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第6話文見堂文具店

 まきがはら商店街の真ん中辺りにある文見堂文具店。事務用品からデザイン用品までそれとなくオシャレに並んでいる。

その2階、窓際で小学生5年生くらいの少女がいつも外を眺めている。 

僕がお店の前を歩いていると 

「茶猫のちゃーさん今日もお元気!」

と笑顔で声をかけてくれる。

僕はそのかわいい笑顔が見たくていつも同じ時間にここを通る。

でもほかの子供みたいにランドセル背負って学校に行ったり、遊んだりしないのかな?って思ってた。

 

 今日は雲一つとない晴天、青空がとてもまぶしい。 

僕がいつもの時間に商店街を歩いていると、

「あれ 今日はいないなー」 

いつも笑顔で挨拶してくれる少女が窓際に見えない。 

僕はちょっとがっかりしながら文具店の前まで行った。

するとその少女が車いすでお店から出てきた。 

文見堂のご主人がうしろから押している。

「あら、茶猫のちゃーさん 今日もお元気。 これから城山公園までお散歩よ ちゃーさんも一緒にいらっしゃい」

といつもの笑顔で呼ばれた。 

僕はうれしくなってちょこちょことついていった。 

「ねえ、ちゃーさん 私は絵を描くのが大好き。天気の良い日はここにきて絵をかくの

あ そうだ チャーさんが飛び跳ねている姿お描こうかしら。」

少女は僕と公園を交互に見ながら絵を夢中になって描いていた。


「みゆ 寒くなってきた。心臓にわるいから、もうそろそろ帰ろう」

文具屋の主人に促されて、物足りなさそうな顔をした少女だったが、

「ちゃーさん 一緒に帰りましょう。 そうだ 帰ったらおいしいごはん 差し上げますよ ふふ ねえ パパ いいでしょう」 

「ごはん お ごにゃーん ごにゃーん」

と僕はにゃーにゃー泣きながら餌につられてちょこちょことついていった。


 翌日、どこで聞きつけたのか、ミーねーさんやキー兄さんまで一緒に来るようになった。 「私知っているんだからね、あとでチャーるをもらえるんでしょ!」

「知らないよ!」

 「何々 ふふ 顔に書いてあるニャー」  

 みゆちゃんはその様子をみながら

「あらあら 喧嘩はだめよ ふふふ」

三匹のにゃんこたちは芝生の上で転げまわっている。

その様子を楽しそうに見つめている少女。


「にゃにゃにゃ にゃにゃん」 

にゃんこたちが楽しそうに朝の散歩をしている。 

「チャーる ちゃ!   あれ  今日はお休みかにゃー」

「いや 昨日もお休みだったニャー」

とキー兄さんが答える。

「文見堂さんが続けてお休みなんて珍しいニャー」 

と、みー姉さん

「・・・・・・・・ どうしたかにゃー」 

僕は次の日も、その翌日も前を通ったのに文見堂のシャッターは開かなかった。

僕は首をかしげてシャッターの前で佇んでいた。

別にチャーるをもらえるからではないよ!  

みゆチャンに会いたいニャー それだけ ニャー


2週間ほどして文見堂はまたいつもの様にお店は開けるようになった。

でも、二階の窓はカーテンが閉まったままで、みゆちゃんの笑顔と声は聴けない。

どうしたのかニャー どうしたのかニャー  

僕はそーとお店の中に入ってみた。  

「お 茶猫さん あそうだ まだちゃーるがあったなー」 

みゆのパパさんがお皿にちゃーるを出してくれた。 

僕はニャーとお礼をいってお皿をなめたんだ。  

あー おいしかったニャー ありがとニャー

ふと お店を見回すと 1枚の絵が目に入った。 

あー みゆちゃんが城山公園で書いてた絵     

その絵には青い空に精一杯背伸びして飛び上がる僕 とみゆちゃん。

みゆちゃんも楽しそうにポンポンと飛んでいる。

「あ そうだ みゆちゃん みゆちゃん みゆちゃんはどこー」

みゆちゃんパパは、僕の鳴き声を聞いて 

「おいおい もっと食べたいのか 今日は終わりだよ」  

僕は泣き続けた  

みゆちゃは  みゆちゃんは  みゆちゃんはどこ・・・・・

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