹴り上げる。そのまま右腕は校舎の壁を突き破り破壊する。
「…貴様、なんのつもりだ?これ以上学園の校舎を破壊してほしくないんだがな…」
「………見つけた」
悪魔が校舎に突き刺さった伸長した右腕を引き抜くと、その手には項垂れて動かない暗堂 積木が握られていた。
「…人質か?悪魔らしく卑怯な手を使うじゃないか」
「勘違いしないでほしいな。これはボクチンが勝つ為に必要な肉体なんだよ」
悪魔の身体は蒸発していき、それによって発生した煙が暗堂の身体に入っていく。
「…闇原!悪魔ではなく暗堂の方を拘束しろ!急げ!」
「分かった」
黒い鎖が悪魔を解放すると暗堂に巻き付き始める。既に悪魔の姿は完全に消失し、煙が暗堂に吸収されていく。
暗堂が黒い鎖に覆われ、その姿を窺い知れない。だが鎖がジャラジャラと音が鳴り、震えて罅が入り始める。
暗堂を拘束していた鎖が爆ぜた。
「えッ!?嘘ッ!」
「なんだと!」
闇原は自分が創造した鎖が壊せるとは思わなかったのだろう。その場所にいたSクラスの全員が驚愕の表情を顔に浮かべる。
「…憑依してまたパワーアップしちゃったよ」
暗堂の側頭部から一対の羊の角が生える。顔には魔術的な模様が浮かぶ。
「…お前ッ!」
「あれれ~楽市くん怒っちゃった。相棒と仲良かったもんね」
「…隙ありッ!!」
暗堂に憑依した悪魔に、狩屋が斬りかかる。狩屋に握られた刀の速度が一瞬だけ鈍る。クラスメートを斬るのを躊躇ったからだ。しかしその瞬間を見逃すほど悪魔は甘くはなかった。
悪魔は掌を狩屋に翳すと空気の塊を放つ。魔術で生み出された空気の壁はそのまま狩屋に衝突して校舎まで吹き飛ばす。
凄まじい速度で飛んだ狩屋は、校舎に激突して爆発音を響かせ土埃を巻き上げる。壁には大きな穴が空いていて貫通していた。
「前にも言わなかったっけ?不意打ちする時は声を出さないって。学習能力ないのかな?」
Sクラスの皆が悲鳴を上げそうになる。あの白鳩さんや闇原さんが口元を手で押さえている。
「お前ッ!よくも刀魔さんを殺したなッ!」
「…刀魔」
「刀魔さんの犠牲…無駄にはしません」
「こんなとこで~死んでいい人じゃ~なかったのに…」
「落ち着け!刀魔は死んでいない!我々の心の中でちゃんと生きている!」
Sクラスの皆が突然訪れた悲しみに顔を曇らせる。冷静沈着な日ノ宮さえ取り乱している。
「……我はまだ死んでいない」
声のする方をよく見ると、校舎の瓦礫から這い出る刀魔がいた。
「「刀魔、僕・私・俺達は生きてるって信じてた!」」
「……我の扱い酷くないか?」
「皆さん、遅れて申し訳ないです」
群青色の長い髪を後ろに束ねた女子生徒がグラウンドに降り立つ。生徒会長の聖 槐だ。
「生徒会長、聖剣を」
聖 生徒会長は聖剣の収まった鞘を日ノ宮から受け取る。
「ありがとう日ノ宮。皆さんよく持ち堪えました。後は私がやります」
「また人間が増えた。今度はなんなの?」
聖は重々しい金属を響かせながら聖剣を引き抜く。聖剣の刀身が輝きを放つ。
「この聖剣を鞘から引き抜くことができるのは、〈選ばれし者〉のスキルを保有する私だけです」
聖は聖剣を力強く握り構える。
「おやいいのかい?クラスメートを斬るのか?人間は薄情だな」
「はい斬ります」
「嘘でしょ」
「嘘ではありません」
聖は断言する。
聖は悪魔に向かって走る。無駄話をするきもないと言わんばかりに。
「その剣を持ってボクチンに近付くな!!」
生徒会長が持つ聖剣に何かを感じたのか、魔法を使い迎撃を開始する。掌から様々な色の魔法を放つ。
火の弾 水の弾 風の弾 雷の弾 石の弾が聖に放たれる。
それを聖は躱しながら接近する。
聖が跳躍し一気に距離を詰め、聖剣を空へ振り上げる。
悪魔は無防備であり、聖は―倒せる―と確信した時だった。悪魔の足元の地面から拳が伸長して聖の顎を正確に打ち抜く。
「はいッ!残念でしたッ!」
生徒会長の視界は揺れて、全身の力が抜ける。聖剣が聖の手から離れる。聖剣は手を伸ばしてもどんどん空に向かって離れていく。聖は地面を転がっていった。
「まだだ!」
楽市は聖剣に向かって〈加速〉で助走をつけて跳躍する。地面が陥没するほどの跳躍で土埃が舞う。
空中で回転する聖剣を楽市が握ると、そのまま悪魔に遠心力に任せて聖剣を振り下ろす。
―スキル【選ばれし者】が解放されました―
悪魔が動けないのは暗堂が抵抗を続けているからだ。
「はぁッッ!!身体が動かない!?暗堂ッッッ!!ふざけんじゃねぇッッ!!」
すり抜けるように聖剣が暗堂の胴体を通過し聖剣の一閃で契約の印ごと悪魔を断ち切る。
暗堂は膝から崩れ落ちるように倒れ、悪魔ドジィーは消滅した。暗堂の身体には傷一つ付いていない。
「その聖剣は邪悪な魂だけを斬る、神聖なる力で清められた剣なのです」
「暗堂君は助かったんですね」
聖が起き上がり僕に言った。
(暗堂君のこと殺しちゃったかと思ったよ。よかったぁ)
グラウンドにいたSクラスのみんなが楽市と暗堂に駆け寄って来る。
僕はこれからの学園生活はどうなるのだろうと思ったが考えるのをやめた。
■□◆◇■□ ―五年前 暗堂邸―
黒を基調とした奇術師の恰好の男が暗堂邸にいた。細目が特徴的で狐顔の彼は商談中である。目の前にはソファーに腰を下ろした暗堂家の夫妻がいた。
「はい承りました。では契約書にサインを頂きたく…え?なんだか胡散臭い」
狐顔の男は特徴的な黒のシルクハットをいじると笑顔を見せた。
「えぇよく言われるんですよ。騙されているのではないかと。私共は全くそんなつもりはないのですが。こちらが至らないばかりに残念なことです」
暗堂家の夫妻は怪訝な反応を示す。
「リスクについての説明が少ない。代償の話は先程全部した筈ですが…御心配なのはこちら側も十分承知しております、ですがお考え下さい」
商品である魔導書をテーブルの上に置く。
「貴方達は目の前に魔法の真理を知る機会に恵まれているのです。魔術の深淵を見たくはありませんか?それに比べれば雀の涙程の代償で済むのはむしろお得ではありませんか?選んで下さい。微々たる代償で知識欲を満たし功績を得るか、この商談を無かった事にするかです。後者を選んだ場合は貴方達のライバルの学者達に売り込みに行くつもりです。えぇ、そう言うと思っていましたよ。では商談成立ということで、今後とも御贔屓を」
夫妻は魔導書を受け取る。
最後まで当社の信用を保障するのを忘れない。もちろん偽りだが。
「はい、その通りです。妖魔連合は信用が第一ですから」
大げさに両手を開くと狐顔の男の細目が見開かれ口の端がつり上がっていた。邪悪な笑みに見えるかもしれないが狐顔の男は気にしない。なぜなら自分は妖魔なのだから。
▲△▼▽▲△
―登場人物紹介―友好度メーター
―水月 鏡弥―友好度―測定不能―
二年Sクラスの女子生徒。緑髪で中性的見た目をしている。名前でよく間違われるが女性である。
―聖 槐―友好度80―
二年Sクラスの女子生徒。生徒会長をしている。群青色の髪を後ろに束ねた髪型をしている。特殊技術〈選ばれし者〉の保有者。
―日ノ宮 優―友好度60―
二年Sクラス男子生徒。赤髪で生徒会で書記をしている。特殊技術〈加速〉の保有者。
―狩屋 刀魔―友好度60―
二年Sクラス男子生徒。剣道部の副主将。特殊技術〈虎徹〉の保有者。
―白鳩 弓―友好度50―
二年Sクラスの女子生徒。保険委員で戦闘狂。特殊技術〈回復〉の保有者。
―風雲 影人―友好度30―
二年Sクラスの男子生徒。特殊技術〈光学迷彩〉の保有者。
―牙城 友樹―友好度0―
二年Sクラスの男子生徒。風紀委員で肩に雪丸という狼を乗せている。特殊技術〈獣の魂〉の保有者。
―闇原 燐―友好度30―
二年Sクラスの女子生徒。紫色の髪に垂れ目の少女。特殊技術〈粘土〉の保有者。
―暗堂 積木―友好度90―
二年Sクラスの男子生徒。灰色の髪をした少年。特殊技術〈魔術〉の保有者。




