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02父と兄

エリザベスの父親であるフォンテーヌ侯爵と兄のヘンリーは、侯爵家の書斎で激しい議論を交わしていた。窓から差し込む夕陽が、二人の怒りに満ちた表情を赤く照らしていた。


「これは許されざる侮辱だ!」


フォンテーヌ侯爵は拳を机に叩きつけた。


「殿下がどのような立場であろうと、我が家の娘をこのように扱うとは!」


ヘンリーは父の怒りに同意しつつも、冷静さを保とうと努めていた。


「父上、確かに王太子の行為は許し難いものです。しかし、我々は慎重に行動しなければなりません」


「慎重にだと?」


侯爵は息子を鋭い眼差しで見つめた。


「エリザベスの名誉が傷つけられたのだぞ。これ以上、何を躊躇う必要がある?あの子がどれだけ…」


ヘンリーは深く息を吐いた。


「王太子に直接抗議するのは危険すぎます。我々には証拠がありません。むしろ、背後で糸を引いている者たちを暴く必要があるのではないでしょうか」


「男爵令嬢のことか?」


侯爵は眉をひそめた。


「あの娘が関わっているとしても、それを証明するのは容易ではない」


「そうですね」


ヘンリーは頷いた。


「しかし、我々には()()がいます」


侯爵は目を瞬かせる。


「だが、あれは…いや、そうだな」


侯爵は窓際に歩み寄り、遠くを見つめた。


「妹のことは私が見守ります」


ヘンリーは断言した。


「彼女を支え、同時に王太子たちの真の姿を暴くための準備を進めましょう」


「ああ、そうだな。我々フォンテーヌ家の名誉にかけて、この事態を正さねばならない。あの子のためにも」


二人は互いに頷き合い、行動計画を練り始めた。彼らは知らなかった。エリザベスが既に自らの手で復讐の道を歩み始めていることを。そして、彼女の力が彼らの想像を遥かに超えるものであることを。


書斎の外では、夕暮れが深まり、新たな闇が王国を包み込もうとしていた。その闇の中で、エリザベスのダンジョンは着々と力を蓄えていたのだった。

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