他フィールド
立山フィールドが「かまいたち」の異名で一躍注目される中、俺は次なる計画を練り始めていた。挑戦者を迎え撃つだけではなく、他のフィールドを攻略してランキングを上げることができるという情報を手に入れたからだ。フィールドの所有権は得られないが、報酬が手に入り、さらにランキングも上書きできるという。
「そろそろ自分から攻めに行く時が来たな」
しかし、その動きに気づいたのか、京都の「仏間フィールド」のフィールドボスが俺に興味を持ち始めているという噂も耳にした。仏間フィールドはその独特な空間と精神的な攻撃で挑戦者を悩ませることで知られている。特にフィールドボスである僧侶のような風貌の男は冷静沈着で、対戦相手の精神を揺さぶる戦術を得意としている。
「仏間フィールドのボスか…あいつもいずれ俺のフィールドに来るだろう」
だが今は気にしている暇はない。俺には新たなフィールド攻略のチャンスがある。それを見逃すわけにはいかなかった。
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「カミソリフィールド…か」
俺が目をつけた次なる攻略先は、福岡県にある40位のフィールド、「カミソリフィールド」だ。このフィールドはその名の通り、鋭いカミソリのような障害物が至る所に配置されており、挑戦者たちを待ち受ける。瞬間的な判断力とスピードが試される危険なフィールドだと聞いていた。だが、俺にとっては逆に挑戦しがいのある場所だ。高速移動スキルでこのフィールドを駆け抜ければ、ランキングの上書きも夢ではない。
「俺なら、このフィールドも制圧できる」
そう自分に言い聞かせながら、福岡行きの列車に飛び乗った。
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カミソリフィールドに到着するまでの間、フィールド攻略のイメージを頭の中で繰り返す。立山フィールドとはまったく異なる地形だが、スピードが活きる場面は変わらないはずだ。周りを切り裂くようなトラップに引っかからないよう、瞬間的な判断力が重要になる。
列車から降り、俺はカミソリフィールドの入口に向かって歩き出した。フィールドが近づくにつれ、周囲には異様な雰囲気が漂っている。鋭利な風が吹き抜け、まるで無数の刃が空を切り裂くような感覚が体を包んでくる。
「ここがカミソリフィールドか…」
目の前に広がるのは、無数の鋭い刃物が輝くフィールド。中に一歩足を踏み入れれば、確実に危険なトラップが待ち構えている。
「いよいよだな…」
俺は深呼吸をして、ゆっくりとカミソリフィールドの入口に近づいた。鋭利な風が肌を刺すように感じる中、心は静まり返っている。これから何が待ち受けているのかは分からないが、俺には勝算があった。
「このフィールドも、俺のスピードで制してみせる…」
そして、俺はカミソリフィールドの目の前に立った。鋭く光る刃の間を縫うように進む準備は万全だ。
「行くぞ…!」
次の瞬間、俺はフィールドの中へと一歩を踏み出そうとしていた——。