04少年
エリザベスが目を開くと、彼女の目の前にフォンテーヌ家の執事見習い、14歳のアーサーが立っていた。少年の瞳には驚きと戸惑いが浮かんでいる。
「お嬢様...ご無事ですか...!?」
アーサーの声は震えていた。彼の周りには、エリザベスの魔力が作り出した不思議な光の粒子が漂っている。
彼女はアーサーをじっと見つめ、その反応を観察した。
「アーサー、あなたはどうしてここに?」
「お嬢様の部屋から魔力が溢れていまして、お声をかけたのですがお返事がなく、緊急事態だと判断して勝手ながら入らせていただきました。そして、床に大きな穴が...」
「アーサー、あなたは私を信じられますか?」
少年は迷うことなく頷いた。
「はい、もちろんです」
「では、私と一緒に来てくれるかしら? あなたにお願いしたいことがあるの」
アーサーは一瞬躊躇したが、すぐに決意を固めたように頷いた。
「はい、お嬢様。どこへでもお供いたします」
エリザベスは少年の手を取り、ダンジョンを進む。アーサーは恐怖と好奇心が入り混じった表情で、エリザベスについていく。
「お嬢様、これは一体...」
「ここは、ダンジョンよ私の力が生み出した、特別な場所なの」
エリザベスは静かに説明した。彼女の声には、これまでにない威厳が感じられた。
二人は薄暗い通路を進んでいく。壁には不思議な文様が刻まれ、かすかに青白い光を放っている。アーサーは周囲を警戒しながらも、好奇心に満ちた目でそれらを観察していた。
「アーサー、あなたは私の右腕になってくれるかしら?」
エリザベスが尋ねた。
「これから私は、とても大切な使命を果たすことになるわ」
少年は緊張しながらも、強い決意を込めて答えた。
「はい、お嬢様。私はどんなことがあっても、お嬢様のそばにいます」
エリザベスは満足げに頷いた。